最近、広東省をはじめとする中国南部の多くの地域が、まれに見る持続的な猛暑に見舞われ、街全体がまるで巨大なサウナのような状態になっています。5月下旬以降、広東、広西、福建、湖南、江西などの各地は広範囲にわたって高温多湿な天候に覆われています。多くの地域で気温が34℃を突破しただけでなく、相対湿度も50%を超え、高い湿度と高温の相乗効果によって体感温度は急上昇し、40℃超えが常態化しています。

 このような極端な環境は、人々の生活に多大な影響を与えています。広州では体感温度が一時47℃まで跳ね上がり、現地のネットユーザーからは「まるで熱々の蒸し器の中に閉じ込められているようだ」という自嘲気味な声も上がっています。福建省福州市で今年初の猛暑日を記録した際には、高温と高湿度のせいで体感温度が50℃を突破したと、市民から悲鳴が上がりました。息苦しいほどの蒸し暑さを前に、各地の住民は一日中エアコンに頼ってなんとかしのぐしかありません。中には耐え難い暑さにイライラを募らせ、役所に電話をかけて「行政の力で天気をどうにかしてほしい」と突拍子もない要望を出す人まで現れたほどです。

 連日の過酷な暑さは、人々の生活だけでなく、農業やインフラにも深刻な被害をもたらしています。広東省茂名市の養鶏場では、経営者が継続的に水をまくなどの対策を講じていたにもかかわらず、上昇し続ける気温の前では焼け石に水でした。短時間で数千羽の鶏が暑さのあまり死んでしまい、甚大な損失に直面した業者は途方に暮れ、最終的に死骸を集めて土に埋める処理を行うしかありませんでした。同時に、インフラ設備にも影響が出ています。報道によると、広東省汕頭(スワトウ)市の局地的な気温は37℃まで上昇し、ある農村では午後の強烈な日差しが容赦なく大地を照りつけていました。その際、平らだったコンクリートの路面が直射日光にさらされて突然大きな音を立て、路面全体が急激に隆起し、コンクリート板が押し合って断裂するという目を疑うような光景が目撃されました。砕けた石と土埃が四方に飛び散り、道路は瞬く間にあちこちが破損してしまったのです。

 実際のところ、南部を襲うこの極端な猛暑は、昨今の中国における激しい気象変動の縮図に過ぎません。今年5月下旬以降、中国全土の天候は南北で極端に分断され、干ばつと水害が同時に起こるというまれな事態に陥っています。多くの地域が厳しい暑さに苦しむ一方で、武漢市は過去10年でまれに見る豪雨に見舞われ、休校や休業を余儀なくされました。重慶市では突発的な鉄砲水が発生し、死傷者や行方不明者が出ています。さらに広東省陽春市では72時間の降水量が1767ミリを記録し、同省の過去最多記録を塗り替えました。さらに異例なのは、暖かく湿った空気がそのまま北上し、モンゴルのゴビ砂漠にまで豪雨をもたらしたことです。通常であれば真夏にしか見られないような極端な気象状況が、初夏の段階ですでに起きているのです。

 なぜ6月に入ったばかりなのに、南部の気象がこれほどまでに過酷なのかと疑問に思う方も多いかもしれません。気象専門家は、これは決して偶然ではないと指摘しています。今年、異常な活発さを見せているエルニーニョ現象が決定的な要因となっているのです。簡単に言えば、エルニーニョとは赤道付近の太平洋東部で海面水温が異常に上昇する現象を指します。これが地球の大気循環システムを大きくかき乱し、広範囲にわたる海水の温暖化が地球規模の気候バランスを崩してしまいます。この現象に後押しされる形で、中国の夏の天候を決定づける太平洋高気圧が、例年よりも強力で巨大なものになっています。それがまるで巨大なドームのように、南部の上空をしっかりと覆い隠しているのです。その内側では空気が下降して温度が上がり、熱が外に逃げられない状態になります。そこに南部の豊富な水蒸気が加わることで、息もできないような高温多湿の環境が形成されているのです。

 さらに深刻なのは、地球温暖化という長期的な背景と、エルニーニョ現象という短期的な要因が重なり合い、季節の本来のリズムが完全に狂ってしまったことです。本来であれば真夏の7月や8月に現れるべき極端な気象が、異例の早さで引き起こされてしまいました。例年の気候を考慮すると、太平洋高気圧が最も勢力を強めるのは7月と8月です。つまり、現在多くの人々が悲鳴を上げている初夏の蒸し暑さは、今年これからやってくる過酷な夏への「ほんの序の口」に過ぎない可能性があるということです。

 このように深刻化する異常気象に対し、人々の懸念も高まり続けています。あるSNSユーザーは動画を投稿し、最近の太陽は異常なほど明るく、光が澄み切っていて不気味だと指摘した上で、現在の高温多湿な状態はもはや制御不能なレベルに達していると訴えました。また、今回の南部の猛暑をインドと比較する見方もあります。今年5月、インド北西部の最も暑い時期の気温は47℃に達しましたが、それは湿度15%の乾いた暑さでした。一方、広東省の掲陽市や広州市越秀区などでは、38℃から40.2℃の気温に50%近い高湿度が加わり、体感温度は48℃、さらには50℃にまで迫っています。この息苦しくなるような多湿環境により、体感的な苦痛という点から見れば、現在の中国南部の一部地域はすでにインドを上回り、想像を絶する過酷な状況と化していると嘆く人も少なくありません。

(翻訳・吉原木子)