「仕事が見つからなくて、今は深セン市龍華区のホテル街まで来ている。ここ、今なんと1泊約500円(20元)のベッドがあるんだ。以前はここって高級ホテルの代名詞みたいな場所だった。最低でも約2300円(100元)からが普通だったのに、今は何が起きているのかわからない。ホテルがどんどん潰れているんだろうな。今泊まっているのは地元の人たちばかりだ。もしみんなも仕事が見つからず困ったら、とりあえずここで一時的に暮らすことはできるよ」

 「中新グループ莱陽田業が倒産!勤続1年で補償はたった約6900円(300元)!こんなの理不尽すぎる!」

 中国の消費市場では低迷が続き、今、多くの業界でかつてない「倒産ラッシュ」が広がっています。

 飲食、小売、教育、観光、不動産など、多くの企業が閉店や営業停止に追い込まれ、一般の人々も景気悪化を肌で感じ始めています。中国当局は依然として「景気は回復している」と強調していますが、現実には消費の落ち込みと企業倒産が止まらず、市場全体の冷え込みを隠しきれていません。

 中国国家統計局が5月18日に発表したデータによると、今年4月の中国の社会消費財小売総額の伸び率はわずか0.2%でした。市場予想を大きく下回っただけでなく、ここ数年でも最低レベルの伸び率となっています。

 さらに中国人民銀行のデータでは、4月の個人向け融資は約18兆円(7869億元)減少し、過去最低を記録しました。

 消費ローンも住宅ローンも同時に縮小しており、人々がますますお金を使わなくなり、借金すら避けるようになっている実態が浮き彫りになっています。これまで中国経済を支える重要な原動力とされてきた「消費」は、今、明らかに失速しています。その影響を真っ先に受けたのが飲食業界です。

 データによると、2025年には全国で300万店舗以上の飲食店が閉店しました。多くの店は開業からわずか1年ほどで潰れていきます。かつて賑わっていた商店街には、今では「店舗譲渡」「営業停止」の張り紙が目立つようになりました。上海の有名レストラン「順風大酒店(じゅんぷうだいしゅてん)」、上海料理の老舗「上海老飯店(シャンハイろうはんてん)」、さらに「楊記隆府(ようきりゅうふ)」などのチェーン店でも大量閉店が発生しています。かつて200店舗以上を展開していたミルクティーブランド「吃茶三千(チチャサンチェン)」は、現在営業中なのはわずか2店舗だけです。老舗チェーン「CoCo都可(ココトカ)」も、半年で400店舗以上を閉鎖しました。かつて中国全土で大人気だったインスタント火鍋ブランド「自嗨鍋(ジハイグオ)」は、最近になって破産清算を申請しました。一時代を築いた高級アイスブランド「鍾薛高(ジョンシュエガオ)」も、債務超過で破産手続き入りとなりました。

顧客を奪い合うため、飲食業界では値下げ競争が激化しています。現在、中国の外食の平均客単価は10年前の水準まで落ち込みました。多くの店は赤字でも、とにかく安売りで客を呼び込むしかない状況です。

 飲食業だけではありません。小売業界でも大規模な閉店ラッシュが起きています。2025年には60以上の小売チェーンブランドが相次いで店舗閉鎖を実施しました。
スーパーマーケット、化粧品、アパレル、高級ブランドまで幅広い分野に影響が広がっています。

 かつて若者に人気だったアジア圏で展開する大手ドラッグストア「万寧(マンニン)」や、香港を拠点とする大手化粧品チェーン「莎莎(ササ)」は、中国市場から次々と撤退しました。ワトソンズも一線都市の店舗を次々閉鎖しています。日本や韓国系の化粧品ブランドも、多くが売り場撤退を進めています。

 大型スーパーも厳しい状況です。湖北省のスーパー大手「中百倉儲(ちゅうひゃくそうちょ)」は以上を閉鎖しました。「永輝超市(ヨンフイ・スーパーマーケット)」は5年連続赤字となり、大量閉店に追い込まれています。

 高級ブランド市場も急速に冷え込んでいます。Gucci、Armani、Lanvinなどの国際ブランドも、中国の店舗を次々閉鎖しています。かつて「おしゃれ」や「中産階級の象徴」とされたアパレルブランドでも、大量撤退が相次いでいます。

 教育・研修業界の状況も深刻です。子ども向けプログラミングやダンス教室から、フィットネス、ヨガ、留学エージェントに至るまで、多くの教育関連ブランドが倒産に追い込まれています。かつて中国で1000店舗以上を展開していたバスケットボール教室「東方啓明星(とうほうけいめいせい)」は、現在わずか十数店舗しか残っていません。有名フィットネスチェーン「威爾仕健身(ウイルズ・フィットネス)」も、最後の店舗が正式閉店しました。

 ペット業界も深刻な打撃を受けています。複数のペットチェーン店が短期間で資金難に陥り、大規模閉店を実施しています。中には設立から1年も経たず、全店舗閉鎖となったブランドもあります。

 医療サービス業界でも経営破綻が相次いでいます。産後ケアセンターや歯科医院が突然営業停止し、利用者が事前に支払った料金を取り戻せないケースが続出し、各地で抗議活動も起きています。

 さらに、中国の薬局業界でも異例の閉店ラッシュが発生しています。2025年には全国の薬局数が純減で2万店以上減少し、中小薬局の淘汰が急速に進んでいます。

 一見活況に見える観光業界にも、実は危機が広がっています。2026年以降、少なくとも7社の大型観光・リゾート企業が破産清算や法的再建手続きに入りました。地方国有企業、大型観光施設、高級リゾート開発まで含まれています。かつて数千億円規模を投じ、「スター事業」と宣伝された観光地やホテルも、今では経営危機に陥っています。

 中国の自動車市場も急速に冷え込んでいます。データによると、2026年4月のガソリン車販売は前年同期比で37%も急落しました。EVを含む新エネルギー車の販売も下落が始まっています。乗用車市場全体では、すでに7か月連続で販売減少が続いています。特に厳しいのが自動車ディーラーです。大量の正規ディーラーが赤字に陥り、車を売れば売るほど損をする状況に追い込まれています。価格競争は激化していますが、それでも消費者は車を買おうとしません。

 中国の消費を最も押し下げている根本原因とされるのが、不動産不況です。ここ数年、中国の不動産市場は下落が続いています。住宅価格は約3年連続で下がり続け、不動産企業の資金繰り悪化、リストラ、工事停止、倒産が急増しています。データによると、2025年上半期だけで、不動産企業の破産再建・清算案件は全国で1500件を超え、前年比約25%増となりました。不動産不況は、人々の「資産感覚」を直撃しています。これまで多くの中国家庭は、不動産価格の上昇によって安心感を得てきました。しかし、今は住宅価格が下落し、多くの人が資産縮小を実感しています。その結果、消費意欲も大きく低下しています。

 さらに就職難も深刻化し、収入減、リストラ、賃下げが広がる中、節約志向が急速に強まっています。かつて人で溢れていた繁華街は客足が減り、空き店舗が急増しています。起業家たちは次々撤退し、中産階級の消費も明らかに縮小しています。

 専門家の中には、中国の消費市場の問題は、もはや単なる「消費低迷」ではなく、不動産不況、雇用不安、所得減少、企業信頼の低下など、複数の問題が同時に噴き出している状態だと指摘する声もあります。街の小さな店から大型チェーン、高級商業施設、不動産、自動車産業まで、中国の多くの業界が今、深い縮小局面に入っています。そして消費マインドが回復しない限り、この全国規模の倒産ラッシュは、まだ終わりが見えない状況です。

(翻訳・藍彧)