中国共産党の最高指導者・習近平氏は9月3日、ロシアのプーチン大統領とともに北京で行われた軍事パレードの会場へ向かう途中、「臓器移植」「長寿」「人類は150歳まで生きられる」といった話題に言及し、国際社会に大きな衝撃を与えました。ロイター通信によりますと、この発言を含む4分間の映像は、中国中央テレビ(CCTV)の要請により削除され、配信が取り消されたといいます。

 ロイターは9月6日に、この会話を配信後、中国側から、ロイターに対し、映像の削除と使用許可の撤回を通達された事実を報じました。その映像には、習氏とプーチン氏が「臓器移植」や「長寿」について語り、習氏が「21世紀には人類が150歳まで生きられるだろう」と述べる様子が記録されていました。

 当初、ロイターはこの会話を編集して4分間の映像にまとめ、世界各国の主要ニュース放送局を含む1000社以上に配信していました。映像はCCTVから正式に使用許可を得ていました。しかし、その後CCTVの弁護士から削除要請が届き、ロイターは9月5日に映像を撤回し、配信先のメディアにも削除を要請しました。

 CCTVの法務責任者・賀丹寧(HE Danning)氏はロイターへの書簡で、「この映像の編集は、許可されたニュースの事実や発言を明らかに歪曲している」と主張しました。ただし、具体的にこの会話のどの部分が問題だったのかは明らかにされませんでした。

 これに対してロイターは声明を発表し、「著作権上の理由により映像を撤回したが、報道の正確性には自信を持っている」と強調しました。また、「配信済みの映像を慎重に検証したが、正確性や公平性を損なう要素は確認できなかった」と説明しました。

 9月3日、CCTVの生中継や世界各国の放送では、軍事パレード開始前にプーチン氏・習氏・金正恩氏が観覧席のある天安門楼上に並んで向かう際の通訳を介しての会話が放映されました。習氏は「昔は70歳まで生きる人はほとんどいなかったが、今では70歳でも若者のようなものだ」と発言しました。プーチン氏は、「人間の臓器は移植によって若返り、不老長寿さえ可能になる。」と伝えると、周囲から笑い声が上がりました。続いて習氏は「今世紀中には、人類が150歳まで生きられるようになるかもしれない。」と語りました。

 大紀元の記者が9月6日にYouTube上で複数の海外メディアや香港メディアの映像を確認したところ、この会話はそのまま放映されており、削除されていませんでした。BBCも該当部分に「習近平とプーチンが臓器移植と長寿について語った」と注記を付けています。

 このやり取りが公開されると、国際社会では中国における臓器摘出問題への関心が改めて高まりました。中国での強制的な臓器摘出は長年指摘されてきた問題で、過去20年間に少なくとも10件前後の国際調査報告が公表され、法輪功学習者など良心の囚人からの臓器摘出が確認されています。

 アメリカ下院議長のマイク・ジョンソン氏は新唐人テレビの取材に対し、「中国におけるおそろしい臓器移植の話を数多く聞いてきた。『望まないドナー』から臓器が提供されているのは、控えめに言っても残虐だ」と発言しました。そのうえで「世界の指導者たちがこの問題を話題にしているのであれば、強い警戒が必要だ」と述べ、米議会で臓器摘出反対を優先的に取り上げる意向を示しました。

 また、ワシントンにあるハドソン研究所・宗教自由センターのディレクターで上級研究員のニーナ・シェイ氏は大紀元に対し、「二人の独裁者による不用意な会話は、中国共産党による強制的な臓器摘出という厳しい現実を露わにした」と指摘しました。「彼らは政治的な敵対者を『生体臓器の供給源』と見なし、現実世界に暗いディストピアを作り出している」と強く批判しました。

 また、今回の一件は、中国当局がいかに報道を厳しく統制しているかを浮き彫りにしました。統制は国内にとどまらず、外国メディアの報道にまで及んでいます。実際、中国当局は過去にも外国政府に対し、メディアを規制するよう求めたことがあります。

 1例として、2018年10月10日、北海道で開かれた日中与党交流会議で、中国共産党中央対外連絡部(中連部)の宋濤部長は「日中関係のさらなる発展のために、日本政府は日本メディアを統制すべきだ」と発言しました。台湾中央通信社によれば、宋氏は「日本のメディアは中国について『適切に』報道すべきであり、日本政府は国内メディアを統制し世論を誘導する責任がある」と主張しました。

 この発言に対し、台湾中央通信社は「驚きを隠せない」と報じました。中国では政府がメディアを全面的に統制していますが、自由主義国家である日本に同様の統制を持ち込むことは不可能です。宋氏の発言は、中国共産党が自国の手法をそのまま日本に当てはめようとしたものであり、他国の世論に介入しようとする姿勢を示すものといえます。

 中国共産党は長年、自国民を統制するためにメディアを利用してきました。その影響を国外にまで広げようとしていることが今回の件でも明らかになりました。

(翻訳・吉原木子)

訪日中国共産党高官が日本の国内報道に口出し (看中国【日本】)