旧正月の大型連休が明けた直後、中国各地の民政局では、仕事始めの初日から離婚手続きが殺到する異様な光景が見られました。2月25日、複数のショート動画プラットフォームで拡散された動画では、旧正月明けの業務再開初日、離婚窓口の前に長い列ができ、一部の窓口では整理番号がすでに100番台に達し、列の先が見えないほど人が並んでいました。

 それとは対照的に、結婚登録の窓口はひっそりとしていました。遼寧省瀋陽市の民政局婚姻登記所とみられる内部映像では、その日に結婚登録をした新婚カップルはわずか3組だったのに対し、離婚申請を出した夫婦は47組に上っていました。

 動画の中では、東北なまりの職員があきれたようにこう漏らしています。
 「結婚登録は3組だけなのに、離婚申請は47組だよ。正月の間、みんな家でちゃんと過ごせなかったのかね」

 関連動画はXやTikTokで広く拡散され、ネット上では大きな反響を呼びました。
 「47組の離婚を見て、この3組も自分たちの未来が見えたんじゃないか」
 「旧正月が、ついに夫婦関係を壊す最後の一押しになったのかもしれない」

 データの面でも、この変化は見過ごせない段階に入っています。中国の民政当局が公表したデータによると、全国の結婚登記件数は2013年以降、長期的な減少が続いています。2013年には全国で1346万9000組だった結婚登記は、2022年には683万5000組まで減少しました。2023年には一時的に768万2000組まで持ち直したものの、2024年には再び610万6000組へと落ち込み、1980年以来の最低水準を記録しました。

 民政当局が今年2月12日に公表したデータでは、2025年の全国の結婚登記は676万3000組、離婚登記は274万3000組で、離婚件数の割合は40.6%に達しています。つまり、新たに10組が結婚すると、その一方でおよそ4組が離婚している計算になります。

 若者や家庭の問題を長年研究してきた学者の畢鑫氏は、ラジオ・フリー・アジアに対し、家庭は社会の安定を支える土台であり、結婚率の低下と離婚率の上昇は、社会構造そのものに大きく長い影響を及ぼすと指摘しています。

 なぜ旧正月明けは離婚が増えやすい時期になるのでしょうか。山東省の弁護士である陳氏は動画の中で、これは偶然ではなく、いくつもの要因が重なった結果だと分析しています。彼が挙げた理由は4つあります。

 1つ目は、夫婦の間にたまっていた不満や衝突が一気に表面化しやすいことです。旧正月の間は親戚付き合いや訪問が増え、出産の催促、嫁姑の関係、ご祝儀や付き合いの出費、家事の分担、子どもの教育など、普段は見えにくかった問題が、長時間一緒に過ごす中で一気に噴き出しやすくなります。

 2つ目は、体面を気にして年明けまで我慢する夫婦が少なくないことです。すでに関係が壊れていても、旧正月の最中に離婚すれば高齢の親を悲しませたり、親戚にあれこれ言われたりするため、とりあえず年が明けるまでは耐え、連休後に手続きを進めるケースが多いというのです。

 3つ目は、離婚冷静期間の制度と新年という節目が重なることです。年末の時点で、すでに離婚を考えていた人たちが、年明けをきっかけに正式な申請へ進む流れができやすいといいます。

 4つ目は、家計の現実が年末年始ではっきり見えてしまうことです。年末のボーナス、収入の配分、家庭の支出などを改めて整理すると、それぞれの価値観の違いや、現実との隔たりが一気に突きつけられることになります。

 祝日の影響だけでなく、結婚に対する理想と現実の落差をめぐる議論も、いま中国で一段と熱を帯びています。TikTokで広く拡散された動画では、中年女性が「質の高い結婚」を求めて簡単に離婚を選ぼうとする若い世代に向けて、率直な忠告を語っていました。
 「男は稼いで家族を養い、女はきれいでいればいい。そんな考え方は女性を甘やかして壊すだけでなく、男性のことも苦しめる」

 彼女の見方では、今の家庭が背負う重圧は、前の世代よりはるかに大きくなっています。住宅ローン、車のローン、子どもの教育費、親の介護や老後の負担まで重なり、これらすべてを男性1人で背負い切れる人は、ほとんどいないというのです。

 さらに彼女は、娘を無条件に子どものように甘やかしてくれるのは父親くらいのもので、結婚相手にそれを求めるのは現実的ではないとも話しています。彼女にとって結婚とは、幻想を一方的にかなえてもらう場ではなく、互いに受け入れ合い、責任を分け合って生きていくものなのです。

 一方で、中年夫婦の離婚は、多くの場合、男性側に問題があるという声もあります。
 「中年夫婦が離婚する場合、その多くは男性側に責任がある。納得できない人もいるだろう。浪費ばかりする女性だって少なくないじゃないか、と。だが、ここで言っているのは40歳以上の中年夫婦のことだ。落ち着きがなく、生活もいい加減な女性なら、たいてい若いうちに離婚している。中年まで夫婦関係が続いている女性の多くは、地道に家庭を支えてきた人たちだ」

 その一方で、ネット上では「離婚した人がたどり着く4つの結末」や「再婚経験者からの忠告」といった内容をまとめた投稿も広がっており、いまある結婚をもっと大切にするべきだと訴える声も出ています。

 こうした激しい世論の中で、離婚を考えている若い世代に思いとどまるよう呼びかけるネットユーザーもいます。ある中年女性は動画の中で、「見返りを求めず、ただひたすら自分に良くしてくれる男性は、周囲から見れば愚かに見えるかもしれないが、それこそが相手を大切に思う気持ちであり、責任感の表れでもある。本当に情に厚く、義理を重んじる人ほど目立ちたがらず、ほんの少しでも相手から気持ちが返ってくれば、その何倍にもして返そうとするものだ。そういう人に出会える機会は、一生に一度あるかないかかもしれない」と語っています。

 それでも結婚生活を立て直したいと考えている人たちに対しては、専門家がより具体的な助言を示しています。ある心理カウンセラーは動画の中で、女性の心理という視点からこう分析しています。
 「女性が離婚したいと強く言うほど、まだ相手のことを気にしている証拠でもある」

 彼女は、たとえば相手から「来週の保護者会はあなたが行って。私は時間がない」と言われたときは、まず素直に引き受けて、きちんと行動で示すべきだと話しています。言葉で慌てて引き止めようとするのではなく、実際の行動によって相手の受け止め方を変えていくことが大事だというのです。そして、相手の態度が明らかにやわらいできた段階で、あらためて深い話し合いをするべきだと勧めています。

 彼女の見解では、感情をぶつけ合うだけでは関係の破綻を早めることが多く、信頼を取り戻せるかどうかは、続けて見せる本気の変化にかかっているのです。

 あるネットユーザーは、こんな感想を書いています。
 「中年の離婚は、どちらがより不幸かという話ではない。先に耐えられなくなったほうが限界を迎えただけだ。男は孤独と支えのなさを恐れ、女は後半の人生に頼れるものがなくなることを恐れる。けんかの末に家庭は壊れ、心は深く傷つき、子どもは何の罪もないまま巻き込まれる。青春もすり減り、振り返ったときに残るのは傷跡だらけの現実だけで、結局は誰も勝者ではない」

 考えてみれば、夫婦のどちらも自分勝手にならず、心から相手を想っていれば、どうして離婚というところまで進んでしまうのでしょうか。では、こちらの新郎新婦がどのように結婚したのか、見てみてください。

 2年前、新婦が突然重い病気になり、多額の治療費が必要になりました。新郎は新婦を治療するために、自分の貯金をすべて使い果たしました。そして今、新婦はすっかり回復しています。新郎には結婚式の日に花嫁を迎えに行く車を手配するお金がなく、荷車で新婦を迎えに行くしかありませんでした。それでも新婦は進んでその荷車に乗り、嫁いでいったのです。ネット上では多くの人が2人をたたえ、新婚生活の幸せを願う声を寄せました。

(翻訳・藍彧)