最近、中国各地でマンション住民や移住区の市民による集団抗議事件が頻発しています。高騰する生活費や管理会社の不誠実な対応、頻繁に変わる政策に直面し、平穏な生活を望む人々が声を上げざるを得ない状況に追い詰められ、警察との衝突にまで発展しています。これらの事件の背景には、地方行政や社会に長期にわたって蓄積された深刻な矛盾があります。

 6月22日夜、四川省成都市郫都区の大型マンションで、数百人の住民が道路を塞いで抗議する事件が発生しました。複数の住民によると、管理会社が高額な管理費を徴収しながらも適切なサービスを提供せず、入り口に信号機がないといった安全上の問題も長期にわたり放置されていました。何度も地元政府に介入を求めましたが実質的な対応がなく、最終的に街頭での抗議に踏み切ったとのことです。ネット上の映像では、大勢の人々が外の道路に集まってデモを行っています。行政担当者が現場で説得に当たりましたが、一部の住民が警察官や政府関係者らと激しく衝突し、数人がその場で拘束、少なくとも1人が負傷して病院へ搬送されました。

 この事件はネット上で広く共感を集めました。「何年も問題を先送りし、抗議されて初めて動くのか」と行政への嘆きが聞かれます。また、お金を払ってサービスを購入する消費者が逆に弱い立場に置かれ、一部の管理会社が公然とルールを無視して市民の正当な権利を踏みにじっているという鋭い批判も出ています。

 本来、お金を払う住民に対して管理会社はサービスを提供する立場です。しかし中国のマンション管理においては、サービス提供者が「支配者」へと変質し、立場が逆転する事態が日常化しています。根本的な原因の第一は、分譲住宅市場の歴史的背景です。多くの管理会社は市場の競争入札で選ばれたわけではなく、不動産開発業者の関連企業や子会社です。そのため、物件の引き渡し後も開発業者側の強い権限を引き継ぎ、マンションを自らの領地のように扱います。さらに、建物の品質や付属設備などに未解決の欠陥がある場合、こうした管理会社の最優先任務は、開発業者のために不都合な事実を隠蔽し、住民の集団抗議を未然に抑え込むことになります。こうした利益の結びつきから、彼らが住民と対立しやすいのは必然と言えます。

 第二に、住民側と管理会社との間にある極端な組織力の差です。法律上、住民を代表して管理会社を解任できる唯一の合法的な組織は「管理組合(オーナー委員会)」です。しかし現実には、その設立のハードルが極めて高く、煩雑な行政手続きが立ちはだかります。大多数のマンション住民は互いに見知らぬ個人の集まりにすぎません。法務部門や警備隊を抱え、インフラ設備を掌握する大企業に対して、個々の住民が立ち向かうにはあまりにも力が違いすぎます。結果として管理会社は、あらゆる手段を用いて権利を主張する住民に個別に圧力をかけ、黙らせることができるのです。

 さらに、効果的な解約や交代の仕組みが欠如していることが、管理会社の強気な態度をさらに助長しています。通常のサービスなら不満があれば利用をやめられますが、マンション管理では契約するのは簡単でも、解約して追い出すのが極めて困難です。たとえ住民が苦労して組合を設立し、交代を決議したとしても、元の管理会社が図面の引き渡しを拒否したり、撤退を拒んで居座ったりするケースが多く見られます。法的手段をとれば長い年月を費やし、強制的に追い出そうとすれば乱闘騒ぎに発展しかねません。管理会社を交代させるコストとリスクが大きすぎるため、管理会社は強硬な態度を崩さず、理不尽なルールの押し付けや暴力事件が多発する事態となっています。

 実際、こうした権利と力の不均衡から生じる理不尽な状況は、マンション管理の枠にとどまりません。少し前の5月9日と10日には、四川省楽山市の4つの大規模マンションで数千人の住民が合同でデモを行いました。彼らが住宅を購入した最大の理由は、子供が都市部の充実した教育を受けられるよう「都市戸籍」を取得することでした。しかし、地元政府が後になってこれらのマンションを農村戸籍扱いとしたため、子供たちは都市部の学校に通えなくなりました。約束が違うと怒った住民たちは、道路の交通を遮断して激しく抗議し、その結果、多数の住民が警察に拘束される事態となりました。

 管理会社の横暴による激しい衝突は、政府の貧困対策によって農村から移住してきた社会の底層にあたる安置区でも起きています。今年5月、雲南省昭通市の移住区では、管理会社が長期にわたり雨漏り修理などの要望を無視する一方、突然、毎月360元の駐車料金を強制的に徴収し始めました。これが移住してきた村人たちの怒りに火をつけました。数千人が連日道路を塞いで抗議し、現場を制圧しようとした特殊警察と激しくもみ合う事態に発展しました。群衆の怒りに直面した地元当局は最終的に譲歩し、駐車料金と管理費の徴収を一時停止すると発表しました。

 これらの抗議事件を振り返ると、一般市民が強大な利益集団や不均衡なシステム、責任を押し付け合う行政に直面した際、生活を守るために実力行使に出ざるを得ない現状が浮かび上がります。法制度の整備や市場の監視機能が十分に働き、市民に実質的な対抗手段や発言権が与えられない限り、権力側と市民の間の摩擦や衝突は、今後も中国社会の重い課題として残り続けると見られています。

(翻訳・吉原木子)