ペルー沖に到着した中国の漁船が、地元の海域から可能な限り多くの魚や海の生き物を根こそぎ獲ろうとしているとして、現地で強い反発が広がっています。
アルゼンチン海軍が、中国の違法漁船に警告射撃を行ったと報じられました。ここ十数年、中国の遠洋漁船団がアルゼンチンの排他的経済水域(EEZ)に侵入し、イカなどを違法に漁獲するケースが後を絶ちません。アルゼンチン側は、これによる海洋資源の損失が年間数十億ドル規模に上るとしています。沿岸警備隊(PNA)や海軍はこれまで、追跡や警告射撃、場合によっては船の撃沈にまで踏み切ったことがあります。
世界の海洋資源がこれまでにない圧力にさらされる中で、中国の遠洋漁業の拡大は国際社会の大きな関心と論争の的になっています。争いが絶えない公海や、他国の排他的経済水域での操業をめぐり、中国側の漁獲は「略奪的だ」と批判される一方で、法制度、環境、生態系への影響、安全保障、さらには人権の観点まで含めて、多方面から反発が強まっています。
こうした状況を受け、日本やアメリカ、南米諸国、韓国などは連携を強め、いわゆる「違法・無報告・無規制漁業」を抑え込み、海洋資源保護の強化を図っています。
中国の遠洋漁船団は世界最大規模
中国は、世界最大規模の漁業船隊を保有しています。国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによると、中国は海で獲れる水産物の生産量が世界最大で、漁船の総数も世界トップクラスです。世界の海で活動する漁船は50万隻以上にのぼり、そのうち34万2000隻が動力船だとされています。中国が寄港国措置協定(PSMA)に加盟したことは、グローバル的なルール作りの枠組みにおける画期的な出来事と見なされていますが、同時にその遠洋での操業規模がいかに巨大かも浮き彫りになりました。
実際の海域では、中国の工業化された遠洋漁船が、太平洋、インド洋、大西洋、さらには南極周辺まで、世界の主要な漁場でたびたび確認されています。データによれば、中国は2022年から2024年にかけて、90か国以上の排他的経済水域の外側にあたる海域で、合計2200万時間を超える操業を行ったとされています。多くの船がGPSの発信装置を切るなどして監視を逃れ、姿を消したまま違法操業を行う例もあります。
こうした巨大な漁獲活動は、生態系と経済に深刻な影響をもたらしています。国際組織オセアナの分析では、中国の漁船が世界の工業的な漁獲活動の44%を占め、他国を大きく引き離しています。生態系が壊れやすい海域や資源が豊富な海域で強い漁獲圧がかかることで、現地の漁業資源が枯渇し、生態系の劣化につながっています。
各国の強い反発 南米から東アジアまで広がる連携
エクアドル、ペルー、アルゼンチン、ウルグアイなどの周辺海域で中国の漁船団が頻繁に確認されていることを受け、日本政府は最近、これらの国々に監視設備、ドローン、巡視艇などの支援装備を提供すると発表しました。海上での取り締まり能力を高めるのが狙いです。日本の外務省はこの計画に約3億円を計上しています。日本側は、沿岸国が違法漁業をより効果的に取り締まり、自国の資源を守るための支援だと説明しています。
日本政府関係者は、提供する設備によって、不審船舶の登録情報、乗組員数、航行ルートなどの重要な情報を分析できるようになり、現地で弱いとされる海上監視や証拠収集の不足を補えると強調しました。日本政府はまた、中国の遠洋漁船が日本周辺の海域でも違法操業を行った例があるとして、同じ課題には国際協力で対応する必要があるとの考えも示しています。
この動きは、国際社会が連携して、中国の遠洋漁業を「世界の海の安全にとって重大な脅威」とみなして対抗していく流れを象徴する措置だと受け止められています。
米議会では、世界的な違法漁業を対象にした新たな法案の推進を始めています。12月上旬、民主党と共和党の議員が共同で「違法漁業を止めるための法案」を提出し、中国を世界最大級の漁業資源の搾取者の一つとして名指ししました。さらに、世界の違法漁船の約44%が「中国と関係している」と指摘しています。法案では、IUU漁業(違法、無報告、無規制の漁業)に関与が疑われる船主や船長、運営団体の資産凍結、関係者の入国ビザ制限、議会への定期報告義務化などを提案しています。
この超党派の立法は、米国が漁業資源保護と海洋秩序維持においてより強硬な政策姿勢を取り、日本などと連携して対抗戦略を形成していることを示しています。
2025年12月には、韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が、韓国の排他的経済水域への中国船の違法侵入の取り締まりを強化するよう、韓国海洋警察庁に指示しました。違反行為への抑止力を高めるため、罰金も引き上げる方針だといいます。韓国政府のこの措置は、東アジアの国々が、自国の海域での中国遠洋漁船の侵害行為を以前ほど容認しなくなっていることを示す動きだといえます。
資源略奪を超えた戦略と人権問題
専門家の中には、資源を根こそぎ獲ること以上に、中国の遠洋漁船の動きには別の狙いがあるのではないかと警告する声があります。中国問題の専門家である章家敦(しょうかとん)氏は、中国の遠洋船隊は単なる商業漁業の集まりではなく、中国当局が進める「軍民融合」戦略の一部になっている可能性があると指摘しています。つまり、漁業を装いながら情報収集を行ったり、いわゆる「グレーゾーン行動」を担ったりする能力を持ち得るという見方です。こうした船には北斗(ベイドゥ)衛星測位システムが搭載されているとされ、海上の移動式の監視拠点のように振る舞い、他国の海軍艦艇や海上パトロール艇、さらには商船の動きまで把握しようとしている可能性があるといいます。
さらに一部の研究者は、これらの漁船の中に、いわゆる海上民兵メンバーが含まれている恐れもあると警告しています。正面衝突には至らない形で現場行動を積み重ね、結果として国際法の秩序や地域の安定を揺さぶりかねないという懸念です。
また、人権面の問題も指摘されています。ワシントン・ポストが9月17日に報じた内容として、NGOの環境正義財団(EJF)の調査では、中国の遠洋イカ漁船団が南米海域で深刻な労働搾取を行っている疑いが浮上したとされています。東南アジア出身の乗組員に対する強制労働、過度な長時間労働、賃金の未払い、さらには虐待が原因とみられる死亡例まで含まれます。同団体は、中国船団が弱い立場の労働者に大きく依存しており、作業環境が国際的な労働基準に明らかに反していると指摘しています。
国際連合食糧農業機関(FAO)などの国際機関は、違法な漁獲物が市場に流れ込むのを止めるため、寄港国措置協定を推進してきました。しかし、この制度は実施面で課題に直面しています。監視体制の抜け穴や国ごとの取り締まりの差が残ることで、違法漁業が効果的に阻止されていないと指摘されています。
(翻訳・藍彧)
