7月1日午後3時、新疆ウイグル自治区トルファン市では、太陽が真っ赤に焼けた鉄の塊のように、新疆の有名な観光地「火焔山」の赤茶けた山肌を真正面から照りつけていました。観光地の入口に立つ、孫悟空の如意棒を模した巨大温度計の針はどんどん上がっていき、最後には、思わず目を疑うような数字、82℃で止まりました。地表温度は靴底が溶けるほど高く、スタッフによると、観光地では毎年、熱で壊れた靴が箱いっぱいに回収されるといいます。

 その前日の6月30日には、地表温度はすでに78℃に達していました。現地の旅行会社スタッフは、温度計の前に立つと、熱風が壁のように正面から押し寄せてくると話し、「あれは暑いというより、焼かれている感じだ」と語っています。SNS上の書き込みは、温度計よりもさらに現実を物語っています。「暑すぎる。子どもにはとても耐えられない」「午後3時、地表温度を測る温度計は83℃、気温は48℃を示していた」「もう限界を振り切りそうだ」

 昼間のトルファン市は、まるで終末小説に出てくる荒廃した世界のようです。火焔山の日差しは、人まで焼き上げてしまいそうな強さで、空気は皮膚の水分まで吸い取ろうとするかのように乾ききっています。トルファン市は毎年暑いことで知られていますが、今年は違います。暑くなるのが早すぎ、気温の上がり方も速すぎるのです。トルファン市は「中国一の酷暑地帯」とも呼ばれ、2023年には52.2℃を記録し、中国国内の実測最高気温記録を更新しました。2017年には、火焔山の地表温度が89℃に達したこともあります。例年、火焔山の地表温度が80℃を超えるのは、多くの場合、真夏の8月に入ってからです。しかし今年は6月22日の時点で初めて80℃を突破し、例年より丸1か月以上も早まりました。

 気象当局は、7月初めの高温のピークは7月2日から4日にかけて訪れ、一部の郷や鎮では最高気温が50℃を超える可能性もあると予測しています。ほかの地域がようやく季節の変わり目を迎えたばかりのころ、トルファン市の地表はすでに「煙を上げ始めている」のです。

 火焔山が煙を上げる一方で、中国の反対側では洪水が何度も町をのみ込んでいます。水は、じわじわと玄関の敷居まで迫ってきました。広西チワン族自治区百色市で、黄さんの家の居間には、濁った川の水がすでに足首の高さまで入り込んでいます。家の外にあった水田は、稲の姿すら見えなくなっていました。洪水は2度、3度と県の市街地に押し寄せ、黄さんの村は今年すでに3、4回も浸水しています。

 洪水の中で危険を冒して稲を刈り取る人もいれば、夜明け前に避難を余儀なくされた人もいます。ある人は「雨は月額制で降っているみたいだ」と話しました。6月以降、広西チワン族自治区の各地では豪雨が続き、さらにダムの放流が連日続いたことで、洪水が広がり、災害となりました。土砂崩れが起き、道路は押し流され、郷や鎮の間では一時、連絡が取れなくなりました。

 広西チワン族自治区では、6月14日午前8時から15日午前8時までの24時間で、梧州市藤県の降水量は455.6ミリに達しました。このうち藤県和平鎮では、3時間で345ミリの雨が降り、広西チワン族自治区の3時間降雨量の過去最高記録を更新しました。激しい雨の影響で、複数の河川の水位が警戒水位を超え、容県や博白県などでは一時、豪雨の赤色警報が発令されました。多くの小中学校も休校を余儀なくされました。それから半月余りが過ぎた後、同じような豪雨とダム放流が重なり、藤県や楽業県などを再び水害へと追い込みました。

 同じ夜、1000キロ以上離れた陝西省咸陽市では、空から何の前触れもなく、卵ほどの大きさの雹が降りつけました。果樹園やトウモロコシ畑はめちゃくちゃに打ちつけられ、アスファルトの道路は白く凍りついたようになり、まるで夏に吹雪が降ったかのようでした。陝西省咸陽市の住民、張さんはこう話しています。「30年以上生きてきて、こんなに大きな雹は初めて見た。外は涼しいどころか寒かった。30分余り降った。8時半に降り始めて、9時過ぎにやんだ。リンゴもトウモロコシもやられた。全部被害を受けた。車もへこんだ」

 甘粛省正寧県では、ある農民が育てていたタバコとリンゴが順調に育っていましたが、一度の雹によって数百万円規模(数十万元)の収穫が奪われました。「車のガラスまで割られた。リンゴ、トウモロコシ、葉タバコ、全部めちゃくちゃにされて、何も残っていない」。これは決して珍しい例ではありません。6月上旬、甘粛省平涼市、定西市、慶陽市などでも同じように激しい雷雨や突風を伴う荒れた天気に見舞われ、地面に落ちた雹の直径は多くが3、4センチに達し、一部は5センチ近くにもなりました。リンゴ農家の中には、ようやくリンゴに袋をかけ終えた直後に雹に襲われ、大量の実が落ちてしまった人もいます。落ちなかった実にも穴や傷がびっしりつき、ほとんど売り物にならなくなりました。雹が去った後、畑は白い砕石を敷き詰めたようになりました。農民は畑にしゃがみ込み、破壊された作物を見つめたまま、一言も発することができませんでした。

 一方、山東省では、暴風雨が都市を湖に変えました。済南市の街頭では、強風が豪雨を巻き込みながら街路樹をなぎ倒し、乗用車が腰の高さまである水に浸かり、まるで方向を失った小舟のように浮かんでいました。菏沢市の住民はこう話しています。「招商街という通りが一番ひどい。7、8台の車が水に浸かったと聞いた。BMWも吉利もまだ引き上げられていない」。最大瞬間風速は一時、風力階級12級に達し、市街地では深刻な内水氾濫が発生しました。交通は麻痺し、商店は浸水し、住民は水の中を苦労しながら歩いていました。

 極端な天気は、ばらばらに崩れたパズルのようです。南方ではダムが放流され、西北では畑が雹に砕かれ、華北では都市が豪雨で機能停止し、西部では火焔山が煙を上げています。一つ一つのピースはそれぞれ違う災害を示していますが、それらが同じ時期に同時に起きているのです。今年第1四半期だけで、中国全土では18の省で、短時間の強い雨、雷を伴う突風、雹などの災害が散発的に発生しました。被災者は延べ23万8000人に上り、直接的な経済損失は約77億円(3億6700万元)に達しました。

 気象専門家は、今年の極端な天気には「複数の場所で同時に発生する」という特徴があると指摘しています。ある人は「まるで気象システムのすべてのボタンが同時に押されたようだ」と語りました。

 トルファン市では、熱中症の症例が例年より1か月早く現れました。広西チワン族自治区では、農民が腰まで水に浸かりながら農具を拾い、「今年はもう収穫がない」と話しています。甘粛省では、村民が雹でぐちゃぐちゃになったリンゴを手に持ち、「これは天災ではなく、天にからかわれているようなものだ」と語っています。

 ある人は、これは「天が怒っている」のだと言います。別の人は、これは「極端気候からの警告」だと言います。

(翻訳・藍彧)