2025年3月28日、ミャンマーで今年最大規模となるマグニチュード7.9の大地震が発生しました。これは今年に入って世界で最も深刻な地震災害となっており、米国地質調査所(USGS)の初期評価によれば、ミャンマー国内だけでも死者が1万人を超える可能性があるとのことです。この地震はミャンマーに甚大な被害を与えただけでなく、隣接する中国・雲南省(うんなんしょう)にも大きな影響を及ぼしました。雲南省の広い範囲で強い揺れを感じ、とりわけ瑞麗市(ずいれいし)では深刻な被害が報告されています。さらに地震発生後、雲南省ではこれまでにない奇妙な自然現象が相次ぎ、市民やネットユーザーの間で大きな不安と動揺が広がっています。
地震当日、雲南省各地で空に異様なほど大きく真っ赤な太陽が現れ、多くの人がこの様子をスマートフォンで撮影してSNSに投稿しました。「太陽が赤い!」「こんな光景は初めて見ました」「天が何かを警告しているのでしょうか」と驚きと戸惑いの声が広まりました。この「雲南の空に血のような赤い太陽が出現」という話題はすぐさまネットのトレンド入りを果たし、中国全土から注目されることになりました。
それからわずか2日後の3月30日、雲南省昆明市(こんめいし)の夕方の空が、再び異様な赤色に染まりました。市民たちはあまりの鮮やかな赤さに驚き、街中で立ち止まって空を見上げました。「こんな赤い空、今まで見たことがありません」「怖すぎるほど赤い!」など、ネット上でも驚きや恐怖を感じる声が溢れ、昆明市民だけでなく、他地域の人々の間にも不安が広がっていきました。
実際、この空の異常現象は雲南省だけにとどまりませんでした。その後、広西チワン族自治区(こうせいチワンぞくじちく)の欽州市(きんしゅうし)でも、夜の空が半分ほど赤く染まった様子が目撃されています。また江西省(こうせいしょう)、河北省(かほくしょう)、広東省(かんとんしょう)、福建省(ふっけんしょう)、湖南省(こなんしょう)、浙江省(せっこうしょう)など、中国各地でも「赤い太陽」を最近目撃したという写真がネット上で次々と公開され、全国的に不安感が広まりつつあります。
こうした不気味な現象を目の当たりにした人々は、自然と地震との関連を疑い始めました。ネット上では「2008年の四川大地震(汶川地震・ぶんせんじしん)の直前も、空がこんな色だった」という意見が出され、「昨年、山東省(さんとうしょう)でも赤い空が現れた直後に地震が発生した」という指摘もあります。また、「世界の終わりが近づいているのでは?」「今年は異常なことが多すぎて怖い」と悲観的な見方をする人も少なくありません。
こうした不安の高まりに対し、中国科学院雲南天文台(ちゅうごくかがくいん うんなんてんもんだい)の専門家は、「最近見られる赤い空や太陽は、大気中に埃や水蒸気が大量に含まれることによって起きる、光の散乱・屈折現象です。自然界では珍しくない現象であり、過度な心配は不要です」と説明しました。しかし、地震と奇妙な空模様が重なったことで、多くの人々が心の中の不安を簡単には拭いきれずにいます。
また、専門家による地震そのものへの分析も、市民の不安を一層裏付けるものとなっています。地震の翌日、雲南省曲靖市会沢県(きょくせいし かいたくけん)でマグニチュード4.4の地震が起きましたが、雲南省地震局は、これはミャンマー大地震が誘発した地震活動だと認めています。さらに上海市地震局の専門家は「今回のミャンマー地震は、同地域最大規模で最も活動的なサガイン断層(実皆断裂帯・じっかいだんれつたい)で発生したものだ」と指摘しました。中国地震台網センターの専門家も、「ミャンマー弧地域(ミャンマーこちいき)はヒマラヤ造山帯東部の構造結合部であり、地震活動が非常に活発な場所」と説明しています。
興味深いことに、今回のミャンマー地震を10年前に予測していた専門家もいます。台湾大学(たいわんだいがく)地質学部副教授の王昱(ワン・ユー)氏は、長年ミャンマー地域の地震を研究し、2014年には「今後、ミャンマーのサガイン断層でマグニチュード7.7以上の地震が発生し、断層破壊の範囲が約200〜250キロに達するだろう」と予測していました。今回の地震の破壊範囲は約200キロで、この予測は見事に的中しました。王教授自身も「予測は正確でしたが、このような災害が起きてしまったことを残念に思います。予測が外れてくれれば良かったのですが」と複雑な心情を語っています。
科学的な説明や専門家の予測が出されているにもかかわらず、多くの人々は依然として不安を拭えずにいます。真っ赤な太陽や「血のような赤い月」といった現象が相次ぎ、「地震の夜、月まで血のような赤色でした」「赤い月が現れると、世界が変わる前兆では?」と語る人もいます。
(翻訳・吉原木子)