6月末の天地は、ひときわ不穏な空気に包まれていました。四川省宜賓市の人々が深夜、突然の地震に襲われ、屋外へ避難していた頃、遠く離れた陝西省、山東省、広東省などでも、記録的な異常気象に見舞われていました。地下深くからの激しい揺れから、空から降り注ぐ雹や豪雨に至るまで、わずか数日の間に、圧倒的な脅威を示す自然災害が相次いで発生しました。

 6月29日午前0時12分、静夜、四川省宜賓市高県沙河鎮で、突如として発生したマグニチュード5.5の地震が発生しました。震源の深さがわずか6キロメートルと浅かったため、大地の揺れは非常に激しいものとなりました。成都や重慶などでも強い揺れを観測しただけでなく、揺れは雲南省や陝西省、貴州省など広範囲に及びました。成都に住むある住民は「20階に住んでいますが、まるで船に乗っているかのように大きく揺れました」と、当時の恐怖を振り返っています。また、震源により近い珙県巡場鎮の住民は、さらに恐ろしい体験をしていました。「地震が起きた瞬間に停電し、家の壁にも少しひびが入りました。震源から数キロしか離れていないこともあり、多くの人が夜通し広場へ避難しました。地下駐車場はあっという間に空になり、皆一斉に車で外へ逃げ出しました」

  地震発生の瞬間、自然の猛威が浮き彫りになりました。防犯カメラの映像には、その恐怖の瞬間がはっきりと記録されています。建物は激しく揺れ、室内の物が辺り一面に床に散らばり、水槽からは大量の水が溢れ出していました。あるビリヤード場では、突然の轟音とともに、全員がキューを放り出して出入り口へと殺到しました。服を着る暇すらなく、本能のままに猛ダッシュで避難する学生の姿もありました。地元当局の発表によると、この地震で13名が負傷しています。震源に近い農村部の被害が比較的大きく、一部の家屋でひび割れや倒壊が発生し、山道では至る所で落石が道を塞ぎました。

 また、地震の前後に動物たちが見せた異常な行動も注目を集めています。前日の6月28日夜の時点で、現地の空では無数のツバメが旋回し続け、夜になっても巣に帰らないという異変が確認されています。地震の瞬間には、魚の群れが異常に暴れ出し、水面から何度も飛び跳ねました。養豚場の豚は一斉に目を覚まし、犬や猫はパニック状態になって走り回っていました。こうした現象について、インターネット上では「やはり動物は事前に危険を察知できるのですね。動物たちが異常に騒ぎ出したら、すぐに安全な場所へ避難した方が良いのかもしれません」といった声が寄せられています。

 地下深くの異変が地表に影響を及ぼす一方で、空の脅威もまた、人々に恐怖を与えました。地震の前日である6月28日の午後、陝西省楡林市綏徳県は、巨大な雹と暴風雨に約30分間にわたって襲われました。地元住民は当時の惨状をこう語っています。「雹が山のように積もっていて、本当に恐ろしかったです。農作物はすべて全滅し、駐車していた高級車のガラスも粉々に砕け、自宅の窓ガラスまで割られてしまい、本当にひどい有様でした」ほぼ同じ頃、豪雨は東部や南部の沿岸地域にも降り注いでいました。山東省徳州市禹城市では、28日夜の豪雨により市街地で深刻な冠水が発生しました。ある市民は「市内の通りでは水深が1メートル近くにまで達していて、100台以上の車が水没していた。至る所で防犯アラームが鳴り響いていた。浸水でショートした車のライトが点灯していて異様さを感じた。」と話しました。一方、広東省でも27日から28日にかけて、広州、深圳、東莞などで大雨が降りました。広州市新塘鎮の住民は、部屋中に泥水が流れ込み、ベッドの板が浮いている惨状を前にして途方に暮れていました。さらに一部の地域では、上流にあるダムの放流を知らせる警報が遅れたことが原因で、急激な増水を招いたという情報も飛び交い、住民たちの不安をより一層煽る結果となりました。通りには、水没して動かなくなった電動バイクや乗用車が至る所に放置されていました。

 南西部を襲った深夜の激しい揺れ、北西部で山のように積もった雹、そして華南や華東での腰の高さまで達する濁流。災害が立て続けに起きたこの6月末は、大自然の前では人間の存在がいかに無力であるかを容赦なく突きつけてきました。宜賓の店主は散乱した商品を黙々と片付け、楡林の車の持ち主は割られたフロントガラスを前に力を落としていました。広州の住民は泥だらけになった部屋の中から、損傷を受けていない家財道具を探し出しています。いつまでも続くと思っていた平穏な日常も、たった一度の自然災害によって、いとも簡単に崩れ去ってしまうものなのです。

(翻訳・吉原木子)