最近、中国湖北省の武漢市は稀に見る極端な高湿度に見舞われています。市民がスマートフォンで天気を確認すると、湿度が一時100%にまで達しており、驚きの声が上がりました。ある市民は「まるで滝の中に住んでいるようだ」と表現し、全身が熱気を帯びてベタつき、耐え難いと語っています。さらに日常生活への影響も深刻です。地下室や路面は結露で滑りやすく、外に干した洗濯物は乾かないばかりか嫌な臭いを放ち始め、さらには「寮のドアから水滴が滴り落ちている」と報告する大学生もいるほどです。そして、これと同時に、同市は度重なる豪雨にも直面しています。

 現地メディアの報道によると、武漢市民はこの数日間、息苦しいほどの蒸し暑さに悩まされています。その空気は、まるで脱ぐことのできない「濡れたコート」のように人々にまとわりついているといいます。朝起きるとすぐに全身のベタつきを感じ、地下駐車場の床は水気でツルツルになり、少し気を抜くと転びそうになると話す市民もいます。また、大学の寮に住む学生からは、ベッドの布団まで湿り気を帯びているという声が聞かれました。「道に魚を置いたら生きていられるのではないか」と自嘲する人や、この湿気を「牛に舐め回されたよう」と表現する人もおり、現地での不快感の強さがうかがえます。

 現地の気象部門の発表によると、最近の武漢市内は湿度が80%から100%という極めて高い水準を維持し、典型的な「飽和状態の高湿度天候」になっています。少し外に出ただけで顔がテカリ、体がベタつくほか、洗濯物も乾かずにカビ臭くなってしまいます。そのため気象部門は、日中は屋外からの湿気の侵入を防ぐためにドアや窓を閉め、エアコンの除湿機能を活用し、タンスの隅に除湿剤を置いて結露を防ぐよう市民に呼びかけています。

 湿度100%とは、空気中の水蒸気が完全に飽和し、これ以上水分子を取り込めない状態を示します。温度が少し下がるか、水蒸気が冷たい物体に触れるとすぐに凝結し、水滴になります。これが、ドアが「汗をかく」現象や壁の結露の根本的な原因です。水漏れではなく、空気中の過剰な水蒸気がその場で水に変わったものです。毎年5月下旬から6月にかけて、中国の長江中下流域は梅雨入り前の移行期にあたります。南からの暖かく湿った空気と北からの冷たい空気がちょうどこの地域で繰り返し衝突するため、長期にわたり湿度が高止まりする傾向にあります。今年の武漢の湿度がこれほど話題になっているのは、短期間で多くの市民の我慢の限界を超えてしまったためと言えます。

 こうした高湿度に悩まされているのは武漢だけではありません。5月25日には同じ長江流域にある重慶、合肥、南京などで湿度が軒並み80%を突破し、北に位置する河南省の鄭州でも94%に達しました。SNS上では、江西省の九江市でもこの状況から逃れられず、例年より早くエアコンを稼働させたと嘆く声が見られます。「まだ5月なのに少し歩いただけで汗だくになり、まるで蒸し器の中です。夜もベタベタして眠れません」といった投稿が共感を集めています。

 高湿度の環境が人体に与える影響も深刻です。湿度が飽濁状態に近づくと汗が蒸発しにくくなり、熱が体にこもって強烈な息苦しさを引き起こします。同じ気温でも乾燥した日より湿気のある日の方が耐え難いのはこのためです。心疾患や喘息を抱える人、高齢者や子供にとって、この「サウナ状態」は体調不良を誘発するリスクがあるため、現地ではより一層の警戒が促されています。また、健康への影響だけでなく、室内の湿度が長期間70%を超えるとカビやダニが急速に繁殖しやすくなります。呼吸器系トラブルの要因となるほか、食品の腐敗、さらには電子機器や精密機器のショートのリスクも高まります。

 こうした極端な蒸し暑さに加え、武漢は最近、度重なる豪雨の被害も受けています。現地メディアの5月27日付の報道によると、同日午前9時20分に突然雷鳴が轟き、そのわずか3分後には稲妻とともに、バケツをひっくり返したような猛烈な雨が降り注ぎました。雨は視界を完全に遮るほど激しかったといいます。「あっという間に服がずぶ濡れになりました」と、傘を持たずに出かけた市民は後悔を口にしていました。別の市民も「大きな黒い雲が風に押されて流れていくのが見えた」と語っており、午前10時頃になっても、猛烈な暴風雨の勢いが衰えることはありませんでした。

 同日午前8時53分、武漢市気象台はすでに雷雨の「黄色警報(注意報レベル)」を発表していましたが、9時35分にはより警戒度が高い「オレンジ色警報」に引き上げられました。気象台は、数時間以内に一部地域で短時間の強い降水や雷、強風などの激しい気象現象を伴う猛烈な雨になると予測しました。最大時間雨量は30ミリから60ミリに達する恐れがあり、都市部の冠水や中小河川の氾濫、土砂災害などのリスクが著しく高まっています。

 注目すべきは、武漢がここ最近、何度も極端な豪雨に直面していることです。先週だけでも、市内で最も警戒レベルの高い「赤色警報」が2度も発令されました。5月24日午前には、この警報に伴い、インフラ等の特殊な業種を除いて集会や学校の授業、企業の営業を停止する措置がとられました。現地の住民からは「今回の雨は本当に激しく、一晩中降り続いた」と疲弊する声が上がっています。武漢だけでなく周辺の仙桃市などでも同様の警報が発表されており、今回の極端な気象がもたらす影響範囲の広さと深刻さがうかがえます。

(翻訳・吉原木子)