エレベーターが突然激しく揺れ、足元がふっと抜けるような感覚に襲われることを想像してみてください。これは杭州市のある新築住宅団地で、住民が実際に経験していることです。さらに恐ろしいのは、専門機関が報告書に「これらのエレベーターは直ちに使用を停止すべきだ」と明記しているにもかかわらず、現在も通常通り運行していることです。
杭州市銭塘区(せんとうく)の「広宇錦上雲瀾」住宅団地は、引き渡しからわずか1年余りしかたっていませんが、エレベーターの故障が頻発し、かごが激しく揺れたり、エレベーターが「急降下」したりする危険な事態も何度も起きています。住民の強い要望を受け、開発会社は第三者機関に委託し、団地内にある16基のエレベーターを全面的に検査しました。その結果、15基に問題が見つかり、専門機関は直ちに使用を停止して改修するよう勧告しました。しかし記者が最近、現地を取材したところ、これらのエレベーターは今も通常通り運行していました。
「潮新聞·銭江晩報」の9月8日の報道によると、この住宅団地は昨年4月に引き渡されました。公営賃貸住宅にはまだ入居者がいませんが、8棟の住宅には合わせて16基のエレベーターが設置されています。昨年秋から住民が次々と入居すると、エレベーターの故障が相次ぐようになりました。多くの住民が連名でメディアに訴え、9割以上のエレベーターに問題があり、日常の移動の安全がまったく保障されていないとしています。
住民の欽(きん)さんによると、8月8日、高齢の夫婦と一緒にエレベーターで下っていた際、12階付近でかごが突然停止しました。緊急呼び出しボタンを押しても誰も応答せず、3人は10分余り閉じ込められた末、ようやく修理担当者が到着しました。その時、最も心配だったのは、エレベーターがそのまま落下するのではないかということだったといいます。
別の住民、石(せき)さんが管理会社のグループチャットの記録を調べたところ、自分が住む棟だけでも、昨年9月から今年8月初めまでに41回のエレベーター故障が発生していました。ボタンが反応しない、異音がする、運転中に急降下するといった問題があり、平均すると8日に1回の割合で故障していたことになります。しかも、これは記録で確認できる回数にすぎず、実際にはさらに多い可能性があるといいます。
住民が提供した監視カメラの動画やスマートフォンで撮影された複数の動画では、エレベーターが到着階を表示した直後に突然激しく揺れ、乗客がよろめき、転倒しそうになる様子が確認できます。8人の乗客が同時に揺れでバランスを崩す場面もありました。また、かごが二つの階の間で停止しているにもかかわらず、エレベーターのドアが異常に開き、出口の中央を建物の床部分がふさぎ、警備員が外から閉じ込められた人を救出しようとするケースもありました。
7月30日、開発会社の杭州錦宇不動産開発有限公司は、浙江中騰検測科技有限公司に委託し、16基のエレベーターを1基ずつ検査しました。8月28日に出された報告書によると、複数のエレベーターで、停電後の非常通話装置が作動しない、非常照明が機能しない、電動ブレーキ解除装置が作動しない、一部の電気安全装置が腐食している、ピット内の照明が点灯しない、ドアの隙間が基準を満たしていないなど、一連の問題が確認されました。故障が頻発し、乗客が閉じ込められる危険性も高いとして、15基について直ちに使用を停止して改修し、すべてが基準を満たした後に運行を再開するよう勧告しました。
しかし管理会社は、この報告書をなかなか公表しようとしませんでした。住民の陳さんが内容を確認できたのは9月3日になってからで、管理会社の事務所で報告書を見た際には、スタッフから、その場で撮影や外部への公開を止められたといいます。9月8日に記者が現地を取材した際も、不合格と判定され、直ちに使用を停止するよう勧告されたエレベーターは、依然として通常通り乗客を乗せて運行しており、使用停止や改修が行われている様子は見られませんでした。
もしこれが単独の事例なら、ある開発会社の管理不足として片づけることもできるかもしれません。しかし、目を深セン市や昆明市に向けると、同じような事態が繰り返されています。これは本当に、ただの偶然なのでしょうか。
今年に入り、深セン市宝安区(ほうあんく)の新築住宅団地「和郡府」で、エレベーターの故障が100回を超えていることが明らかになりました。この団地には1000世帯余りがあり、2025年12月から順次引き渡しが始まりましたが、引き渡しから3、4カ月後には、各棟のエレベーターで相次いで問題が発生しました。特定の棟や1基だけの問題ではなく、時には高層階の住民が下に降りられず、低層階の住民が上階へ行けなくなることもありました。
住民の集計によると、今年1月から7月までに、5棟の住宅でエレベーターの故障が合わせて142回発生しました。中でもA棟とB棟に集中し、それぞれ43回と41回に達しています。さらに懸念されるのは突然の急降下で、合わせて12回発生しています。ある住民は4月、9階から1階まで一気に降下したと証言しています。また別の住民は、エレベーターが33階まで上昇したところで突然停止し、そのまま自動的に下降し始め、各階のボタンを次々に押したところ、ようやく23階で止まったと話しています。
さらに2025年12月と2026年1月には、団地内で水道管が漏水したり、消火栓が誤って開いたりしたことで、複数のエレベーターが浸水し、基板にも水が入りました。その後、宝安区の市場監督管理部門が介入し、保守会社に対して6月からすべてのエレベーターを対象に、複数回にわたる詳細な点検·保守を行うよう求めるとともに、管理会社と保守会社の責任者を集めて事情を聴きました。この団地の保守を担当するエレベーター会社の深セン支社は、今年に入ってすでに6件の行政処分を受けており、複数の地域で特殊設備に関する法令違反が指摘されています。
雲南省昆明市の海倫国際住宅団地では、さらに危険な出来事が起きています。報道によると、7月27日夜、住民の郎さんの長男が帰宅した際、エレベーターが突然31階から地下2階まで急降下しました。郎さんと家族がエレベーターの急降下を経験したのは、これで3回目でした。
郎さんはこう話しています。「このエレベーターはもう何度も問題を起こしている。2024年には、私が乗っていた時に28階から10階まで落ちたことがあった。その時は中に3人いた。2025年には、次男がエレベーターに乗っていた時、20階台から10階台まで落ちた」
同じ棟の別の住民によると、この建物にはエレベーターが3基しかなく、数百世帯の住民が共同で利用していますが、3基すべてで制御不能となって急降下したことがあるといいます。また、高層階まで上昇すると、上下に激しく揺れることがよくあるという証言もあります。住民はエレベーターの交換を求めていますが、管理会社は、交換には一定の条件を満たす必要があるとして、いまだに解決に至っていません。
杭州市から深セン市、昆明市まで、新築住宅の引き渡し直後から故障が発生し、点検や修理をしても故障が続くという事態が繰り返されています。開発会社はコストを削り、保守点検は形だけとなり、責任の所在も曖昧です。住民が何度訴えても、声は届かず、エレベーターは問題を抱えたまま運行を続けています。
(翻訳・藍彧)
