中国・深セン市のある小学校が突然、全クラス10日間の休校を通知しました。原因は多くの保護者がすでに過去の病気だと思っていた子どもの感染症、「手足口病」です。

 ここ数週間、広東省深セン市では学校や幼稚園で集団感染が発生したという情報が相次いでいます。一部のクラスでは感染者が確認されたため、全児童に対して自宅待機と健康観察が求められています。さらに広東省の最新の公式データによると、5月だけで手足口病の報告患者数は27849人に達しました。この数字を見て、多くの保護者の間で「手足口病が再び大流行するのではないか」という不安が広がっています。

 深セン市民の劉さんは今週、学校から通知を受け取りました。子どものクラスで手足口病の感染者が確認されたため、疾病対策当局の指示に従い、クラス全員が10日間の休校となったのです。

 学校は保護者に対し、毎日子どもの発熱、口内炎、手足の発疹などの症状を確認するよう求めています。異常が見つかった場合は、速やかに病院を受診し、担任教師へ報告しなければなりません。感染が確認された場合は自宅での隔離が必要となり、症状が消えた後も学校の確認を受けなければ登校できません。

 多くの家庭にとって、このような通知はようやく戻り始めた日常生活を再び乱すものとなっています。ある保護者は、「子どもがようやく普通に登校できるようになったと思ったら、また休校の通知が来た」と話しています。また別の保護者は、「今月、子どもが実際に教室で授業を受けた日数は半分にも満たないかもしれない」とため息をついています。

 ネット上でも同じような声が増えています。
 「妹のクラスで2人が手足口病になり、クラス全員が10日間休校になった」
 「うちの住宅地ではすでに3クラスが休校している」
 「子どものクラスでは11人が欠席していて、大半が手足口病だ」
 「毎日、仕事をしながら子どもの面倒を見るのは本当に限界だ」

 深センの保護者たちが休校問題に頭を悩ませているなか、ある公式データの公表によって、問題が想像以上に深刻であることが明らかになりました。広東省疾病予防当局が6月16日に発表したデータによると、今年5月に広東省で報告された法定感染症は計231664人で、そのうち手足口病が27849人を占めていました。つまり、平均すると毎日約900人の患者が報告されている計算になります。しかも、この数字は統計に含まれた患者だけです。症状が軽く、病院を受診しなかった子どもたちは統計に含まれていない可能性があります。

 では、なぜ今年の手足口病はこれほど活発になっているのでしょうか。

 ここ数年、子どもの感染症が次々と流行しています。マイコプラズマ肺炎、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、ヘルパンギーナ、ノロウイルス、そして今度は手足口病です。これは単なる季節的な流行なのでしょうか。それとも別の原因があるのでしょうか。

 実際のところ、その答えは多くの人が想像するよりも複雑かもしれません。医学資料によると、手足口病は新しい病気ではありません。さまざまな腸管ウイルスによって引き起こされる急性の感染症で、一年を通じて発生する可能性がありますが、毎年5月から7月にかけて流行のピークを迎えることが一般的です。そして広東省は、中国でも手足口病の発生が多い地域の一つです。

 広東省では今年に入って最も広範囲で、最も長期間にわたる大雨に見舞われたばかりです。一部地域では深刻な洪水被害も発生しました。現在、大雨はほぼ収まり、天気は曇りが中心となっていますが、局地的なにわか雨と35度を超える蒸し暑い高温が続いています。このような高温多湿の環境は、ウイルスの拡散にとって非常に好都合な条件となります。

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 さらに、手足口病は5歳以下の子どもが最も感染しやすい病気です。幼稚園や小学校低学年の子どもたちは毎日密接に接触しています。おもちゃを一緒に使い、机や椅子を共有し、ドアノブに触れ、あるいは一度せきをするだけでも感染経路になる可能性があります。

 専門家によると、患者だけが感染源ではありません。すでに回復した子どもや、まったく症状のない子どもでも、引き続きウイルスを保有している場合があります。そのため、学校の中ではウイルスの拡散を防ぐことが非常に難しいのです。

 広東省で患者数が増え続けているなか、深セン市と川を挟んで向かい合う香港でも同じような状況が現れています。

 香港衛生署衛生防護センターは5月29日、香港における手足口病の流行状況が最近著しく上昇していると発表しました。監視データによると、学校や幼稚園などで発生した手足口病の集団感染は、5月初旬の1週間で5件だったものが、その後5日間で17件まで増加し、感染者は48人に上っています。そのうち9割以上が保育施設、幼稚園、小学校で発生していました。つまり、広東省と香港はほぼ同時に手足口病の流行期へ入ったことになります。

 しかし、患者数の増加以上に注目すべきなのは、多くの保護者がこの病気について誤解していることです。多くの人は、手足口病は熱が出て発疹が少しできるだけで、数日すれば自然に治る病気だと思っています。しかし、本当にそうなのでしょうか。

 手足口病患者の大多数は確かに症状が軽く、一般的には発熱、口内炎、手足の発疹が見られます。ほとんどの子どもは1週間ほどで回復します。しかし医学界は以前から、一部の患者では急速に重症化する可能性があると警告しています。特にEV71ウイルスによる感染では、脳炎、髄膜炎、肺水腫、循環不全などの重い合併症を引き起こすことがあります。

 過去数年間、中国各地では重症化や死亡に至った子どもの事例も報告されています。そのため、手足口病は一見ありふれた病気に見えても、常に重点監視対象の感染症に指定されているのです。

 ネット上では、「ワクチンを接種したのに、それでも手足口病にかかった」という保護者の声も見られます。これについて医師は、現在使われているEV71ワクチンは主に重症化を防ぐことを目的としており、手足口病を引き起こすすべてのウイルスに対応しているわけではないと説明しています。つまり、ワクチンを接種しても感染する可能性はありますが、重症化するリスクは大幅に低下するということです。

 夏休みが近づくにつれ、子どもたちが集まる機会はさらに増えていきます。広東省、香港、そして中国南部の多くの地域では、すでに手足口病の本格的な流行シーズンに入っています。多くの家庭にとって、この勢いを増す子どもの感染症の流行は、まだ始まったばかりなのかもしれません。そして深センで突然10日間の休校となったクラスは、今回の流行拡大のなかで最初に現れた警告の一つに過ぎないのかもしれません。

(翻訳・藍彧)