9月8日早朝、台風16号が広東省台山市沿岸に上陸し、猛烈な風雨をもたらしました。これにより広東省各地で休校、交通の運休、観光地の閉鎖などの措置が相次ぎました。上陸前から広東の空は不気味な光景に包まれ、多くのネットユーザーが「恐ろしい」と声を上げました。

 中国気象局によりますと、強い熱帯暴風雨である台風16号の中心は8日午前8時50分ごろ広東省台山市沿岸に上陸し、中心付近の最大風速は秒速30メートル、中心気圧は978ヘクトパスカルでした。

 中国本土のSNSに投稿された映像によると、台山市では空が暗く沈み、強風が唸りを上げ、各種の物が空中を舞い、地面に落下して激しい音を立てました。住宅の屋根が一瞬で吹き飛ばされる場面もあり、大木は枝がしなり今にも折れそうな状態で、人が風に押されて思わず走り出す様子も見られました。珠海市では道路沿いの樹木が多数倒れ、道路は荒れ果てた状態となりました。

 ネット上では「これは11級どころではない!」「台山の皆さん、安全に注意して、窓やドアをしっかり閉めてください」「陰鬱で怖すぎる」「本当に恐ろしい」「自然の力は無限大だ、敬意を払わなければならない」などの声が相次ぎました。

 台風の影響で広東各地は緊急に休校や運休を決定しました。深圳市気象台は7日20時に台風黄色警報を発表し、深圳市内は8日終日休校となりました。珠海、江門、陽江なども市内の幼稚園・小中学校を全面休校とし、茂名、雲浮、中山でも同様に休校措置が取られ、託児所や学習塾なども営業停止となりました。

 交通面では、広州鉄路が8日から2路線の全列車を運休し、広深鉄路や深茂鉄路の一部区間も全面運休しました。瓊州海峡のフェリーは7日午後2時から全面停止となり、広東各地の観光地も次々と閉鎖されました。

 7日午前8時までに、広州、肇慶、珠海、湛江、陽江、江門、茂名、汕頭、潮州、揭陽、汕尾、恵州、東莞、港珠澳大橋などの海事部門がそれぞれ防台風の緊急対応を発動しました。

 広東省防汛防旱防風総指揮部によると、省内全域で危険地域から避難した住民はすでに20万5,500人を超えました。そのうち江門市だけで4万1,000人以上が避難し、台山市では8,406人が移転、1,180人が集団避難所に収容され、3,326人の救援隊員が待機しています。

 水利部は、9月8日から10日にかけて広東西部や広西中南部で大雨が予想され、東江や粤西の沿岸河川、西江本流などで警戒水位を超える洪水が発生する可能性があると警告しました。これを受け、洪水防御のIV級緊急対応が発動されています。中央気象台も、山洪、地質災害、中小河川の氾濫、都市型水害の危険性を指摘しています。

 最新の予報では、8日から9日にかけて広東沿岸や珠江口、広西沿岸の一部で風速6~7級の強風が吹き、南シナ海北部や広東中西部沿岸では8~10級、台風中心通過地域では11級、突風は12~13級に達する見込みです。また、広東・広西の一部では大雨から局地的に250~280ミリの特大暴雨が予測されています。さらに江蘇、安徽、重慶、湖北などでも大雨や暴風雨が予想され、一部では1時間に70ミリを超える短時間強雨、雷雨や突風が発生する恐れがあります。

 加えて、市民生活にも不便が生じています。報道によれば、香港では台風接近前に買い占め騒動が起き、一部スーパーではパンなどの食品が売り切れとなりました。低地の地域では浸水リスクが高まり、住民の外出も制限されています。

(翻訳・吉原木子)