中国の新華網はこのほど、機関誌「半月談(はんげつだん)」の文章を掲載しました。見出しは「2025年、生活感あふれる活気が人気経済を燃え上がらせる」といった趣旨です。
記事は「繁華な大都市であれ温かい小さな県であれ、露店は供給を大幅に豊かにするだけでなく、参入のハードルが低く柔軟性も高い。専業で起業することもでき、空いた時間を使って収入を得ることもできる。ライブ配信やショート動画などで、露店経済は新たな段階に進んだ」と主張します。また、中央経済工作会議が「内需の拡大で新たな成長空間を広げる」と打ち出したことで、「露店経済は新たな発展の機会を迎えた」などとも述べています。
香港の「明報」は1月19日に、同紙の記者が最近、沿海部のいくつかの県で取材したところ、景気低迷や都市管理の緩和などの環境下で、露店が街角のあちこちに集まったり散ったりしており、小規模店舗が露店商に転じるケースもあれば、参入しやすい小商いとして始める人もいます。さらに、路上でライブ配信をしながらネット販売につなげる人もいて、人が集まる場所では露店が列をつくり、市場のような形になっています。
報道によると、夜になると、広東省潮州市や汕頭市の一部の交差点では、数十台の軽トラックや三輪車を改造した「フードトラック」が集まって露店を出す光景がよく見られます。
また、トラックの荷台を展示棚に改造し、区切った枠の中にスニーカーを並べ、照明まで付けて、まるで「走るスニーカー店」のようにして商売する人もいます。
しかし、失業者が増えたことで、露店経済も過当競争が深刻になっています。
最近、あるブロガーが動画でこう語りました。「中国ではあらゆる業界で悪性競争が起きており、誰もお金を稼げず、露店を出しても同じだ。この通りを見てください。昔こんなに多くなかった。ここ2年で規制が緩和され、露店が出せるようになった。交差点や住宅街ならどこでも、びっしりと露店が並んでいる。外で露店を出すのは寒くて大変で、体力的にもきつい。短い通りなのに数えてみたら露店がだいたい100軒ほどあり、たぶん大した額は売れないと思う」
消費の切り詰めで露店は苦戦 「生きていくのが大変」と嘆く声も
河北省で露店を5年間続け、焼きガチョウの頭を売ってきた東陽さんは、大紀元にこう話しました。「以前は夜市の屋台を出していたが、客足が極端に少なく、続ける意味がないと感じて3ヶ月前に故郷に戻った。主な原因は消費のグレードダウンで、人々にお金がないからだ」「いまの露店は決して安上がりな商売ではない。実は露店って、いま本当に安くない。食べに来る人も、雰囲気とか、その場の感じを買っているところがある。私はこれを始めるのに約22万円(1万元)投資した。ガチョウの頭は1個約220円(10元)で、珍しい品なので競争は少ない。1日の売上は約7000円から9000円(300元から400元)くらい。経費を引くとほとんど残らない。もう5年やっている、年々きつくなる一方だ。いまは何をやっても難しい」
官製メディアが「露店経済を支援する」と報じたことについて、東陽さんは次のように指摘します。「そう言っても、路上の露店は相変わらず都市管理に追い払われるのが現実だ。私が路上に出店するのは深夜1時頃だ。早い時間だとまず無理で、都市管理当局が路上の露店を認めない。朝の3時か4時くらいまでやっている」「露店をやる人は年齢も立場もさまざまで、誰でも参入はできる。けれど、稼げる人は多くない。露店商で廃業する人は非常に多く、毎年入れ替わっている」
湖南省張家界市で焼き串を売る少聡さんは、大紀元の記者にこう話しました。「屋台経営は一概には言えない。場所によって稼げるところもあれば、まったく稼げないところもある。焼き串は繁忙期と閑散期の差も大きく、結局は粘り強さと評判づくりが重要で、評判が付けば閑散期でも売れる。もちろん、場所の良し悪しも大きく影響する。いまは出せる場所がほとんどない。都市管理が厳しく取り締まり、許可しない。出すなら、向こうが整備した夜市に入るしかない。でも夜市も商売は良くない。店舗を構える必要がある。露店商は競争が激しく、景気そのものも良くない」
湖南省長沙市で、焼き串の露店と店舗営業を合わせて9年以上続けてきた大忠さんは、もともとは自分で店を構えていました。「今は屋台の競争が激しすぎる。無許可の屋台は厳しく取り締まられて、全く商売にならない。自分が屋台を始めたのは以前経営していた店が倒産したためで、店舗経営の経験はあるからだ。しかし、経験があっても、今は簡単ではない。何より、露店を出す人が多すぎるのだ。ここで露店ができると知ると、一斉に押し寄せてくる」
1月18日、あるブロガーが動画を投稿しました。内容は、団地の入り口で2時間露店を出したものの、商売はさっぱりだったという話です。
「今朝は団地の入口で2時間やったけど、売上はたった約800円(40元)だった。売っていたのは小さなアクセサリーや靴下。人は行き来しているのに、足を止める人がいない。隣で焼き芋を売っているおばさんも、状況は同じくらいだと言っていた。いまはみんなネットで買うから、実店舗も露店も本当に厳しい。目の前を通り過ぎる人の波を見ながら、自分だけが取り残されたような気がする。声を張って呼び込みをしても、客がつかまらない。雰囲気はまだ盛り上がっていないのかもしれないし、そもそも買い物がオンラインに寄っているからかもしれない。数日後には良くなることを願う。結局、このわずかな収入で家計を補わないといけないから」
失業者が露店商に
中国当局は、2025年の都市部の調査失業率の平均が5.2%で「雇用情勢は全体として安定している」としています。しかし、民間では公式発表の数字を以前から信用しない人が多く、毎年「卒業した瞬間に失業」という大学卒業生も少なくありません。
2004年生まれの大学卒業生の男性は、深セン市で失業した2か月後、生活のために初めて路上で露店を出した日の様子を動画で共有しました。うずらの卵を丁寧に準備して販売しましたが、都市管理の取り締まりが入り、わずか40分で営業を中止せざるを得ませんでした。
男性は収支をこう説明しました。「今日はうずらの卵を合計6人分売って、収入は約1200円(60元)。コストは約2400円(120元)なので、今日は合計で約1200円の赤字だった」
大忠さんは「いま露店に出ている人の多くは失業者だ。もちろん会社勤めをしながら副業で出る人もいる。露店は参入のハードルがいちばん低い起業の形なので人が集まりやすい。しかし、うまく続けられる人は少ない」と話します。
中国問題の専門家である王赫氏は大紀元に対し次のように述べました。「露店経済は確かに人々の暮らしの熱気を映すものだ。世界の大都市でも、たとえばニューヨークでは露店は合法的に存在している。ところが中国では、大都市で露店を出せないようにするなど、やり方が非常にいびつで、いわゆる都市景観の美化を理由に大都市での露店営業を禁止している。これは中国の都市統治が、国民の暮らしの感覚とかけ離れていることを示している」
王赫氏は、いま多くの人が仕事を見つけられず、消費も切り詰められているため、中国当局が口を少しだけ開けて露店を認める方向に振れたのだろうと見ています。ただし、これは戦術的で一時的な調整にすぎず、当局が民生を最優先に据えたという意味ではなく、今後は状況次第でいつでも再び締め付けが強まる可能性があるとも述べました。
(翻訳・藍彧)
