世界中のサッカーファンが白熱するワールドカップに熱狂し、ピッチ上の台頭する若きスターたちに感嘆しているまさにその時、中国サッカー界で再び目を疑うような事件が起きました。6月21日、広州大学城で行われた親善試合において、広東銘途U-16ユースチームと張家界の成人チームが、判定を巡って衝突しました。事もあろうに、張家界チームの複数の成人選手が、相手の未成年選手たちに対して集団で暴行を加えたのです。この混乱の中、仲裁に入ろうとした14歳の張皓燁(ジャン・ハオイエ)選手(U-15中国代表の主力ミッドフィールダー)が、複数人から激しい暴行を受けました。診断の結果、小指の骨折や頭部、胴体など全身の軟部組織に重度の挫傷を負っただけでなく、下半身の急所にまで悪意のある蹴りを受けていたことが判明しています。加害者たちは暴行に及んだ後、グラウンドから集団で逃走し、残された若き選手は心身ともに深い傷を負うことになりました。
この事件がことさら不条理に感じられるのは、被害者となった張選手が決して無名の選手ではなく、将来を嘱望される中国サッカーの「希望の星」であるという点です。2011年生まれのトッププレイヤーであり、今年4月にはU-15中国代表のスタメンとして出場し、U-15イタリア代表を2対0で撃破した試合で大きな役割を果たしたばかりでした。ヨーロッパの強豪ユースチームにも引けを取らなかった才能あふれる若者が、国内のローカルな交流戦において、まるで市街地の暴力沙汰のような形で自国の大人たちによって病院送りにされる事態となったのです。事件後、広東銘途クラブは厳正な声明を発表し、いかなる謝罪や調停も拒否し、断固として法的手続きを通じて権利を守る姿勢を示しました。続いて湖南省サッカー協会も、関与した人物に対し、省内における一切のサッカー活動への参加を一時停止する処分を発表しています。
しかし、この事件は単なるグラウンド上での暴力事件に留まりません。中国のサッカー環境に長年積み重なってきた弊害と、深刻な土壌の腐敗を象徴する出来事と言えます。以前から「なぜ10数億の人口を抱える大国が、実力のある11人の選手を輩出できないのか」という疑問の声が上がっていました。その答えの一端は、おそらくこの暴力事件の背景に隠されています。サッカーを育む環境そのものが、とうの昔に汚染されてしまっているのです。大人がグラウンドで平然と暴力を振るい、立場の弱い者を痛めつけることがまかり通る状況は、もはや競技スポーツの枠を越え、裏社会の暴力的な縄張り争いのような様相すら呈しています。
このような病的な風土を上層部へと辿っていくと、根深い組織的な腐敗と不正に行き着きます。近年の中国サッカー界における汚職摘発の動きは、すでにその実態を白日の下に晒しました。中国サッカー協会の元会長である陳戌源(チェン・シューユエン)が、8000万元(約16億円)以上もの収賄によって無期懲役の判決を受けた件はその一例です。彼は在任中、利益供与を黙認し、協会を私物化していました。また、元中国代表監督の李鉄(リー・ティエ)も複数の罪状で懲役20年の判決を受けています。彼は約300万元(約6000万円)を支払って代表監督の座を金銭で得ただけでなく、代表選手の枠を売り捌き、地方クラブの監督時代には八百長を主導して昇格資格を不正に獲得していました。さらに2026年には、中国サッカー協会が前代未聞となる73人の永久追放リストを公表し、賭博や八百長に関与した多数の現役選手や関係者がサッカー界から永久に追放されています。権力と金銭の取引、そして密室での不正操作が、中国サッカーの隅々にまで浸透していることが浮き彫りになりました。トップの管理者や代表監督が試合の操作や金銭による地位の獲得に奔走するような環境において、フェアプレーの精神はとうの昔に失われています。上層部がこのような状況であれば、末端の大会やアマチュア界隈が正常に機能するはずがありません。暴力沙汰やいじめの体質は、飲酒や賭博などの悪習と結びつき、悪性腫瘍のようにサッカー界の一部で代々引き継がれてしまっているのです。
このような背景を考慮すると、今回の張選手の悲劇は起こるべくして起きたものと言えるかもしれません。代表チームの選考が金銭で左右され、リーグ戦の勝敗が審判や関係者によって裏で操作される世界では、サッカー本来の技術や才能は正当に評価されません。これは一人の有望な若者の未来を奪いかねないだけでなく、中国サッカーの将来そのものを脅かす問題です。ユース代表の主力選手でさえ、八百長や賭博が蔓延する環境に直面し、グラウンドでの安全すら保障されない状況を見た親たちが、自分の子供にサッカーを続けさせたいと思うでしょうか。中国サッカーが苦境から抜け出せないのは、十数億人の人口の中に才能を持つ若者がいないからではありません。せっかくの才能が、暴力と腐敗が渦巻く環境の中で同化してしまうか、あるいは今回のように物理的・精神的に折られてしまう環境に根本的な原因があると考えられます。暴力的な悪習と利益の絡んだ不透明な土壌が徹底的に一掃されない限り、中国サッカーの未来が明るくなることは難しいでしょう。
(翻訳・吉原木子)
