4月3日、局地的な大雪の影響により、吉林省の琿烏高速道路(松原発・長春行き)で大規模な交通事故が発生しました。路面が非常に滑りやすく、視界が効かないため、同じ区間で30台以上の車が次々と衝突する玉突き事故が発生し、高速道路全体が深刻な渋滞に陥りました。

 事故の引き金となったのは、急激な天候の変化です。先祖の墓参りをする祝日、清明節を控える中、気象情報によると中国北部は大幅な気温低下に見舞われ、東北地方は広範囲で雨や雪が続いていました。目撃したドライバーによれば、3日の昼頃は雨が降っていたものの、その後気温が急降下し、あっという間に吹雪に変わったといいます。

 雨から雪に変わり、気温が急低下する気象パターンは、高速道路において極めて危険な状況を作り出します。雨で濡れた路面が急激な冷え込みで凍結し、透明で薄い氷の膜が張る「ブラックアイスバーン」となります。さらにその直後、大雪がこの氷の膜を完全に覆い隠してしまいます。一見するとただの雪道ですが、実際にはタイヤのグリップ力が完全に失われた状態です。このような路面で危険を感じて急ブレーキを踏むと、車はコントロールを失い滑走してしまいます。

 午後1時頃、琿烏高速道路の王府区間付近では、このスケートリンクのような路面が悲惨な結果を引き起こしました。多数の車がスリップし、ブレーキをかける間もなく次々と追突し玉突き状態になったのです。現場の映像には当時の衝撃的な光景が記録されています。高速道路上に停車した大型バスの側面へ、避けきれない後続の乗用車が次々と突っ込んでいく様子が映っていました。一部の車両は大破し、道路脇の溝に転落した車もありました。

 急激な気温低下と路面凍結が引き起こす大規模な玉突き事故は、中国国内でも過去に多くの事例があります。 2024年2月には寒波と大雪により江蘇省蘇州市の高速道路で100台以上の多重事故が発生しました。2016年11月にも京昆高速道路の平陽区間で56台が巻き込まれる事故により、多数の死傷者を出しました。これらの痛ましい事例は大きな教訓を残しています。

 初春の時期に急激な冷え込みや悪天候に直面した場合、ドライバーは常に警戒し、車間距離を十分に取り、急ブレーキや急なハンドル操作を絶対に避ける必要があります。今回の事故と降り続く吹雪により、多くの人々が道路上で足止めされました。反対車線を通過したドライバーは恐怖も冷めやらぬ様子で、極めて危険な路面状況のため、前の車のタイヤの跡を辿りながら徐行するしかなく、高速道路を降りるまでに丸4時間かかったと語っていました。また、当日の午後5時頃の時点でも農安県内の区間では雪が続いており、一部のドライバーは積雪した路面上で4時間以上も足止めされ、身動きが取れない状態に陥っていました。

 数時間に及んだ渋滞の中、近年普及が進む電気自動車(EV)に乗る人々が、さらに厳しい試練に直面した点も注目すべきです。立ち往生した多くのEVドライバーは、氷点下の環境で暖房を使うかどうかの苦渋の選択を迫られました。極寒の環境ではバッテリー性能が低下し電力消費が早まるため、電力を温存しようと暖房をためらい、厚着をして車内で震えるしかなかったのです。さらに業界関係者は、EVは重いバッテリーを搭載し車体重量が重く、特有の回生ブレーキの仕組みも相まって、ブラックアイスバーンでスリップすると慣性で制動距離が長くなる傾向があると指摘しています。雪道や凍結路面での安全運転には、より高い運転技術と心理的な余裕が求められます。

 この異常気象は、吉林省内の道路交通網にも大きな影響を及ぼしました。

 現地の交通情報アプリによると、悪天候と路面状況の悪化に対応するため、4月3日17時30分現在、省内にある249の高速道路インターチェンジのうち、すでに半数近い124の入り口で緊急閉鎖措置が取られました。

 インターチェンジの大規模な閉鎖の背後には、交通網の麻痺がもたらす物流や経済への影響も浮き彫りになっています。吉林省内の各地を結ぶ交通の大動脈である琿烏高速道路の寸断は、帰省や行楽に向かう乗用車の足を奪っただけでなく、物流輸送の生命線をも断ち切りました。清明節の連休前であり、春の農作業の準備に向けた重要な時期でもある4月初旬、生鮮農産物や急ぎの宅配便、農業資材を運ぶ大量の大型トラックが足止めを余儀なくされました。このような物流の大動脈の麻痺は、間違いなく一部地域での一時的な配送遅延につながる懸念があります。突如として見舞われた大雪と交通事故の連鎖反応は、単なる交通安全の問題を超え、地域社会の機能と緊急時の対応能力に大きな課題を突きつけているのです。

(翻訳・吉原木子)