中国では今年、火災や爆発事故が相次いでいます。8月13日午後、福建省福安市にある世紀華海造船工場で火災が発生しました。福安市消防救援局の発表や、新京報の報道によると、同日、午後1時9分に出火し、午後1時25分に到着した消防隊が消火活動にあたっていた所、午後2時10分に、現場で突然爆発が起きました。
この事故では、消防救援隊員10人と一般市民2人の計12人がけがをし、全員が病院に運ばれました。企業情報サイト「天眼査」によると、世紀華海はかつて「世紀華海工貿有限公司」という社名でした。2011年8月に設立され、資本金は500万元、日本円で約1億1800万円、金属船舶製造業を営む企業です。
一方で、公式発表とは異なる情報もネット上に広がっています。消防救援部隊を名乗る人物からの情報では、現場では遺体6体が見つかり、さらに30人以上が行方不明になっているとされています。しかし、公式発表では負傷者は12人とされています。出火の原因についても、社内の権力争いによる放火との見方がされています。しかし、これを裏付ける情報は、現時点では確認されていません。投稿者本人も、公式の調査結果が出るまではネット上の情報を最終的な結論として受け取るべきではないと強調しています。一方で、当局がまず情報を伏せてから対応するというこれまでのやり方こそが、様々な憶測を生む原因になっているとの指摘もあります。福安の造船工場の事故は、決して特殊な例ではありません。今年に入り、中国本土では火災事故が相次いでいます。その多くが、賃金未払いへの不満など、背景には身近なトラブルがあるとみられています。ネット上では先行きへの強い不安を訴える声も少なくありません。
8月4日には、雲南省昆明市にある化学メーカー、浩明精細磷化工の工場で火災が発生しました。黄リンの積み下ろし作業中に出火し、漏れ出した黄リンが燃えて、有毒な白い煙が周辺に広がりました。火が消し止められるまでに10時間以上かかったといいます。近隣住民からは、喉の痛みや咳などの体調不良を訴える声が上がりました。ネット上では、「周辺のホテルが満室です。病院は頭痛を訴える患者であふれています。」という投稿が見られました。黄リンの強い毒性もあり、この事故は大きな注目を集めました。8月2日には、山東省青島市の物流会社、象嶼速伝サプライチェーンの倉庫で大規模な火災が発生しました。炎は数十メートルの高さまで上がり、黒煙が空を覆ったほか、爆発音も繰り返し聞こえたといいます。ネット上では、賃金未払いに不満を持った従業員による放火との情報が流れています。
7月28日には、江蘇省淮安市の食品会社、金鹿食品の倉庫で火災が発生しました。赤い屋根の大部分が焼け落ち、黒煙が立ち上りました。公式発表では、死傷者はいないと発表されています。しかしネット上では、労使間のトラブルが原因だとされ、賃金を求める従業員のものとされるチャット記録も出回りました。
7月26日には、四川省眉山市の観光地、玉屏山で山火事が発生しました。ネット上に出回ったチャットのスクリーンショットでは、不動産大手の華僑城に対し、3年間に渡って賃金の支払いを求め続けても応じられなかった下請け業者の責任者が、報復として放火したとされています。こうした関連情報は、中国本土のネット上からは削除されましたが、海外のSNSでは広く拡散されています。
死傷者をめぐる情報の食い違いが特に大きいのが、7月9日に福建省泉州市で起きた火災事故です。陳埭鎮にある靴メーカー、輝騰鞋業の5階建て工場で火災が発生し、火は数時間に渡って燃え続けた後、当日午後5時過ぎにほぼ消し止められました。公式発表では死者数は28人とされていますが、関係者の話しとして、実際の死者数は200人を超えるという情報も出回っています。出火原因については、従業員による放火と伝えられています。死者数をめぐる大きな食い違いについて、公式な説明は今のところ示されていません。
2026年に入ってからも、中国本土では災害や事故が後を絶ちません。火災、爆発、交通事故といった深刻な事件が各地で相次いでいます。洪水、猛暑、雹、砂嵐、竜巻といった異常気象も続いています。厳しい情報統制なもとに、こうした事故や災害で、実際にどれだけの死傷者が出たのかは、依然として外部からは確認しにくい状況です。
(翻訳・吉原木子)
