2月28日、アメリカ軍とイスラエル軍はイランに対して合同空爆を実施し、イランの最高指導者ハメネイ師と、複数の軍・政界の高官を殺害しました。今回の作戦では、イランが保有していた中国製・ロシア製の防空レーダーや地対空ミサイルシステムは期待されたほどの性能を発揮できず、米イスラエル連合軍の攻撃をまったく防ぎきれませんでした。専門家は、イランの防衛体制が機能しなかった主な原因を分析しました。
台湾の自由時報によると、イランの防空システムは、主にロシアと中国から導入した装備と、自国で開発したシステムを組み合わせた構成になっています。
ロシア製のS-300長距離地対空ミサイルと、Tor短距離地対空ミサイルは、ステルス戦闘機を迎撃する切り札と見なされてきました。しかし、今回の空爆では、作戦の初期段階で複数のS-300ミサイルシステムのレーダーと指揮車両が、イスラエル軍によって正確に破壊されました。さらに、S-300長距離地対空ミサイルシステムを防護するために配備されていた短距離のTorミサイルシステムも、低空から飛来したドローンを効果的に迎撃できませんでした。
中国製のHQ-9B地対空ミサイルシステムは、実戦の中でイラン軍がもともと保有していた兵器システムと、効果的にデータ連携することができませんでした。イラン国産のBavar-373地対空ミサイルシステムと、Ghadir潜水艦発射巡航ミサイルシステムにも一定の探知能力はあったものの、電子妨害を受けた際の動作は安定していませんでした。
台湾国防部系シンクタンク、国防安全研究院の研究者である舒孝煌(じょこうこう)氏は、米軍によるイラン防空網の制圧は、非常に大きな成果を上げたとみています。舒氏は、アメリカ側が兵器システムそのものの破壊に加え、電子妨害やサイバー攻撃なども組み合わせ、イラン軍のレーダーを機能不全に追い込んだ可能性が高いと分析しています。これは、アメリカ軍が近年、第5世代戦闘機、長距離精密兵器、自爆型ドローンへの投資を大幅に強化してきた方針が、きわめて的確だったことを裏付けるものだといえます。
舒氏は、イランは中国とロシアの軍事技術支援を受けているとはいえ、昨年アメリカとイスラエルの攻撃を受けたことで、防空体制は大きな打撃を受け、短期間で立て直すのは難しいと指摘しています。今回のような、アメリカ軍とイスラエル軍による極めて精密な空からの攻撃を前にすると、イラン軍の反撃能力には限界があったことがはっきり表れたということです。
台湾のネットワーク安全保障・政策シミュレーション研究所の副研究員、林超倫(りんちょうりん)氏は、「なぜイランは米イスラエル連合軍を効果的に防げなかったのか」と題する文章の中で、近年の中イラン軍事協力は、単なる武器輸出の段階を超え、衛星情報、航法システム、戦略物資の供給にまで広がっていると指摘しています。2025年以降、中国共産党はイランにHQ-16とHQ-17AE防空ミサイルを引き渡し、それまでに損傷を受けていた防空火力網の立て直しを支援したほか、ドローンやミサイルの製造材料も提供したとされています。さらに双方は、CM-302対艦ミサイルとDF-17極超音速滑空ミサイルをめぐる交渉も進める一方で、イランによるGPS依存を減らすため、北斗3号の暗号化航法信号の統合も支援していたといいます。
しかし、今回の米イスラエル連合軍によるイラン攻撃では、中国が提供した装備や技術支援は、ほとんど効果を発揮しませんでした。林超倫氏は、今回の敗因は主に3つあると分析しています。
まず1つ目は、情報浸透と奇襲戦術で圧倒されたことです。今回の作戦が成功した最大の前提には、イランの意思決定中枢の正確な位置情報を、米イスラエル側が把握していたことがあります。アメリカ中央情報局(CIA)とイスラエルの情報機関は、長期にわたってハメネイ師の動向を追跡しており、武装部隊総司令官、国防相、情報機関トップなどの中枢幹部が、いつ、どこで、テヘランに集まるのかを正確につかんでいました。そして現地時間の午前9時40分、米イスラエル連合軍は長距離の高精度弾薬を使い、2棟の建物に対して同時攻撃を実施し、奇襲を完璧に成功させました。イラン軍の指揮系統は十分な対応準備ができないまま、米軍による電子妨害と物理的破壊を受け、防空火力網を展開する前に機能を奪われたのです。
2つ目は、中国とイランが協力して築いてきた軍事体系が、攻撃重視で防御が弱かったことです。中国が提供してきた衛星偵察システムや北斗航法システムは、イラン軍の攻撃能力を高めるためのもので、防御力の強化には直結していませんでした。さらに、イランと中国が交渉を進めていたCM-302対艦ミサイルや、すでに引き渡されていたドローンも、いずれも攻撃用の兵器です。高高度を飛ぶ戦闘機や、高速で飛来する空対地ミサイルを迎撃する用途には、そもそも使えませんでした。
3つ目は、システム統合と中核装備の整備がまだ不十分だったことです。一部の先進兵器は、なお交渉段階にあるか、引き渡しが始まったばかりで、実戦で機能する一体的な戦力にはなっていませんでした。さらに、異なる供給源による防空システムの間では、統一された早期警戒レーダー網や統合作戦指揮体制が構築されておらず、データ共有にも大きな限界がありました。米イスラエル連合軍の戦闘機部隊は、長期間にわたる訓練を積み、強力な電子戦能力とステルス侵入能力を備えています。そうした相手に対して、イラン側は有効な迎撃火力網を築くことができませんでした。
林氏は最後に、今回の合同攻撃では、アメリカを中心とする西側諸国の軍事技術が圧倒的な優位を示したと総括しています。軍事分野のソフト面もハード面も、いずれも数々の実戦で厳しく鍛えられており、作戦の信頼性と戦場環境への適応力は非常に高いということです。こうした、長年の実戦経験と最先端技術の研究開発に支えられた打撃能力こそが、米イスラエル連合軍が作戦初期の段階から勝機をしっかり握ることができた最大の理由だとしています。
それに比べると、中国とイランの間で進められてきたさまざまな軍事協力や、イランが近年国内で進めてきた軍改革は、今回の米イスラエル連合軍による高強度かつ高精度の攻撃を前にして、深刻な問題を露呈しました。イラン軍は、中国の防空システムや衛星偵察など、ソフトとハードの両面で装備を導入していたものの、それらを十分に統合して運用することができませんでした。その結果、米軍の強力な電子戦による制圧と、優れた戦場状況把握能力を前にして、防御網は本来の力を発揮できなかったのです。
中国は近年、軍事技術の輸出を拡大し、地域紛争への影響力も強めようとしてきました。しかし、軍全体の実力をアメリカと比べれば、なお大きな隔たりがあることが、今回あらためて浮き彫りになりました。実戦経験、システム統合能力、先端技術の研究開発、そして戦場全体を把握する能力まで含めた総合的な差こそが、イランが今回の衝突で中国の装備支援や技術協力に依存していたにもかかわらず、ほとんど対抗できなかった最大の理由だといえます。
(翻訳・藍彧)
