5月22日未明、湖北省武漢市は激しい雷雨に見舞われ、短時間での集中豪雨により市内各地が水没し、一部の道路はまるで川のような状態になりました。路上に駐車していた多数の車両が水に浸かり、所有者が戻れず放置される様子も多く見られました。わずか3時間の間に、武漢市気象台は7回の気象警報を発令し、そのうち5回が「暴雨特別警報(紅色警報)」でした。午後3時50分には、初の「都市暴雨警報」が発令され、市の機能に重大な影響を与えていることが明らかになりました。
紅星新聞によると、降雨は未明から朝にかけて急速に強まり、市内の武昌駅出入口の高架下、八一路の武漢大学前、洪山広場のアンダーパスなど複数の地点で深刻な浸水が確認されました。なかでも武昌駅の状況は特に深刻で、駅構内の水が乗客の足首を越えて広がり、人々が水の中を歩いていました。スーツケースが半分水に浸かり、一部の乗客は高所にある店舗に避難するしかありませんでした。館内放送は続いていましたが、旅客の不安な表情が映像からもはっきりと伝わってきました。
さらに、交通施設だけでなく、事務所も被害を受けました。SNSに投稿された動画では、あるビルの1階オフィスが床一面水浸しとなり、職員が「洪水だ!」と叫びながらバケツで必死に水をかき出していました。また、湖北省人民病院では院内駐車場の車両が完全に水没し、建物内部でも雨漏りが発生しました。
澎湃新聞によると、午後4時5分には、気象台が再度、暴雨臨時災害警報を発令しました。1時間前からの降水量が市内各所で70~90ミリに達し、今後も降雨が継続する見通しです。同日午後4時時点で、市内の浸水道路は14か所に及び、小型車の通行は困難な状況でした。武漢天河空港でも混乱が広がっています。多くの便が遅延または欠航。空港ロビーでは多くの乗客が改札や変更手続きの為の、長蛇の列を作っていました。
学校も例外ではなく、SNS上では「授業中、教室の天井から雨漏りしていた」「講台がびしょ濡れになった」といった報告が相次ぎました。「明日は休校になるのでは?」という不安の声も見られました。実際、複数の小中学校では、校舎の浸水や運動場の冠水により臨時休校措置が取られました。また、市内の複数の住宅区では停電や断水が発生し、市民は懐中電灯や給水タンクなどを用意して非常事態に備えざるを得ませんでした。
武昌駅の職員は《正在新聞》の取材に対し、「昨夜から駅構内の地下階では複数の部署が排水作業に取り組み、現在は水が完全に引きました。しかし、今後も強い雨が予想されており、浸水が再び起こる可能性があるため、警戒を続けています」と説明しました。
長江日報の「大武漢クライアント」によると、5月22日12時から15時のわずか3時間の間に、武漢市気象台は7回もの警報を発令しました。そのうち複数が「暴雨特別警報(紅色警報)」でした。武昌区や洪山区の一部地域では、累積降水量が200ミリを超え、通常の排水インフラでは処理が間に合わず、低地は深刻な冠水状態となりました。ある市民は「愛車が一晩中水に浸かり、翌朝はエンジンがかからなかった」と語り、レッカー車を呼んで対応するしかなかったとのことです。
この暴雨災害はネット上でも大きな話題となり、現地の住民が投稿した浸水の動画や交通麻痺の様子が急速に拡散されました。その一方で、陝西省、甘粛省、安徽省などの内陸地域のネットユーザーからは、「もう1ヶ月以上雨が降っていない」「西北地方は乾燥しすぎて大地がひび割れている」といったコメントが相次ぎ、「雨を分けてほしい」と切実な声も寄せられました。「最近の天気は本当に異常。干ばつが続いたかと思えば、突然洪水」という感想が多く見られます。
実際、武漢市の異常気象は中国南部全体の一環に過ぎません。5月17日には、長期的に干ばつが続いていた広西チワン族自治区で突然激しい豪雨が発生し、3つの河川が警戒水位を超えて氾濫しました。この大雨により、少なくとも3人が死亡し、1人が行方不明となっています。また、広東省や福建省でも暴雨が相次いで発生しています。広東省ではわずか1日で30回以上の気象警報が発令されました。これほど短期間に繰り返される極端な気象は、歴史的にも非常に稀な現象です。
地球規模での気候変動が進行する中、中国の多くの都市はかつてない自然の試練に直面しています。干ばつ、洪水、黄砂、雹といった極端な現象が全国各地で次々に発生し、都市インフラの脆弱さが浮き彫りとなっています。今回の武漢での暴雨も、その一幕に過ぎません。
(翻訳・吉原木子)