毎年大晦日に放送される中国の「春節聯歓晩会」は、中国中央テレビが主催する大規模な文芸番組です。数十年にわたり、「春晚」は公式には全国民の「年夜飯」と位置づけられ、外部からは中共当局の政治宣伝機能を担っていると広く認識されています。今年の晩会はロボットパフォーマンスをめぐり、国内外で新たな論争を引き起こしました。

 複数の情報源によると、今年の「春晚」舞台には4社のロボット企業が参加しました。本来は文芸中心の晩会であるはずが、多くの観客の目にはハイテク製品の展示会のように映ったといいます。その中でも杭州の宇樹科技が発表した人型ロボットが特に注目を集めました。同社はこのシリーズのロボットを1台約20万元(約450万円)で、教育・研究市場向けと宣伝しています。

 しかし、ソーシャルプラットフォームXで「新闻调查」というアカウントの運営者が動画を公開し、このロボットパフォーマンスに「人間による操作」があると指摘し、いわゆる「自律知能」能力に疑問を呈しました。動画では、リハーサル現場で「自律行動可能」とされる各ロボットの背後に、スタッフがバックステージでリアルタイム操作している様子が映っています。中国中央テレビの本番では、ロボットの動作は事前にプログラムされているものの、バックステージのスタッフが機器で指令を出さないと完全なパフォーマンスができませんでした。

 同アカウントは、これらのロボットに自律判断・誤り訂正能力が欠如し、無人介入では複雑な動作ができないと指摘しました。「すべての動作にバックステージのスタッフ制御が必要で、厳密には本物の人工知能属性を備えていない」としています。関連動画は海外ソーシャルメディアで大量に転送され、大きな議論を呼びました。

 さらに別の拡散動画では、ロボットが観客席前で「自発的に」手を振って挨拶している一方で、少し離れた場所で両手を背中に回した男性がリモコンを操作している様子が映っていました。また、キャスターが宇樹の展示ブースを訪れた際、「多くの人がロボットに人が操作しているか聞くが、答えは『はい』です」と率直に答え、カメラに操作者のクローズアップがはっきり映っていました。

 同日、ネット上ではアメリカのネットユーザーが実測した動画が拡散されました。購入者が宇樹ロボットにキッチンで料理をさせようとしたところ、ロボットがスプーンで食べ物を床にこぼし、こぼれた物を踏み滑って転倒する少々みっともない場面が映っていました。関連動画は大量の反響を呼び、ネットユーザーが「大々的に宣伝していたのに現実がこれか」と皮肉ったり、「ロボットが抗議しているのか」と冗談を言ったり、中国の技術宣伝モードへの反省にまで話題が広がりました。

 公開情報によると、宇樹科技は2016年に設立され、2025年7月に株式会社となりました。投資家にはセコイア・チャイナ、経緯創投、順為資本などの著名な資本機関が含まれます。同社は四足ロボット犬と人型ロボットを主力製品とし、国内外の展示会で頻繁に登場しています。

 一方で、同社の背景と潜在的な軍民融合関係も注目を集めています。2025年5月、米国下院「米国と中国共産党戦略競争特別委員会」は連邦機関に対し、宇樹科技と中国軍との関係および軍民融合プロジェクトへの参加の有無を調査するよう求めました。同時に、2025年8月、台北市政府が宇樹のロボット犬を巡回警備に導入した際も、情報セキュリティとソフトウェアバックドアに関する疑念が浮上しました。

(翻訳・慎吾)