8月16日の夜、南京地下鉄3号線を走っていた列車が突然停止しました。車内で、若い男性が非常ブレーキのレバーを引き下ろし、そのままドアを激しく蹴り始めました。蹴りながら「死にたい」「社会に復讐してやる」「なぜ地下鉄にも乗れないんだ、こんなに辛いのか」「地下鉄をよこせ」などと叫び続けていました。周囲の乗客は驚いて後ずさりし、一人の女性乗客が勇気を出してなだめようとしましたが、うまくいきませんでした。最終的には数人の男性乗客が力を合わせて彼を取り押さえ、駆けつけた警察官に引き渡しました。

 この動画がネットに広まると、コメント欄の反応は二つに分かれました。「頭がおかしいからこそ、地下鉄でこんなことができるんだ」という声がある一方で、そう決めつけるのは早いという意見もありました。人前であそこまで叫ぶというのは一日や二日で溜まったものではなく、長い間抱え込んできた何かが、あの瞬間に限界を迎えたのではないか、というのです。

 彼が実際に何を経験してきたのか、今のところ誰にも分かりません。当局からの説明もありません。ですが、少し視野を広げてこの国の最近の状況に目を向けると、崩壊の淵に立っているのは彼一人ではないことが見えてきます。

 今年、中国当局は年間の経済成長目標を4.5%から5%の間に設定しました。目標が5%を下回るのは、これが初めてのことです。住宅価格は今も下がり続けていて、下落が始まってからすでに5年近くが経つのに、底はまだ見えません。デベロッパーは債務を抱え、物件は建設途中のまま放置され、家を買おうとする人は手を出せず、すでに購入した人たちも毎日不安な気持ちで過ごしています。物価も上向きません。生産者物価は何年も下落を続け、今年3月になってようやくかろうじてプラスに転じましたが、専門家の間では、これは国際的な原油価格に押し上げられた結果に過ぎず、実際に消費が回復しているわけではない、との見方が強いようです。

 若者にとって、仕事探しはさらに厳しい状況にあります。今年6月、16歳から24歳の若年失業率は14.9%でした。ここ数か月と比べれば多少ましに見えるかもしれませんが、3年前まで遡ると、この数字はかつて21.3%まで跳ね上がったことがあり、平均すると常に16%前後で推移していて、本当の意味で落ち着いたことはありません。企業側も苦しい状況が続いていて、商品が売れず、利益は薄くなる一方で、できることなら新たな採用は控えたい、というのが実情のようです。

 何より心に刺さるのは、かつては誰もが競って就こうとした、公務員や教師、国有企業の職員といった、いわゆる「体制内」と呼ばれる安定した職業ですら、もはや当てにならなくなってきているという点です。ここ数年、自由アジア放送(RFA)やアルジャジーラといったメディアが繰り返し伝えているのは、中国各地で公務員や教師への給与が支払われないケースが相次いでいるという現実で、地方政府自体が資金繰りに窮しているといいます。これはどこか一つの地域に限った特殊な話ではなく、もう何年も続いている問題です。山東省人力資源社会保障庁の公式サイトには、給与未払い問題に対応するための専用コーナーが常設されています。当局自身も、この問題が長年解決されずにいることを、事実上認めているとも言えそうです。

 数日前にも、ネット上で一連のスクリーンショットが出回りました。済南のある職場について「3か月も給料が支払われていない、これ以上はもう待てない」と訴える投稿でした。そのコメント欄には、山東の国有企業に勤めていて5か月分の給料が未払いだという書き込みや、済南天橋区の非常勤講師を名乗る人物による「自分も限界だ」という書き込みが並びました。長清区で公益的な仕事に就いている人からは、今年3月分の給料をようやく受け取ったばかりで4月と5月分はまだ届いていないという投稿もあり、さらには地域の医療機関での給与未払いはもはや珍しくもない、という声もありました。これらのスクリーンショットが誰の投稿で、どこまで事実なのかを一つひとつ確認することはできません。ですが、これを目にした人の多くが感じているのは、こうした話を最近あまりにも頻繁に耳にするようになり、驚きすら感じなくなっている、という現実のようです。

 こうして改めて、南京の地下鉄で「死にたい」と叫んだあの若い男性を振り返ると、彼が本当に精神的な問題を抱えていたのか、それとも経済的な重圧に押しつぶされたのか、誰にも断定はできません。ですが、経済成長目標が史上初めて5%を下回り、若年失業率が何年も二桁の高さで推移し、かつて安定の象徴だったはずの仕事にまで給与未払いが広がりつつある、そんな状況の中で起きたこの出来事は、今の時代の重圧を映し出す一つの縮図のようにも見えます。今日は彼でしたが、明日は別の誰かかもしれません。それは、誰にも分からないことです。

(翻訳・吉原木子)