中国経済の低迷が続く中、「東洋のパリ」と呼ばれ、長年にわたって中国の消費と繁栄を牽引してきた上海も、その影響を免れることはできませんでした。かつてネオンが輝き、人であふれていた繁華街や大通りは、今では閉店した店舗が目立ち、街を行き交う人の姿もまばらです。この街で70年近く暮らしてきたある高齢の住民、章さんは、閑散とした商業施設を見つめながら、「もうすぐ70歳になるが、こんなに寂れた上海は見たことがない」と胸を打つような言葉を残しました。
章さんは、生まれ育った上海が活気に満ちた都市から衰退へと向かう過程を、自らの目で見てきました。彼によると、上海の有名な商業施設である愛琴海ショッピングセンターは、かつて人であふれ返っていました。しかし今では、「外から見ると今も明るく灯りがついているが、中へ入ると大半の店舗が閉まっていて、人影もほとんどない。まるでゴーストタウンのようだ」といいます。また、上海最大級の交通拠点のひとつである上海駅周辺の商業エリアも同様です。章さんは、「以前は上海駅地下通路の両側に店がずらりと並び、人が肩をぶつけ合うほど混雑していた。それが今では10店舗あれば9店舗が閉まり、営業しているのはわずか1店舗だけ。昔とはまったく別の場所になってしまった」と語ります。
こうした光景は決して一部だけの話ではありません。静安区の昌平路周辺では、昼時にもかかわらず飲食店の多くがシャッターを下ろしています。かつて会社員に人気だったチェーン店も次々と閉店し、住民からは「ついに中心部まで持ちこたえられなくなった」という声も上がっています。かつて上海を代表する繁華街だった南京路も、人通りは10年前の10分の1にも満たないのではないかと言われています。
あるブロガーが普陀区の同普路周辺を取材したところ、高密度の住宅街にある路面店でさえ空き店舗率が約8割に達していました。通りには「店舗譲渡」の赤い張り紙が並び、かつての活気は失われています。ネット上では「また振鼎鶏が1店舗閉店した。上海を代表する老舗なのに、今では営業を続けることすらできなくなった」という嘆きも広がっています。
不況の波は雇用市場にも広がり、とりわけ若者たちに深刻な影響を与えています。2026年の上海では、仕事を見つけること自体が非常に困難になっています。ある当事者はこう語ります。「私の会社では昨年10月から人員削減が始まりました。経営陣の大幅な再編も行われ、私も解雇対象になりました」。かつては当たり前と考えられていた月収約19万円(8000元)の仕事ですら、今では「見つけるのが難しい」と感じる人が少なくありません。さらに衝撃的なのは、上海の給与構造です。月収24万円(1万元)以上を得ている人は、就業人口全体の4分の1にも達していません。一方で、月収約14万円(6000元)の層が最も多く、全体の3割以上を占めています。
就職難の波は、名門大学の卒業生にも容赦なく押し寄せています。復旦大学や上海交通大学といった一流大学を卒業しても、安定した仕事を得ることが以前ほど容易ではなくなりました。かつて学歴は高収入への切符でした。しかし今では、その価値が大きく低下しています。初任給の大幅な下落や、「卒業した瞬間に失業」という現実を前に、一部の名門大学卒業生は、自宅にとどまり、親の年金に頼って生活する道を選んでいます。その一方で、公務員試験や大学院進学を目指す競争はかつてないほど激化しています。多くの若者にとって、希望が残されている道はその二つしかないと考えられているからです。
かつて高収入と安定の象徴だったIT業界やハイテク業界も例外ではありません。リストラのニュースが相次ぎ、高学歴で経験豊富なホワイトカラー人材が一斉に失業市場へ流れ込んでいます。特に厳しい状況に置かれているのが中高年層です。35歳を超えて解雇された場合、同水準の給与で再就職することは極めて難しく、多くの人が配車サービスの運転手やフードデリバリーの仕事へ転職せざるを得なくなっています。しかし、上海の配車サービス市場はすでに供給過剰です。中国当局もかつて、「運転手が毎日十数時間働いても、車両レンタル費や電気代を差し引けば、上海で最低限の生活を維持することすら難しい」と警告したことがあります。
上海経済の衰退は偶然ではありません。複数の危機が同時に押し寄せた結果だと考えられています。
中国最大級の国際金融センター、そして国際物流拠点でもある上海は、地政学的な緊張の高まりや外資企業の撤退による影響を最も直接的に受けています。多国籍企業が事業戦略を見直した結果、高収入の求人は減少し、若者の就職難や失業率の上昇につながっています。かつて上海では、外資系企業や投資銀行、証券会社への就職が高収入の象徴でした。しかし今では、多くの外資企業が地域統括本部をシンガポールや東南アジアへ移転しています。さらに国内金融業界も厳しい「高額報酬の制限」に直面し、ボーナスの大幅削減が続いています。
近年、中国当局による各種安全審査制度の強化によって、多くの外資企業は中国での事業運営がますます難しくなっています。外資撤退の影響は、上海が誇ってきた高級オフィス市場にも及んでいます。2026年第1四半期、上海市内の高級オフィスビルの実質賃料は前年同期比で1割以上下落しました。空室率は22.7%に達し、1年前より2.1ポイント上昇しています。需要と供給の不均衡は依然として解消の兆しが見えていません。
陸家嘴や静安寺といった、かつて「空きが出ればすぐ埋まる」と言われた一等地でさえ、多くのオーナーが大幅な値下げを余儀なくされ、内装工事を無料で提供するなどして入居企業の引き留めに必死です。その背景には、中小企業の大量倒産と、多国籍企業による上海オフィス縮小が続いている現実があります。
中国不動産市場の長期低迷によって、多くの家庭の資産価値も急激に目減りしています。約4800万円(200万元)で購入した住宅が、今では約1920万円(80万元)まで値下がりしているケースもあります。売却してもなお約3360万円(140万元)の住宅ローンが残るケースも珍しくありません。
また、出生率の低下は、将来的な需要の縮小をさらに加速させています。幼稚園や学校の統廃合が相次ぎ、上海では今年上半期だけで80校以上が閉校となりました。これは昨年1年間に閉校した60校余りをすでに上回っています。
こうした状況の中で、人口流出も加速しています。仕事を失った若者たち、上海を離れて故郷へ戻る人々、そして他地域から来ていた出稼ぎ労働者たち。こうした人々の流出は、上海の人口構造と消費基盤を静かに変えつつあります。ショッピングモールは空になり、店は閉まり、住宅価格は下落し、仕事も失われる中で、上海の繁栄を数十年にわたって支えてきた人々の自信と期待も、今や急速に失われつつあります。人々の不安はもはや「節約志向」や「消費の縮小」といった段階を超えています。多くの人が、未来そのものに対して迷いと絶望を感じ始めているのです。
(翻訳・藍彧)
