これは、あるネットユーザーがティックトックに投稿した動画です。投稿者は「これは特殊効果ではなく、北京で実際に降ったみぞれだ」と説明していました。

 2026年3月4日、中国で毎年開かれる全国人民代表大会と中国人民政治協商会議、いわゆる「両会」が北京で正式に始まりました。ところがその初日、北京では突然、異例の天気に見舞われました。大きなぼたん雪が激しく降るのと同時に、広い範囲で濃い霧が発生したのです。

 北京市街地が霧に包まれただけでなく、北京、天津市、河北省にまたがる京津冀地域から、東北の一部地域にかけても、視界が極端に悪化する濃霧に見舞われました。

 この異常な天気の様子は中国のソーシャルメディアで一気に拡散し、大きな話題となりました。北京市民からは「まるで世界の終わりの中で出勤しているような気分だった」と語る人もいました。

 『北京日報』が3月4日に伝えたところによると、この日の午前、北京では突然、ぼたん雪が降り始めました。気象部門の集計では、3月4日午前9時から午後4時までの市内平均降雪量は1.6ミリで、最大降雪量は6.2ミリに達しました。北京郊外の懐柔区、密雲区、延慶区などでは、積雪の深さが1センチから4センチになったとされています。

 その後に発表された気象データによると、降雪は夜になってからさらに強まりました。『新京報』が5日に報じたところでは、3月4日午前9時から5日午前7時までの北京全市の平均降雪量は5.6ミリに達し、最も多かったのは懐柔地区で13.4ミリでした。西部と北部の山間部では積雪が2センチから7センチに達し、市街地や平野部でも1センチから3センチの積雪が確認されました。

 注目すべきなのは、3月に入った北京は通常であれば少しずつ暖かくなっていく時期だということです。ところが今回の雪は長く続いただけでなく、一部の道路では凍結まで起きました。中国気象網によると、3月5日の日中も北京は曇りで、時々小雪または一時的な小雪が続く見込みで、霧も発生していたため視界は悪く、路面はぬれて滑りやすい状態でした。場所によっては路面の凍結も見られ、交通安全への影響が出ました。

 北京の気象当局は、現在も大部分の地域で霧が出ており、視界はおおむね1キロから3キロほど、場所によっては500メートル未満まで落ち込んでいるとしています。

 北京周辺の各地でも、広い範囲で濃霧が発生しました。中国中央気象台は3月5日午後6時、大霧の黄色警報を出し、5日夜から6日朝にかけて、河北省、河南省、山東省、江蘇省、安徽省、湖北省などの一部地域で濃霧が発生する見通しだと発表しました。このうち河北省、河南省、江蘇省の一部では視界が500メートル未満に落ち込み、場所によっては200メートルを下回る可能性もあるとされています。

 中国のソーシャルメディアには、多くのネットユーザーが投稿した動画が次々と上がり、北京の各地の道路が濃霧に包まれ、車がゆっくりとしか進めない様子が映っていました。通勤中の女性は、動画を撮りながらこう話しています。「うわ、なんてこと!本当にまるで世界の終わりの中で出勤しているみたい!見て、この天気。これ本当に3月なの?元宵節が終わったばかりなのに、もうこんな感じなの?」

 別の動画では、男性ドライバーが車を運転しながら不満を漏らしていました。「もうほとんど前が見えない。視界がほぼゼロだ。10キロ走ったけど、これ以上運転するのが怖い。これは本当に危ないよ」動画では、前方の道路の先がほとんど見えず、車は近くのヘッドライトだけを頼りに、じりじりと進んでいました。

 同様の状況は東北地方でも起きていました。遼寧省瀋陽市では、女性ドライバーが車内から撮影した動画に、あたり一面が灰白色に包まれた様子が映っていました。彼女は緊張した声で「怖すぎる。こんな天気は初めてだ。何も見えない。視界ゼロだよ。もう反対車線まで入りそうになった」と話していました。動画の映像からも、道路を走る車が極端に速度を落としており、ドライバーによってはハザードランプを点灯させながら走っていたことが分かります。

 過去の気象記録を見ても、北京では春に入ったあとでも、いわゆる「春寒の逆戻り」現象が起きることがあります。特に、寒気が南下して暖かく湿った空気とぶつかると、雪やみぞれになることがあります。しかし、今回のように降雪と広い範囲の濃霧が同時に発生し、さらに影響範囲がこれほど広かったケースは、やはり珍しい気象現象だといえます。

 ここ数年、中国北部では春の気候の変動が目立っています。一部の気象学者の中には、こうした現象の背景には、地球規模の気候変動に伴う大気の流れの異常が関係している可能性があると見る人もいます。たとえば、寒気の動きが活発になっていることや、湿度の条件が変わってきていることなどが、季節の変わり目に極端な気象現象を起こしやすくしている可能性があるというのです。

 一般市民にとって、この突然の降雪と濃霧による最も直接的な影響は、やはり移動の困難さでした。北京市民からはネット上で、朝の通勤ラッシュ時に交通の流れがはっきり遅くなり、一部の道路では車が滑りやすくなっていたという声が上がっています。さらに、航空便や高速道路にも、ある程度の影響が出たとされています。

 雪は次第に弱まっているものの、北京の気象当局は、今後数日は気温が少しずつ上がる一方で、スモッグや視界不良の天気が断続的に続く可能性があるとみています。

 「両会」は中国で年に一度開かれる重要な政治会議であり、この期間の北京では、例年、厳重な警備と環境管理が行われます。そうした中で、会議初日に突然このような悪天候に見舞われたことから、ネット上ではさまざまな議論が広がりました。

 一部のネットユーザーは、この現象に象徴的な意味を重ねて受け止めていました。プラットフォームXでは、「きっと天が怒っていて、連中に思い知らせているんだ」という書き込みが見られたほか、「天が中国共産党を滅ぼそうとしている」という声もありました。さらに、「これが中国共産党という匪賊にとって最後の両会になるのではないか」といった投稿まで出ています。

(翻訳・藍彧)