このほど、江蘇省の大手建設グループである江蘇南通六建建設集団有限公司が、全従業員に向けて1通の通知を出しました。通知によると、市場の低迷と経営悪化の影響を受け、グループ本部の全社員は2月24日から4月30日まで「段階的な一時帰休」に入るとされています。会社側は社会保険と住宅積立金について「できる限り」納付を続けるとしていますが、個人負担分は社員が自分で支払わなければなりません。さらに通知では、社員に対して自主的に転職先を探すことや、自分で起業することまで勧めていました。

 公開資料によると、同社は創業からおよそ30年になる企業で、登録資本金は約132億円(6.6億元)に上ります。2020年の売上高は約1兆円(500億元)に迫る規模でした。2019年から2021年にかけては、中国企業500強、中国民間企業500強にも選ばれており、最高で166位まで入ったことがあります。

 この通知は建設業界で一気に波紋を広げ、多くの人が初めて「一時帰休」という言葉を知ることになりました。法律上、企業が操業や経営の困難を理由に従業員を待機状態に置くこと自体は、違法とはされていません。しかし、中国の労働契約法では、企業が大規模な人員削減を行う場合、「勤続年数につき1ヶ月分の給与(N+1)」の経済補償を支払う必要があります。そのため、いわゆる「一時帰休」という形を取れば、会社側は社会保険の企業負担分だけを負担すればよく、最低賃金すら支払わなくて済むのです。

 同社にとって、1000人を超える社員を自宅待機にすれば、それだけで毎月の支出を大きく減らせます。業界関係者の間では、通知にあった「自主的な転職を奨励する」という一文は、要するに「もう会社では抱えきれない。自分で次の道を探してほしい」という意味だと受け止められています。本人から先に辞表を出してくれれば、会社は補償金を払わずに済みます。つまりこれは、できるだけ低いコストで人員整理を進めるための、事実上の「リストラ圧力」だということです。

 こうして社員たちは、非常に苦しい板挟みの状態に置かれます。このまま待機を続ければ収入はなく、それでも社会保険の自己負担分は毎月きっちり払わなければなりません。かといって自分から辞めれば、それはまさに会社の思うつぼで、補償は1円も受け取れません。

 これは江蘇南通六建建設グループだけの特殊な例ではありません。実際には、中国経済の失速が加速するなか、この数年、中国各地で建設会社の工事停止や、全社員を待機扱いにする通知が相次いで伝えられています。その中には、企業が正式に出した文書も少なくありません。

 2025年2月11日、広西鼎匯建設集団有限公司は第13号文書として「グループ全社員の待機措置に関する通知」を出しました。通知では、現在の市場低迷によって業務の推進が極めて難しくなり、操業再開のハードルも非常に高くなっていると説明しています。そのうえで、一部の日常業務を処理する必要がある職種を除き、大半の部署ではすでに具体的な仕事の割り当てがないとしました。2025年2月11日から、グループの全従業員は待機状態に入り、残業が必要な場合は本人が直接総経理に報告するよう求めています。具体的な業務再開の時期については、今後の経営状況や市場環境を見ながら、あらためて通知するとしています。

 公開資料によると、広西鼎匯建設集団有限公司は2002年6月に設立され、登録資本金は約40億円(2億元)です。かつては建築工事の総合請負1級企業として、広西の民間企業上位100社にも何年も連続で選ばれていました。

 その一方で、複数の国有企業からも「全社員一時待機」の話が伝わってきています。今年1月には、北京建工集団もほとんど同じ内容の通知を出しました。理由として挙げたのは、「マクロ経済の下押し圧力」「会社責任者の長期不在」「主要顧客プロジェクトの長期停止」です。そして会社は、1月6日から全面的に操業を停止し、全社員を6月30日まで待機扱いにすると決めました。最初の1か月は元の給与を支給するものの、2か月目からは北京市の最低賃金の70%を生活費として支給する形になります。社会保険料や住宅積立金が差し引かれれば、従業員の手取りは2000元にも届かず、つまり約4万円を下回る可能性があります。

 北京建工集団は2025年9月時点で、中国企業500強ランキングの217位に入っていました。売上高はかつて約2兆円(1000億元)規模に達したこともあります。事業は中国全土に加え、海外28か国にも広がっており、2024年時点の従業員数は約3万人にのぼっていました。

 中国国内の個人メディアによると、各地の多くの建設会社では、全社員を「待機扱い」にしたあと、現地の最低賃金に沿って給与を支給しているといいます。一般の社員が受け取れるのは、月に1000元台、つまり約2万円台の生活費程度にすぎず、基本的な生活費すら到底まかなえません。

 さらに悪質な企業もあります。待機期間が終わったあとで人員削減に踏み切り、最低賃金を基準にした「N+1」で補償を計算するのです。そうなると、解雇された社員が手にできる金額はごくわずかで、ほとんど補償になりません。

 かつては勢いがあり、業界を代表する存在だったこうした大企業が、いまでは給料すら満足に払えなくなっています。その背景にあるのは、業界全体の景況感がずっと悪化し続けていることです。中国国家統計局のデータでは、2026年2月の建設業景況指数は48.2%でした。これは中国の建設業界が今どれだけ活発に動いているかを示す重要な指標ですが、前の月よりさらに0.6ポイント下がり、縮小局面が続いています。

 2025年通年で見ると、中国の建設業で直接、生産や経営活動に従事していた人は5114万8900人でした。前年より12.97%減っており、単純計算でも800万人以上がこの業界を離れたことになります。業界縮小の直接的な原因は、需要が崖のように急減していることです。住宅が売れなくなれば、新たに着工されるプロジェクトも当然、大きく減っていきます。

 その一方で、地方政府の債務負担はさらに重くなり、これまでのようにインフラ投資で景気を押し上げるやり方にも、厳しい制約がかかるようになりました。大型インフラ案件の審査や着工は以前よりずっと慎重になっています。プロジェクトは減っているのに、建設会社の数はほとんど減っていません。その結果、生き残りをかけた企業同士の激しい消耗戦が広がっています。

 2026年の年明け以降、中国の建設業界では倒産の波が一気に押し寄せました。全国企業破産再生案件情報網のデータによると、2026年の最初の2か月だけで、全国で少なくとも134社の建設会社が破産しています。江蘇省、広東省、浙江省といった、もともと建設業が盛んだった地域が特に深刻な打撃を受けています。

 倒産企業の一覧には業界大手の名前まで並んでいます。安徽同済建設集団は、年間生産額がかつて約160億円(80億元)に達していた企業ですが、2026年1月8日に裁判所が破産再生の申し立てを受理しました。江蘇中南建築産業集団も、かつて中国建設企業500強の第8位に入ったことがある大手ですが、昨年末に破産再生を申請しています。

 これは、過去十数年にわたって不動産市場が暴走するように拡大したあとに、避けられない調整局面だと言えます。高い負債に頼り、高速回転で事業を回し、粗い拡大路線を続けてきたモデルが、いよいよ限界を迎えたということです。

(翻訳・藍彧)