広東省広州市の江南理工高級技工学校で、最近、大規模な学生抗議が発生しました。学校が頻繁に停電や断水を繰り返すにもかかわらず、通常通り授業や生活を強制されたことに対し、千人以上の学生が集団で不満を訴えたのです。同じ日、貴州省畢節市威寧県の中等職業学校でも数千人の学生が抗議を行い、携帯電話の持ち込み禁止や学校運営への不満を爆発させました。両地で学生がほぼ同時に行動を起こしたことは大きな波紋を呼びました。
江南理工の複数の学生によれば、同校は入学時に虚偽の宣伝をしていたといいます。寮は「6人部屋」と説明されていましたが、実際には12人部屋で、建物は老朽化し、環境も劣悪で、宣伝内容とは大きく異なっていたと証言しました。さらに深刻なのは停電の多発です。学生によれば、8月23日以降、学校ではほぼ毎日停電が発生し、多い日には一日十回を超えることもあったといいます。9月7日、寮に戻った学生たちは湯を使うことができず、夜9時15分には消灯を命じられました。その後再び停電が起き、エアコンが止まり、蒸し暑さの中で眠ることができなくなりました。外に出ようとしても寮の出入口は施錠されており、学生は行き場を失ったといいます。
絶望と怒りの中で、学生たちは反抗に出ました。廊下に飛び出して「金を返せ」と叫び、最初はごみを窓から投げて不満を示しましたが、抗議は急速にエスカレート。寮の扉を壊して外に飛び出す学生も現れ、教師と衝突し、目撃者によれば操場で棍棒を手にした学生が教師を追いかける場面もあったといいます。その夜、大規模な抗議の末に学校は供電を再開し、学生たちはようやく解散しました。学校側の通報を受け警察も駆けつけましたが、逮捕者は出ませんでした。現在に至るまで、学校側は公の説明を行っていません。
SNSには学生たちの怒りの声があふれました。「保護者の皆さん、子どもが学校でどんな苦しい生活を送っているか見てください!」「ここは強制労働施設のようだ」「女子学生は寮に閉じ込められた」。多くのネットユーザーが声援を送り、「こんなに団結した学生は初めて見た」「広東の夏に停電は地獄だ。部屋に閉じ込められたら熱中症になりかねない。学生たち、よくやった!」と称賛しました。「熱血高校」「胸が熱くなる」といったコメントも目立ちました。一方で学校や政府を厳しく非難する声もありました。「『高級技工学校』と名乗りながら、停電・断水、虚偽宣伝、寮の施錠で、学生を『権利保護の実地訓練』に追い込んだ」「学校は違法、政府は職務怠慢だ」。さらには「共産党は昔から断水断電で人民を脅してきたが、この若者たちは屈せず抗議に立ち上がった。だから学校は折れるしかなかった。次は共産党退陣を叫ぶときだ」と書き込むユーザーもいました。
同じ日の夜、貴州省威寧県の中等職業学校でも数千人の学生による大規模な抗議が発生しました。9月7日午後11時頃、学校が携帯電話持ち込みを禁止したことに反発し、学生たちが一斉に立ち上がったのです。目撃者によれば、学生たちは寮の中で叫び声をあげながら机や本、寝具などを窓から投げ捨て、さらには火を放ち、寮の外壁が炎で照らし出される場面もあったといいます。ある学生は「携帯禁止は我慢の限界を超えただけだ。多くの学生は農村から来ており、家族と連絡を取る唯一の手段が携帯電話だった。学校は没収して返さず、罰則まである。あまりにも不公平だ」と訴えました。ある保護者も「不満は携帯だけではない。食事は粗悪、寮は劣悪、授業はいい加減。学費と寮費を払ってもまともな待遇がない。携帯禁止は単なる引き金に過ぎない」と語りました。
この二つの抗議は偶然ではなく、中国の職業教育が抱える構造的矛盾を浮き彫りにしています。長年にわたり技工学校や中職校は十分な投資を受けられず、施設は老朽化し、教師不足、カリキュラムは産業の需要に合致せず、学生が卒業後に身に付けた技能と労働市場の需要が合わない「ミスマッチ」が常態化しています。1990年代末以降、職業教育に割り当てられる教育予算の割合は減少を続け、多くの学校が資金難に直面しました。その一方で、社会的偏見も根強く、職業教育は「成績の低い学生の行き場」とみなされることが多く、学生たちは「二等教育」の烙印を押され、自己肯定感を削がれることも少なくありません。
研究によれば、中職や高職を修了した人の給与水準は義務教育で止まった人よりも20〜25%高く、教育収益率は上昇傾向にあります。しかし教育の質が追いついていないため、社会的評価や学生自身の進路不安は依然として解消されていません。さらに制度面では教育部と人社部がそれぞれ管理を分担しており、リソースが分散し、政策の統合や現場への浸透が難しいという問題も存在します。政府は近年、示範校の建設や産業界との連携強化など改革を進めてきましたが、地方での実施は不十分で、学生が実際に得られる体験との間には大きな隔たりがあります。
中国の教育史を振り返ると、学生による集団行動は珍しくありません。職業学校でも食事や宿舎、実習をめぐって抗議や混乱が繰り返されています。今回の広州と貴州の同時多発的な抗議は、こうした不満が全国的に広がり、かつ深刻化していることを示しています。
今回の出来事は警鐘にほかなりません。学校運営のずさんさや冷淡さを露呈させただけでなく、職業教育体系に潜む制度的な亀裂を浮き彫りにしました。教育投資の不足、社会的偏見の固定化、学生権利の不十分な保障――これらの問題が放置されれば、今後も同様の抗議や集団行動が各地で再び噴出する可能性は高いでしょう。若者たちは本来、学校で技能を学び成長すべきなのに、現実では「権利保護の実地訓練」を強いられるという矛盾に直面しているのです。
(翻訳・吉原木子)
