最近、中国では水質汚染に関する事件が相次ぎ、環境や飲料水の安全性に対する人々の懸念が広がっています。安徽省の川では水質の赤色化、湖北省の村では化学工場の排水による水質汚染問題が生じており、専門家が浄水技術への警鐘を鳴らしており、事態はかつてないほど深刻に受け止められています。
6月22日、安徽省馬鞍山市博望区で川が真っ赤に染まった動画がSNSで拡散され、大きな衝撃を与えました。現地メディアによると、付近の店舗経営者は午前8時半頃に異変に気づき、「9時頃が最もひどく、果てが見えないほど広範囲に赤く染まっていた。工場の汚水ではないか」と証言しています。区や鎮の担当者も現場に駆けつける事態となりました。
同日夜、現地の環境保護当局は、水が異常な赤色に変わった原因について「管轄内の包装材料会社が屋外に保管していた赤色の水性着色剤の容器が破損したため、鉄イオンを含む原料が雨水管を通じて川に流れ込んだ。」と説明しています。これに対し当局は、すでに下流の水門を閉鎖し、有害物質を除去する為の吸着処理と水質検査を実施していると述べています。
しかし、この説明だけで人々の懸念が完全に払拭されたわけではありません。多くの人々がSNS上にコメントを残し、恐怖や憤りをあらわにしました。「びっくりした、全部血かと思った。」「恐ろしい。こんな水が体内に入ったら絶対に体を壊す」といった声のほか、汚染の深刻さを指摘する意見も見られました。「博望区にまだ釣りができる場所はあるのか。全部重金属に汚染されているのではないか。」「明らかに違法な排水である。厳しく調査して処罰するべきだ。これほど堂々と汚水を流すなんて信じられない。」「この川は長江につながっているため、長江の生態環境まで破壊してしまうのではないか」といった厳しい声が上がっています。
今回の出来事は決して特異なケースではなく、一部地域で長期化する企業の違法排水や監視体制の甘さを反映しています。湖北省武漢市の黄土坡村の事例はさらに深刻です。人口わずか585人のこの村では、近年62人もの住民が次々とガンや白血病を患い、2015年以降だけでも19人が亡くなりました。住民たちは、村の入り口の化学工場が長年汚水を違法に排出してきたことが原因だと強く疑っていました。
報道によると、1980年代に建設されたこの工場は、環境アセスメントや排出許可がないまま違法操業を続け、赤黒い汚水を排出していました。過去には魚や家畜が中毒死したこともあり、地下水のマンガン含有量は工場閉鎖から2年後も基準値の3倍を超えていました。住民は告発をし続けましたが、地元の環境保護部門は「検査結果は基準を満たしている」と繰り返すばかりでした。その一方で、区の職員が検査前に工場へ連絡し、排水口を塞ぐよう指示していた不正も判明しています。
しかし、中立的立場の第三者機関による検査では、現地の汚染水域の総アルカリ度が測定上限の10倍を超える異常値を示しました。最終的に住民たちが上級機関へ訴え、メディアが報じたことで事態が動きました。それまで地元環境保護部門は、不法投棄の証拠や省からの督促状があっても「基準は満たしている」と罰金を科すだけで済ましていました。なお、その後の公式発表では、廃棄物の不法投棄により複数の公務員が責任を問われ処分を受けましたが、住民のガン発生と工場の排水との直接的な因果関係は否定されています。
こうした工業汚染は、自然環境を破壊するだけでなく、家庭の水道水への不安にも直結しています。3月末にSNS上で拡散された動画では、ある浄水エンジニアが「現在の一般的な浄水処理工程では、複雑化する工業・農業汚染に対処しきれなくなっている」と率直に認め、人々に一石を投じました。
このエンジニアは次のように指摘しています。「現在、浄水場で採用されている『凝集、沈殿、ろ過、消毒』という4つのプロセスは、実は100年前からある伝統的な技術です。主に土砂や細菌の処理には有効です。しかし、現在の工場排水に含まれる重金属や有機化合物、農業から排出される残留農薬といった水の中に溶けこんだ汚染物質を処理するのは非常に困難です。」さらに彼は、「考えてみてください。今の川と30年前の川で、水質は同じでしょうか。水源の環境は変わっているのに、処理技術がそれに合わせてアップグレードされなければ、家庭の蛇口から出る水は、30年前と同じように安心して飲めるものだと言えるのでしょうか」と問いかけました。この動画には幅広い共感が寄せられ、「浄水場の水は基準を満たしていないということか」といった懸念の声が上がりました。さらに、「水源汚染がこれほど深刻なら、最近ガンになる人が増えているのも無理はない」と、健康問題と水質を結びつけて考える意見も見られました。
目に見える川の変色から、目に見えない地下水汚染、そして日常の飲料水の安全性に対する不安まで、一連の出来事は水質問題の深刻さを物語っています。環境保護の監視体制の強化や、違法な汚水排出への厳格な対応、そして浄水技術の向上が、中国社会における今後の大きな課題として注目されています。
(翻訳・吉原木子)
