2026年初め、中国各地の果物市場で深刻な売れ残りが起きています。南部のバナナ、ライチ、砂糖みかんから、北部のリンゴやナシ、さらにここ数年で大人気となったシャインマスカットやサクランボに至るまで、多くの果物が大幅に値下がりし、中には生産コストを下回る価格でしか売れないものまで出ています。

 SNSでは、大量の果物がトラックごと空き地に捨てられる様子や、そのまま果樹園で腐っていく様子を映した動画や投稿が次々に広がっています。最後は肥料にするしかないケースも少なくありません。多くの果物農家にとって、本来なら収入につながるはずの豊作の季節が、いまや重い経済的負担へと変わっています。

 ある果物農家は動画の中で、無念そうにこう語っていました。「イチゴの値段は本当にひどい。トラックで何台もここに運んできて、そのまま捨てている。イチゴだけじゃなく、果物はどれも相場が崩れて売れない。今年は多くの業者が、全財産を失うほどの赤字を抱えるかもしれない。見てくれ、ここにあるのは全部いらなくなった果物だ。まだ奥にもある」

 別の販売業者もこう話しています。「サクランボは完全に暴落した。毎日これだけの量を捨てるしかない。どうやっても売れない。良い品も悪い品も売れない。良い品ほど損失が大きい。今年は景気が悪く、商売が本当に成り立たない」

 一部の産地では、果物が果樹園や集荷場に山のように積み上がっています。みかん、リンゴ、スイカ、ナシなどが大量に積まれたまま、買い手が現れません。ある農家は嘆くようにこう言いました。「ナシは畑で腐って、そのまま肥料になった。自分の手で働いていれば餓死はしないなんて、あれは農民が自分に言い聞かせてきた最大の嘘だった」

 多くの果物農家はもともと、旧正月明けの販売シーズンに大きな期待をかけていました。旧正月後に需要が戻れば、そこでようやく元を取り、できれば利益まで出したいと考えていたのです。ところが実際の市場需要は予想を大きく下回り、価格は下がり続け、売れ行きも一向に改善していません。

 ある果物商はこう話していました。「いったい、どこまで値下げすれば買ってくれるんだ。今は産地で果物があふれ返っていて、売れなければ捨てるしかない。やっと豊作になって、3月こそ立て直せると思っていたのに、結局は全部手元に残ってしまった」

 一部の卸売市場では、大量の果物がその場で捨てられる光景まで広がっています。市場でその様子を撮影した人は、動画の中でこう語っていました。「見てください、このリンゴは全部無駄になってしまった。さっきトラック一台分がここにそのまま捨てられたんだ。これらは実は高価なリンゴなんだ」

 市場データを見ても、価格の急落ははっきり表れています。たとえば海南産のハミウリについて、ある商人はこう説明していました。「数日前までは500g(1斤)あたり約50円(2.5元)だったのに、昨日は約40円(2元)まで下がって、今日はもう約36円(1.7元)しかない。たった2日で3分の1も下がった。市場にはほとんど人がいなくて、ウリの動きもものすごく鈍い」。

 公開されている市場データを見ると、一部の果物は値下がり幅がかなり大きくなっています。たとえば輸入サクランボは、2025年12月初めには1キロあたり約1000円(47.5元)前後だったのが、2026年1月10日には約560円(26.5元)前後まで下落し、下落率はおよそ44%に達しました。砂糖みかんも500gあたり約38円(1.8元)前後まで下がり、前年に比べて4割近い値下がりとなっています。地域によっては、バナナの買い取り価格が500gあたり約4円から約6円(0.2元から0.3元)にまで落ち込んだ例もあります。果物の収入で暮らしている農家にとって、こうした価格ではコストを回収することすら難しいのが現実です。

 ある果物農家は、自分で計算した数字をこう語っていました。トラック1台にはネーブルオレンジを約33トン(6.6万斤)積めるものの、全部売って得られる金額は、高級スマートフォン2台すら買えないほどだというのです。その一方で、栽培コストは年々上がり続けています。成熟した果樹500本を維持するだけでも、農薬や肥料、人件費、輸送費などを含めて、年間約60万円(3万元)以上の支出が必要になります。

 ここ数年、中国では農村向けECや特色ある農産物ビジネスが広がり、果物栽培は地方で起業して収入を伸ばす有力なチャンスだとみなされてきました。実際、かつては高級フルーツが市場で「大きく稼げる商売」として注目され、シャインマスカットや高級ブルーベリーのような品種は高値で取引され、多くの農家や投資家が参入しました。

 しかし、栽培面積が一気に広がるにつれて、市場はしだいに供給過剰となり、価格も崩れていきました。ある業界関係者は、ため息まじりにこう語っています。「今年は間違いなく、果物業界の歴史に残る一年だ。ライチからシャインマスカット、さらにスイカ、ザボン、ネーブルオレンジ、砂糖みかんまで、ほとんどすべての果物が過去最低水準まで値下がりした」

 小さな果物店も、客足の落ち込みに苦しんでいます。ある店主はこう話していました。「旧正月が終わってから十数日間ずっとセールの貼り紙を出して、『10人目のお客さんは無料』と書いていた。でも、1日たっても客が10人に届かない日ばかりだった」

 多くの業者は、果物が売れない大きな原因の一つは、やはり需要の弱さにあると見ています。ここ数年、中国では経済成長の勢いが鈍り、雇用への不安も強まっています。その影響で、生活に絶対必要とはいえない支出を減らす家庭が増えてきました。

 果物は日常的に食べる食品ではあるものの、家計に余裕がなくなると、買う量を減らしたり、もっと安いものを選んだりする人が増えます。多くの商人が口をそろえて言うのは、今は少しでも買う気を見せる客がいれば、店側は何とかその場で買ってもらおうと必死だ、ということです。

 北京や上海などの都市部でも、市場の商人たちは今年の旧正月後、全体的に客足がかなり鈍いと話しています。果物の売れ行きが落ちただけでなく、一部では野菜の価格まで下がり始めています。

 需要の落ち込みに加えて、農産物の流通の仕組みそのものも、農民の手元に利益が残りにくい大きな原因だと見られています。一般に、果物が果樹園から都市の消費者の手に届くまでには、いくつもの段階を経ることが少なくありません。

 果物農家 → 買い付け業者 → 卸売市場 → 二次卸 → 小売業者

 この過程では、それぞれの段階でコストと利益が上乗せされていきます。その結果、農家が受け取る買い取り価格は非常に低い一方で、都市の消費者が払う店頭価格はそれほど安くなりません。ひとたび需要が落ち込むと、そのしわ寄せは真っ先に農家へ向かうことが多いのです。

 ネット上で拡散されたある動画では、両手を失った若い男性が、道端でみかんを売って生計を立てていました。彼は高齢の祖母と二人で支え合って暮らしており、みかんは二人にとって唯一の収入源だといいます。動画には、彼が路上で果物を売っている最中、車にひかれそうになる危ない場面まで映っていて、多くのネットユーザーの関心と同情を集めました。

 ネット上では、「もし農民も一つの職業なのなら、都市で働く人たちと同じように、社会保険や年金といった最低限の保障があってもいいのではないか」といった声も出ています。また、農民は長い間、市場の中で最も弱い立場に置かれてきたという指摘も少なくありません。

 ある果物農家はこう話していました。「若い人に田舎へ戻って起業し、果物を育てればいいと勧める人は多い。でも現実には、今年は何を作っても値段がつかない。スイカ、ライチ、ドラゴンフルーツ、リュウガン、ワンピ、ほぼすべてが同じ結果だ」

 多くの果物農家が本当に望んでいるのは、やはり安定した市場と、無理のない適正な価格です。ある農民はこう語っていました。「苦労して育てた果物が、きちんと売れてくれればそれでいい。大金持ちになりたいわけじゃない。家族を養っていければ、それで十分なんだ」

(翻訳・藍彧)