深センは、中国の改革開放を象徴する都市です。わずか40年あまりで、小さな漁村から国際的大都市へと一気に変貌を遂げました。高層ビルが立ち並び、車が絶えず行き交うその姿は、中国の経済成長を象徴する最も華やかな看板の一つとされてきました。

 しかし最近、ある建築エンジニア系ブロガーが公開した一連の動画が、ネット上で大きな話題を呼んでいます。彼のカメラに映っていたのは、インフラは一流で、高層ビルも林立しているのに、人の気配がまるでない深センでした。

 2026年3月5日、ブロガー「黄昏エンジニア」が深センのある道路で動画を撮影しました。動画には、がらんとした街路と静まり返ったビル群が映っており、通行人の姿は一人も見当たりませんでした。

 「ここは中国内陸部のどこかの小さな県城だと思ったか。いや、ここは深センだ。土地が非常に高い、あの深センだ。それなのに、まるでゴーストタウンのようだ。ここには世界一流のインフラがある。見てくれ。住宅ビルがたくさん建っていて、あちらにはとてもきれいな海沿いの一等地の公園もある。さらに高級オフィスビルも数多くある。それなのに、人がいない。見ての通り、これらの住宅はどれも空っぽで、向かい側のオフィスビルも同じく空いている。さっき向かいの海浜公園を少し歩いてみたが、そこにも誰もいなかった。海沿いにはとても美しい遊歩道が整備されているのに、まったく人がいないんだ。私はいま道路の真ん中に立っているが、誰も注意しない。この街には人がいないように見えるからだ。深センでこんな光景があるなんて、想像できるか。こんなゴーストタウンのような場所があるんだ。考えれば考えるほど、私たちの国のインフラ浪費は、もう目を覆いたくなるほど深刻だと感じる」

 動画が公開されると、ネットユーザーの間からは「わざと人のいない辺鄙な場所を選んで撮っているだけではないか」「意図的に寂れた印象を強調している」といった疑いの声も上がりました。これに対して、3月13日、このブロガーは別の動画を投稿し、反論しています。

 「私は前から、今の深センにはゴーストタウンのようになっている場所がたくさんあると言ってきた。でもみんな私を批判し、『わざわざ人のいない隅っこを探して撮っている』と言うんだ。では今日は、深センでも特に有名な観光地である大梅沙と小梅沙に来てみた。見てくれ。街にはやはり人がほとんどいないし、空いたままの建物も相変わらずたくさんある」

 「遠くに見えるあの建物も空いている。それに、ある有名不動産会社が開発した物件も見えるが、見た感じ、すでに放置されているか、工事が途中で止まったままのようだ。エレベーターもすでに止まっていて、床にはほこりが積もっている。地面には雑草まで生い茂っている。こちらの店舗も全部空いたままだし、あちらの建物はマンションなのかホテルなのか分からないが、おそらく海景アパートのようなものだ。さっき実際に見に行ったが、やはり全部空いていた」

 このブロガーは、中国ではインフラの無駄があまりにも深刻だと指摘しています。
 「これほど条件のいい路面店なのに、しかも有名デベロッパーが開発した物件なのに、誰も管理していない。それに、ここに止まっている車も、おそらく放置されたままだと思う。しかも決定的なのは、店舗のガラスまで割れていることだ。中には物がたくさん残っているのに、それすら誰も片づけようとしないのだ」

 しかし、最も衝撃的だったのは、3月23日に彼が撮影した別の動画でした。

 このとき彼が足を踏み入れたのは、深セン・南山CBDの中核エリアにあるグレードAオフィスビルです。しかもそのビルは、彼が所属する工事会社が内装工事を請け負ったことのある物件で、内部事情をよく知る建物でもありました。

 「このビルは見た目こそ立派で、かなり高級感もある。でも、はっきり言ってしまえば、中には空いたままのオフィスがかなり多い。入居率は4割にも届いていない。信じられないなら、今日は中に入って実際に見せよう」

 動画に映っていたビルの外観は、確かに高級感にあふれていました。1階ロビーも豪華に造られており、エレベーターは8基備えられ、成功した国際ビジネスビルと比べても見劣りしない造りです。

 しかし、内部に入ると実態は驚くべきものでした。16階は広いフロア全体のうち、入居しているのはわずか1区画だけで、それ以外はすべて空室でした。15階と14階にも同じように空いた区画がいくつもあり、ブロガーによれば、これらのフロアは自分たちが施工を担当したもので、かなり前に完成していたにもかかわらず、ずっと借り手がつかないまま、空室の状態が続いているとのことです。11階はフロア全体がスケルトン状態のままで、10階にいたっては倉庫代わりに使われていました。

 「ここは決して人目につかない片隅なんかではない。ここは深センでも最も地価が高いCBD(商業施設エリア)だ。それでも、空いたままの物件がこれだけあるんだ」

 「見ただろう。これが今のオフィスビルの本当の姿なんだ。私たちはよく、住宅はすでに深刻な供給過剰だと言っている。しかし、多くの人がまだ十分に気づいていないのは、実は商業用不動産、とくにオフィスビルや工業用の工場まで、住宅に劣らないほど過剰になっていることだ。しかももっと問題なのは、そうした物件が占めているのが、たいてい都市のど真ん中にある最も重要な土地、最も中核的な土地資源だということだ」

 また、深センで賃貸業をしている別のブロガーも、動画の中で厳しい現状を語っています。

 「気づいているだろうか。今年の深センは人がかなり減っている。私は深センで10年間、サブリース業をしてきた。例年なら、旧正月明け最初の1か月は最も賃貸需要が強い時期なんだ。でも今年は、空室がとにかく埋まらない。旧正月ももう過ぎたのに、この建物では今年に入ってまだ1部屋も貸せていない」

 ネット上では、こんな声も上がっていました。
 「深センはビルの空室率が本当に異常なほど高い。世界之窓のC1出口の近くにあるショッピングモールでは、テナントがほぼ全滅していて、デリバリー専門の店が数軒残っているだけだった。モールを歩く人もいないし、そもそも街に人がいない。建物をいくら増やしても、道路や街並みをどれだけきれいに整えても、結局は寂れて冷え込んだままだ」

 さらに、ほかのネットユーザーのコメントからは、この寂しい光景が深センだけの話ではないこともうかがえます。

 「上海も同じだ。南京市はもっとひどい」

 「全国どこも同じだ。街の人は年々減っている」

 「金のある人はみんな移民してしまった」

 過去20年あまり、中国の地方政府は土地売却収入に大きく依存し、不動産会社は巨額の借り入れを重ねながら拡大を続けてきました。そうして莫大な資金がインフラ整備や不動産開発へと流れ込み、マンションは次々と建ち並び、オフィスビルも次々に完成して引き渡されていきました。

 しかし、その膨大な空間を埋めるだけの実体経済も、人口の流入も、実際には伴っていなかったのです。

 いまバブルがしぼみ、空きビルの群れは、この無謀な賭けの結末を最も分かりやすく物語る存在になっています。企業が次々に倒れ、若者がもはや都市に集まらなくなり、住民も消費しなくなれば、繁栄の裏に隠されていた空洞は、もう覆い隠せません。都市はインフラによって骨格をつくることはできても、鉄筋コンクリートだけで本当の活気を生み出すことはできないのです。

(翻訳・藍彧)