中東の戦火がエスカレートし続ける中、世界のエネルギー供給の要であるホルムズ海峡は、いつ封鎖されてもおかしくない深刻な危機に直面しています。しかし、この地政学的な嵐の中で、極秘のエネルギー「抜け道」が密かに浮上しています。複数の関係者によると、中国共産党は国際社会の監視の目を盗み、グレーな貿易ルートを通じてイラン南東部のジャスク港から大量の原油を継続的に調達していると指摘されています。
戦火を免れているこのエネルギー輸送は決して偶然なことではなく、中国とイランの長期的な戦略的意図と強固な結びつきの賜物です。
両国の石油貿易に詳しい業界関係者の郭樹清氏(仮名)は、米国・イスラエルとイラン間の紛争が激化して以来、毎日、山東省や浙江省などに荷揚げされるイラン産原油は影響を受けていないどころか、逆に増加の兆しを見せていると明かしました。
戦争勃発前から、中国政府は事態が制御不能になった場合でも、封鎖されやすいホルムズ海峡を迂回し、中国へ原油をスムーズに輸送できるよう、イラン上層部と密かに緊急時の枠組みを取り決めていたといいます。
さらに、中国の貿易部門は下部組織に対し、不測の事態に備えるよう内部通達を出しており、イランの石油ルートを確保すると同時に、ロシアからのエネルギー調達枠を大幅に増やす緊急対応計画を発動させていました。
この大規模なバックアップ計画を支える中核は、何年も前から整備が進められていた戦略的インフラです。
中国の外交当局に近い関係者である羅氏は、中国とイランのエネルギー協力の枠組みの下、中国が資金と技術を投入し、ゴレからジャスクまで全長約1000キロに及ぶ戦略的な石油パイプラインの建設を支援したことを明らかにしました。
このプロジェクトは、2021年に署名され、4000億ドル規模に上ると噂される「中国・イラン25年包括的協力協定」と密接に結びついています。
巨額の戦略的投資は、軍事やエネルギー面でイランを中国の事実上の属国へと変貌させただけでなく、厳しい制裁や紛争の激化に備えた「有事の抜け道」を確保することにつながりました。
現在、ジャスク港は中国とイランのエネルギー貿易を維持するための生命線となっています。ジャスク港は、イランにとってホルムズ海峡以外で唯一の命綱となる輸出港です。大量の原油がここで船積みされた後、そのままオマーン湾へと抜け、米国やイスラエル軍の監視網を完全に回避しています。
国際的な海運の監視を専門とするKpler社のデータは、このグレーなルートの異常な活況を裏付けています。開戦から現在に至るまで、イランの原油の1日平均輸出量は210万バレルに達し、戦前の水準さえも上回っています。世界的なエネルギー価格の高騰と各国のタンカーの危険回避の動きが広がる中、中国へ向かう「シャドー・フリート(影の艦隊)」だけがオマーン湾で異常なほど活発に動き回り、この急増した輸出シェアを独占しているのです。
最新の海運追跡データによると、2026年3月以降、中国側に雇われたこれらの幽霊タンカーはジャスク港に近づく際、自動船舶識別装置(AIS)を一斉にオフにして航跡を消すことが多く、欧米の監視の目を逃れるために頻繁に船籍を変更し、公海での瀬取り(STS)などの手段を用いて石油の出所を隠蔽しています。
このようにして出所を偽装されたイラン産原油は国際的な監視を逃れ、山東省などの地方にある民間製油所に絶え間なく運ばれています。
業界関係者は、中国政府が海外資産を持たず米国の二次的制裁を恐れないこれらの民間企業を意図的に隠れ蓑として利用し、中国石油や中国石化などの国有の巨大エネルギー企業が国際的な制裁に巻き込まれないよう防波堤の役割を負わせていると指摘しています。
一方、金融決済の面でも、このグレーな取引は米ドル主導の国際決済ネットワーク(SWIFT)の回避に成功しています。
情報によると、毎日数百万バレルに上る原油の巨額の資金は、人民元のクロスボーダー決済、隠蔽された小規模銀行ネットワーク、さらには事実上の物々交換によって取引が完了しているとのことです。
中国政府は工業製品、監視設備、ドローンの部品を直接原油と交換しており、欧米諸国が追跡困難な独自の取引ネットワークを形成しています。
この一連の隠密行動は、国際社会や専門家の間で強い懸念を引き起こしています。ベルギー在住の元研究者、黄嵐氏は、これは決して正常な国際エネルギー貿易ではなく、中国政府が地域の混乱に乗じて利益をむさぼり、地政学的な「利権漁り」を行っている典型的な例であると分析しています。中国は戦局を利用して資源を買い叩き、戦略的備蓄を蓄えるだけでなく、イランを欧米の力を消耗させるための重要な手駒と見なしています。
黄氏は、この「血塗られたエネルギー取引」とも呼ぶべきグレーな行為は、本質的に中国政府がイランの専制支配と軍事的挑発を維持するための軍資金を提供しているに過ぎないと強調しています。
この巨額の石油収入は、イランの弾道ミサイルやドローン計画の支援に直接使用され、フーシ派やヒズボラなどの代理人組織に絶えず流れています。
この膨大な原油取引量の背後には、中東の混乱の中で独自のエネルギー安全保障網を構築しようとする中国政府の野心が透けて見えます。国際的な正義を無視するこの行為は、中国こそがこの中東の地政学的動乱における真の黒幕であり最大の受益者であることを証明しています。
(翻訳・吉原木子)
