7月6日、南シナ海付近の海面に波紋が広がりました。中国軍の原子力潜水艦がゆっくりと浮上し、艦体にはまだ水滴がついていました。まもなく甲板のハッチが開きます。数秒後、オレンジ色の炎が雲を突き破り、長い白い軌跡を引きながら、太平洋の奥深くへと轟音を立てて飛んでいきました。
それは普通のミサイルではありませんでした。台湾側が「巨浪-2」型と判断したこの潜水艦発射型弾道ミサイルは、射程が約7000キロに達し、核弾頭の搭載も可能です。しかも、水中ではなく海上から発射され、太平洋を横切るような弧を描きました。ミサイルは太平洋にある複数の島国の排他的経済水域の上空を次々と通過し、最終的な落下地点はソロモン諸島付近の海域とみられています。中国軍がこの種の発射を行ったのは、ここ2年で初めてです。
その弧が落下点に達した瞬間、各国の首都では、むしろ警報が鳴り始めたばかりでした。
米国務省が通知を受けたのは、ミサイル発射の直前、わずか数時間前だったとされ、しかも伝えられた内容は極めて限られていました。7月8日、米国務省の担当官はこの件について、公に「無責任だ」と批判しました。中国側が提供した通知の時間と情報量は、『核兵器不拡散条約』で認められた5つの核兵器国が従うべき透明性の基準には到底達していないというのです。この担当官は、今回の試射が、中国政府が急速かつ秘密裏に核戦力を拡大している中で行われたもので、地域だけでなく世界全体の懸念をさらに深めたと指摘しました。声明では同時に、中国当局に対し、戦略的安定と軍備管理をめぐる「意味のある協議」を始めるよう促し、米国が同盟国とパートナーに対する防衛上の約束を揺るぎなく守ることも強調しました。
太平洋の両側では、ほぼ同時に大きな波紋が広がりました。日本は中国軍の軍事活動が強まっていることに深刻な懸念を示し、こうした行動を再考するよう求めました。ニュージーランドは、南太平洋がミサイル実験場のように扱われることは望まないと明言しました。台湾総統府は、今回の試射を、中国政府が国際社会を威嚇しようとしたものだと位置づけました。さらに、NATOのルッテ事務総長までもが同じ時期に発言し、これは改めて、誰も中国に対して甘い幻想を抱いてはならないことを示していると述べました。
オーストラリアにとって、この弧が落ちた場所は、ほとんど自国の玄関先でした。
ミサイル試射の数時間前、オーストラリアはフィジーと防衛協定に署名したばかりでした。これはオーストラリア史上4件目の防衛同盟協定であり、太平洋地域で拡大し続ける中国共産党政権の影響力に対応することを目的としています。このニュースが伝わった時、NATO首脳会議に出席していたオーストラリアのコンロイ太平洋担当相は、この出来事が会議期間中の複数の議論で焦点になっていると率直に語りました。「NATOはこの件を非常に重視している。ルッテ事務総長もすでに公に言及しており、多くの加盟国もこの問題に触れている。これは、今や本当の意味での地域紛争というものは存在せず、どんな紛争も世界的な影響を生むということを改めて示している」。
彼は、今回の出来事は、オーストラリア政府が国防費を増やすと同時に、外交努力を強化している方向性が正しいことを裏付けていると見ています。そして、2つの出来事を並べてこう比較しました。「中国共産党政権は、地域の平和を守りたいという太平洋の島国の指導者たちの明確な意思を無視している。一方で、私たちはフィジーと協定を結んだ。これは、太平洋での私たちの協力の進め方が、より効果的になっていくことを示している」。
オーストラリア野党の外交担当報道官オブライエンは、さらに直接的に語りました。「私たちが太平洋を『平和の海』にすることを議論しているこの週に、中国政府はその地域へミサイルを発射した。これはまったく不適切だ」。彼は、国際社会により大きな背景にも目を向けるよう促しました。この地域では、第二次世界大戦以降で最大規模の軍事拡張が進んでおり、その中には、中国共産党が拡大し続ける核兵器庫も含まれているというのです。
台湾の軍事専門家も同じ見方を示しています。台湾の国防安全研究院の分析によると、中国当局は「二本立ての戦略」で自らの核抑止力を構築しています。一方では米国とロシアに核兵器削減を求めながら、他方ではその機会を利用して自国の兵器庫を大規模に拡充し、最終的には米国に対抗できる能力を持つことを目指しているというのです。この拡張の不透明さこそ、各国が中国側に実質的な軍備管理対話への参加を繰り返し求めている理由です。
一方で、中国共産党政権の原子力潜水艦とミサイル能力は、現時点ではまだ米国に後れを取っているとの分析もあります。もし本格的な軍拡競争に発展した場合でも、米国は潜水艦の数とミサイルの運用能力で依然として優位にあるという見方です。しかし、こうした実弾試験が常態化すれば、米国とインド太平洋地域の同盟国は、さまざまな対応シナリオを想定した訓練を加速させることになるのは避けられません。
複数の国から一斉に非難の声が上がる中、中国国防省は8日、今回の発射について「毎年行う軍事訓練の通常の一環」にすぎず、「国際法と国際慣例に合致している」と説明し、「いかなる国とも核軍拡競争は行わない」と強調しました。新華社通信の表現もほぼ同じでした。通常の一環であり、特定の国や目標を狙ったものではない、というものです。
注目すべきは、今回の試射より前に、ジョージ・グラス駐日米国大使がすでにSNSで中国共産党を批判していたことです。中国共産党は日本の防衛予算の増加を非難しながら、その一方で自らはインド太平洋地域で弾道ミサイルの試射を行っている、という指摘でした。彼は、70年以上にわたる日米同盟こそが、インド太平洋地域全体に平和、繁栄、安定をもたらしてきたと強調しました。この歴史が今、再び取り上げられて議論されていることも、各国が中国共産党の軍事力拡大に対して抱いている警戒感が、決して一朝一夕のものではないことを物語っています。
しかし、太平洋の両岸の政府や国民にとって、あの朝、空を横切った弧は、もはや単なる「通常訓練」ではありません。その落下は、太平洋全体の神経を揺さぶりました。そして、それが引き起こした衝撃は、外交、軍事、世論という複数の軌道に沿って、今も外へ外へと広がり続けています。この力比べは、恐らくまだ始まったばかりです。
(翻訳・藍彧)
