5月31日の夕方5時頃、中国黒竜江省ハルビンで、極めて珍しい大規模な砂嵐が突然発生しました。もともと晴れていた空は、わずか十数秒のうちに黄黒色の砂の壁に飲み込まれ、街全体が一気に暗闇に包まれました。猛烈な風が砂ぼこりを巻き上げながら吹き荒れ、道路の視界は急激に悪化。多くの市民は「まるで世界の終わりのようだった」と振り返っています。

 現場で撮影された多数の動画には、巨大な砂の壁が遠方から高速で迫り、空が灰黄色から漆黒へと変わって、昼間の街が瞬く間に夜のような暗さになる様子が映っています。走行中の車は次々とヘッドライトやハザードランプを点灯させ、歩行者は慌てて避難。撮影していた市民からは「いきなり真っ暗になった!」「怖すぎる、本当に怖すぎる」という声が上がりました。

 地元住民の多くは、これほどの光景を見たのは初めてだと話しています。

 「午後になって突然、一瞬で空が真っ暗になった。空全体が土色に染まり、砂混じりの風が家の中まで吹き込んできた。空気中は土の臭いでいっぱいで、本当に怖かった。まるで終末映画の中に入り込んだようだった」

 「30年以上生きてきて初めて見た光景だった。ちょうど車に乗っていたが、窓の外の空が青色から真っ黒に変わっていくのを見て、自分の目がおかしくなったのかと思った」

 「高さ100メートル級の黒い砂の壁が押し寄せ、わずか2分で住宅地全体を飲み込んだ。昼間だったのに墨を流したような暗さになった」

 砂の壁は驚くほど高く、遠くから見ると巨大な黒い幕が市街地に覆いかぶさるようでした。SNSでは「ハルビンが一瞬で夜になった」「ハルビン砂嵐」などの話題が急速に拡散し、検索ランキングの上位に入りました。

 今回の異常気象は砂嵐だけではなく、激しい雷雨、暴風、雹なども同時に発生しました。Weibo(微博)アカウント「中国天気」によると、当日午後5時から6時にかけて、内モンゴル東部、黒竜江省中西部、吉林省西部、遼寧省北部などで風速8~10級の突風が観測され、ハルビンの一部地域では最大瞬間風速35.4メートル毎秒を記録しました。これは風力12級に相当し、台風に匹敵するレベルの強風です。

 暴風の影響で、市内各地では樹木が根元から倒され、看板や仮囲い、一部の建築設備にも被害が出ました。動画には、道路脇の大木が次々と倒れ、車両が下敷きになって車体が大きく変形している様子も映っています。市民からは停電や断水が発生した地域もあるとの報告が相次ぎ、一時は交通機能も大きく混乱。市街地では高圧電線のショートによる火花が何度も確認され、植生の多い地域では大規模な火災も発生しました。

 高層マンションに住むある住民は、「うちは29階ですが、建物がずっと揺れていた。かなり長い時間揺れ続け、地震よりも怖かった。立っていても、座っていても、寝転んでいても、はっきり揺れを感じた」と投稿。「窓が吹き飛んだ」という声もありました。

 隣接する吉林省の一部地域でも激しい対流性気象の影響を受けました。吉林省のネットユーザーはこう話しています。「こちらも同じだった。外で食事をしていたが、数分で空が真っ暗になり、その後すぐに猛烈な風が吹いて雨になった。帰宅途中には大きなポプラの木がたくさん倒れていて、一部の車はその下敷きになっていた」

 黒竜江省気象台は当日の夜、相次いで気象警報を発表しました。午後6時40分には竜巻警報を発令し、「今後2時間以内に黒河市嫩江北部で局地的な竜巻が発生する可能性がある」と警告。最大瞬間風速は風力12~13級に達し、大型の雹を伴う恐れがあるとしました。同時に、ハルビン市気象台も雷雨と暴風に関する黄色警報を発表し、今後6時間以内に市内および周辺の各県で雷雨が発生し、一部地域では風力11~12級の突風や落雷、雹を伴う可能性があるとしています。

 今回の異常気象は、大規模イベントにも直接影響を及ぼしました。当日夜、ハルビン国際コンベンションセンターのスタジアムで開催予定だった『スーパー・ヴォイス・スターLIVEコンサート――ハルビン公演』は、急きょ中止に。張信哲(チャン・シンジェ)や張韶涵(チャン・シャオハン)など複数の人気歌手が出演する予定でした。現場映像では、スタジアム上部の巨大な白い屋根が強風で引き裂かれ、グラウンド内の大量の白い座席も吹き飛ばされ、一部の音響設備が倒壊する様子が確認できます。会場周辺には黄砂が舞い上がり、スタジアム全体が砂に包まれているような状態となりました。観客の中には600キロ離れた場所から車で駆けつけた人もおり、午後7時近くに到着すると延期を告げられ、「結局そのまま夜通し帰るしかなくなった」と無念そうに語りました。

 ハルビン融創文旅城も被害を受け、停電のため一部のアトラクションが運転停止に。観光客が撮影した映像には、ジェットコースターが高所のレール上で停止し、乗客が逆さまの状態で宙づりになっている様子が映っています。その後、スタッフによる緊急救助が行われ、乗客たちはレール上を歩いて避難しました。

 近年、中国北部では砂嵐の発生が増えていますが、今回のように東北地方の中心都市で大規模かつ猛烈な暴風を伴う砂嵐が発生するケースは依然として珍しいとされています。これまで中国の砂嵐は主にモンゴルや北西部の砂漠化地域で、春に発生しやすい傾向にありました。今回東北地方で強烈な砂嵐が発生した背景には、北方地域で続いた高温、急激な気圧変化、強い寒気の南下があったとみられます。一部の気象専門家は、強力な対流システムと乾燥した地表条件が重なって大量の砂ぼこりが上空へ巻き上げられ、暴風とともに巨大な砂の壁を形成したと分析しています。

 実際、中国各地では今年に入ってから異常気象が相次いでいます。南部の一部では長期の豪雨と洪水、華北や西北では高温と砂嵐が繰り返し発生。5月下旬以降は東北地方でも高温が続き、多くの地域で強風や雷雨が観測されています。

(翻訳・藍彧)