近ごろ、中国各地で珍しい空の現象が相次いで発生しており、多くの人が不安を感じています。特に2025年に入ってからは、「日暈」や「血のように赤い太陽」など、不思議な現象が各地で目撃され、ネット上でもさまざまな憶測や議論が飛び交っています。
7月2日には、上海と浙江省寧波市で「スーパー日暈」と呼ばれる極めて珍しい現象が相次いで現れました。この日、上海のSNSはこの壮大な光景を捉えた写真や動画の投稿で一気にあふれました。強い日差しを放つ太陽の周囲に巨大な虹色の光の輪が現れ、まるで空に宝石のような円盤が浮かんでいるようでした。多くの人が「まるで天空の瞳だ」と驚き、その美しさに息を呑んだと伝えられています。
上海市普陀区の祁安路上空では、太陽の周囲に鮮やかな光の輪がくっきりと現れ、赤や紫、青などの色が鮮明に浮かび上がりました。目撃者の一人は「太陽がまるでダイヤモンドの指輪をまとっているようだった」と語っています。街中では、多くの市民がスマートフォンで空を撮影する姿が見られました。
同じ日の午前10時すぎ、浙江省寧波市鄞州区の東海花園小区でも同様の日暈が観測されました。地元紙『寧波晩報』によると、この日の寧波市の最高気温は36度に達し、厳しい暑さになったといいます。さらに江蘇省蘇州市のネットユーザーも、同じ日に日暈を目撃したと投稿しています。
こうした珍しい現象は一部の人に不安を与えています。上海のネットユーザーは「今日の早朝4時ごろ、空に赤や緑の点がたくさん点滅していて、不気味な気分だった」と書き込んでいました。また、「日暈が出ると雨、月暈が出ると風」という古い言い伝えを挙げ、「大雨が降るのでは」と心配する声も出ています。
2025年に入ってから、中国ではこうした空の異常現象が頻繁に報告されています。5月には、広西チワン族自治区憑祥市浦寨区でスーパー日暈が数日連続で見られました。『四川観察』によると、5月12日の午前中には太陽の周囲に複数の虹色の光の輪が交差する非常に珍しい現象が約3時間以上続いたといいます。
また、日暈以外にも珍しい現象が起きています。3月27日には浙江省嘉興市の上空に長さ数十メートルにも及ぶ黒い雲が突如現れました。地元ではこのような雲を「龍蛇雲」と呼び、「現れると不吉なことが起こる」と伝えられています。この雲は約20分続き、その後に激しい雨が降りました。
吉林省のブロガー「優美生態環境保衛者」は自身の投稿で、地方の古い文献を調べると、光緒23年(1897年)の春に湖州の空に「烏龍掛角」という現象が現れ、地方長官が夜中に壇を築いて天に祈った記録を紹介しています。また、『嘉興府志』によると、康熙年間(1662〜1722年)には「白蛟雲」という雲が現れ、その後に大洪水が起きた記録があるとのことです。
3月28日の夕方には、雲南省の各地で「血のように赤い太陽」が目撃され、約30分間空が真っ赤に染まりました。目撃者は「今までに見たことのない不気味な赤色だった」と述べ、SNSでは「災害の前兆ではないか」「世界の終わりか」など、不安の声が広がりました。
さらに黒龍江省黒河市でも、3月末から4月初めにかけて360度に及ぶ珍しい日暈「全暈光環」が観測されました。香港メディア『香港01』は専門家の意見として「こうした現象は天候変化の前兆」と報じています。
こうした現象には科学的説明がありますが、中国の伝統文化では天の異常現象を「天意のあらわれ」と捉え、古くから地震や日食、彗星の出現などが国家や王朝の変動を示すものとして解釈されてきました。現代では、ネットを通じてこれらの情報が急速に広まり、人々の関心を集め、不安や想像力を刺激しています。
科学的にも文化的にも、珍しい空の現象は人々に強い印象を与え、自然への畏れや未来への不安を映し出していると言えるでしょう。
(翻訳・吉原木子)