2026年に入り、中国各地で未成年者の失踪や不自然な死亡が相次いで報じられています。河南省新蔡県では13歳の生徒が学校内で死亡し、説明や検証を求める声が広がりましたが、公式情報は限られており、調査の過程も外部から見えにくい状況が続いています。

 その後も、河南省、山東省、河北省、安徽省、四川省、貴州省、遼寧省など複数の地域で、未成年者の行方不明が続けて伝えられ、社会の不安は強まっています。状況が不透明であるほど、人々は出来事を結び付けて考えやすくなり、ネット上では生体臓器摘出や詐欺拠点の国内移動といった疑念まで広がっています。

 現時点で何が確認できて、何が確認できていないのでしょうか。なぜ情報が十分に出てこないのでしょうか。未成年者の安全をめぐって、いま中国で何が起きているのかを、整理してお伝えします。

13歳男子生徒の校内死亡

 1月8日、河南省新蔡県の今是清華園高級中学で、世論を大きく揺さぶる出来事が起きました。わずか13歳の朱姓男子生徒が校内で突然死亡したのです。

 異常は最初から見えていたとされています。家族が現場に到着する前に、学校側は救急車を手配し、遺体を移送しようとしました。ところが途中で、亡くなった生徒の叔父にあたる人物が車で追いかけ、搬送を止めました。

 家族が遺体と対面できたのは数時間後でした。しかし、その時に目にしたのは、口元に出血の跡があり、左胸に針で刺したような穴がはっきり残る遺体でした。後に当局側が「心臓が原因の突然死」と説明したことと、どうしても一致しないのです。

 この事件をきっかけに、保護者や住民が集まり、説明を求める動きが広がりました。ところが、待っていたのは公開調査ではなく、大規模な武装警察の投入、県内の道路封鎖、高速道路の厳格な管理だったといいます。遺族の両親が拘束されたとみられ、ネット上の情報もブロックされ、現場の動画は削除されました。さらに、調査に入ろうとした弁護士の周中臣さんは、新蔡県に入った直後に暴行を受け、携帯電話を壊されました。

 複数の情報筋は「亡くなった生徒は希少な血液型だった」と明かし、学校側の思惑が想定外の形で崩れた、という趣旨の証言も流れました。また、この学校の大株主は、中国共産党との関係が深いとされるカンボジアの「大慈善家」だ、という指摘まで出ています。

 1月10日以降、新蔡県はほぼ「準封鎖」状態です。

 1月11日、現地当局は短い通報を出し、「心原性突然死」と断定し、左胸の針穴については「法医が採血した跡だ」と説明しました。

 しかし、この説明はネット上で強い反発を招きました。家族がまだ現場に到着していないのに、法医がすでに採血を終えていたのか、という点が納得できないというのです。厳しい治安維持のもとで、証拠の流れが断ち切られていると見られる現実の中で、この通報は疑問を消すどころか、「調べられない真実があるのではないか」という疑念を、逆に深める結果になりました。

60キロ圏内でまた失踪 「代役」疑惑

 新蔡県の事件が収まらないまま、そこからわずか40から60キロほどの距離にある河南省淮浜県で、再び生徒の失踪が伝えられました。1月9日の夜、淮浜県第一中学の男子生徒、杜秋沢さんが下校後に連絡が途絶え、家族はいまもはっきりした手がかりを得られていないといいます。

 距離の近さと時期の連続性から、ネット上では「新蔡県の件がうまくいかなかったから、次の標的にしたのでは」「A案が失敗したからB案に切り替えたのでは」といった書き込みが大量に出ています。

中国各地で相次ぐ失踪

 1月13日、Xの発信者「亜軍&王歪嘴」が「2026年に入ってから、突然消える子どもがどんどん増えている」と投稿しました。添付画像によると、1月4日には山東省臨沂市の17歳の少年、翟明浩さんが、臨沂市内のある団地で行方不明になったとされています。
 1月5日の夜、河北省大城県で14歳の少女、趙欣冉さんが東汪村で失踪
 1月6日の朝6時すぎ、遼寧省建昌県で15歳の少女、王新悦さんが失踪
 1月7日の昼ごろ、安徽省懐寧県で17歳の少女、汪田雅琪さんが失踪
 1月10日の午後、四川省栄県で11歳の少女、馬香羽さんが失踪
 1月10日の午後2時ごろ、貴州省普安県で13歳の少女、陳娴さんが失踪
 1月11日の午後4時40分、河南省淅川県で14歳の少年、楊佳豪さんが校門前で失踪
 1月12日の朝6時すぎ、河南省駐馬店市で13歳の少年、王一淳さんが登校途中で失踪
 1月12日の朝6時半ごろ、河南省鄲城県で14歳の少女、徐夢瑶さんが登校途中で失踪
 1月13日には、ブロガーの「抖音找人譲爱回家(ティックトックで捜索 愛を家に帰す)」が、この時期に「河南省商丘市で5人が行方不明になった」と発信しました。失踪場所は駅、スーパー付近、団地などばらばらで、年齢も子どもから青年、中年まで幅があるとし、「つらい、胸が痛む」と訴えています。

詐欺拠点が国内回帰か

 2025年12月、タイ軍がカンボジアの詐欺拠点に空爆を行い、中国人の詐欺グループが大混乱の中で逃げ散ったとされています。その後、中国の複数のブロガーが、より不安な傾向が現れつつあると相次いで明かしました。「各地で、外部と遮断された工場や園区が増えている。もともとカンボジアやミャンマーに設置されていたグレー産業が「国内回帰」しているのだ。高い塀、厳重な警備、人の隔離など、作りが驚くほど似通っている」と指摘しました。

 ネット上の投稿
 「海外じゃやりにくくなったから、国に戻っただけだ」
 「もう隠す気すらない。最初から堂々としている」

 そして、電話詐欺、人口の管理、違法な臓器ビジネスは、過去の事例でも重なりやすい分野だとされてきました。外と切り離された空間、人が消える状況、医療資源、強力な治安維持。これらが同時にそろうと、危険な循環ができあがってしまう。そうした見方が広がっています。

生体臓器収奪の疑い

 中国共産党による生体臓器収奪をめぐる告発は、今回が初めてではありません。「法輪功迫害追及国際組織(略称:WOIPFG 追査国際)」や、複数の国の独立調査報告は、1999年以降、中国の臓器移植件数が、自発的な提供の数と大きくつり合っていないと、以前から指摘してきました。未成年、拘束中の人、特定の集団が高いリスクの対象となっています。臓器の収奪の流れには、医療、司法、治安維持の仕組みが関わるとされてきました。

 こうした背景があるからこそ、子どもの失踪、学校内での不可解な死亡、調査の封鎖、弁護士への暴行が同時に起きたと伝えられると、人々は当然ながら点と点を結び、断片的な事件をより大きな絵として見てしまうのです。

 河南省新蔡県の事件が裂いたのは、ある家族の傷だけではありません。「子どもはもう安全なのか」という最も基本的な問いに対する信頼が、社会全体で崩れ始めています。

(翻訳・藍彧)