中国でいま、芸能人が「急に若返る」異常事態が相次いでいます。老け込んだ姿や病気がちな状態から一転し、まるで別人のように若返ったケースが続いています。その裏で、55歳のインフルエンサー「虞美人(ユービジン)」が、「毎月の血液交換で若返っている」と明かしたことで、違法な血液ビジネスに関する疑惑が一気に広がりました。

 いったい中国で何が起きているのでしょうか。

「虞美人」は毎月約4200万円から5600万円で血液交換

 虞美人は最近のライブ配信で、毎月約4200〜5600万円(150〜200万元)を「血液交換」に費やし老化を遅らせていると明かしました。

 彼女によると、この血液交換とは、17〜21歳の男性の血液から「小型細胞外小胞(sEV)」を抽出する技術だといいます。

 また、献血者1人から採れる量は極めて少ないため、1人に施術には、大量の原料を集める必要があると述べています。

 カンフースターのジェット・リー(李連杰)は以前、SNSに病床写真を投稿し、痩せ細った顔、両目はくぼみ、状態が懸念される様子でました。新浪網によると、かつて「カンフー皇帝」と呼ばれた彼は、甲状腺機能亢進症の合併症で歩行も困難になり、階段の昇り降りも1人ではできなかったとしています。

 ところが最近、ジェット・リーの状態が急激に良くなったことから、血液交換で若返ったのではないかという疑惑が浮上しています。壹新闻の報道では、複数の芸能人が同じように「血液交換で若返っている可能性がある」と指摘。ジェット・リーについては「心臓移植を受けた」という未確認情報まで流れ、最新の姿は顔色がよく、活力に満ちていたため、多くのネットユーザーが「臓器移植や血液交換をしたのでは?」と推測しています。

小型細胞外小胞で若返りと延命は可能なのか

 では、虞美人が語った血液交換による若返り情報は、果たしてどれほどの真実性があるのでしょうか。

 南京大学の張辰宇教授の研究チームは、2024年4月16日に学術誌「Nature Aging(ネイチャー・エイジング)」に発表した論文によると、若いマウスの血液に含まれる小型細胞外小胞は、高齢マウスの生理機能や運動能力を改善し、老化した組織を回復させ、健康状態と寿命を延ばす効果が確認されています。

 研究では、生後20か月の雄マウスに、生後2か月の若いマウスの小型細胞外小胞を2ヶ月間毎週投与した結果、寿命が大幅に延び、中央値が22.7%増加して1031日に達し、最も長生きしたマウスは1266日に生存しました。これはヒトに換算すると約120〜130歳に相当します。

 ただし、ヒトの健康や寿命にどの程度効果があるかについての実証データは、現時点ではありません。

江青や江沢民も若者の血液を輸血

 時事評論家の張菁(ちょう せい)氏は寄稿で、中国共産党指導部は早い段階から若者の血液による寿命延長を実践していたと指摘しています。

 李志綏(りしすい)氏の著書『毛沢東の私生活』には、文化大革命の時期、中国軍の高級幹部・黄永勝(こうえいしょう)や邱会作(きゅうかいさく)らが、若い兵士の血液を滋養強壮剤として輸血していたと記されています。

 毛沢東の妻・江青も「若い男性の血液が寿命を延ばす」と聞き、若い兵士を呼び寄せて輸血させていたといいます。

 ネット上には「江沢民は生前、若い男性29人を血液提供者として囲っていた」という書き込みも見られます。

 米国の中国問題専門家・毛思迪氏によれば、中国高官は1960年代から若者の血液を輸血し、1980年代に入ると臓器移植へと重点を移したといいます。

詐欺拠点が「違法血液バンク」に?

 虞美人やジェット・リーが、若返りのために輸血をしていたとすれば、その血液はどこから調達されたのでしょうか。ネット上では「若者が強制的に血を抜かれているのでは」との疑念が広がっています。

 時事評論家の唐靖遠氏は「合法ルートであれほど大量の若い血液を確保することは不可能だ」と指摘し、「この闇ビジネスを維持するため、中国当局は『地下血液バンク』を整備し、金さえ払えば若さを買える仕組みを作っている」と批判しています。

 時事評論家の陳薇羽氏はYouTubeチャンネル『薇羽看世間』で、米ウイルス学者の林晓旭博士にインタビューしました。林博士は、小型細胞外小胞には細胞調整機能や低免疫拒絶性を有するが、抽出には莫大なコストと大量の血液が必要なため、規制が緩い中国では悪用されやすく、違法医療の隠れみのになる可能性が高いと警告しています。

 特に、血液の出所が不明な例が多いことから「カンボジアの詐欺拠点が違法血液バンク化している恐れがある」と述べています。

150歳寿命」の鍵は何か

 陳氏は「習近平氏が『人類は150歳まで生きられる』と言ったが、今や単なる口先だけの言葉ではなかったようだ」と指摘しました。

 林博士は、150歳寿命を実現するカギは結局、臓器移植にあると分析します。中国の再生医療は表向きの看板に過ぎず、実際の核心は生きたままの臓器摘出と移植にあり、中国共産党は人体を再利用可能な部品とましていると批判します。

 カンボジアの詐欺拠点にあるバイオ研究センターは、中国が主導しているとみられ、サイトは簡体字中国語と英語のみです。協力機関には、湖南省の複数の大手病院や公的機関が並び、正式な中国の許認可も持っています。

 中国から東南アジアへと広がる闇の利益網は、臓器移植だけでなく、小型細胞外小胞などの再生医療分野にまで拡大していることが明らかです。

 林博士は「中国共産党が人体を人間鉱山として扱っている」と厳しく批判。恐ろしいことに、その手がすでに正規の医療機関にまで伸びています。寧波市の病院では、ある乳児が内視鏡手術を受けた直後に原因不明の脳死に陥り、臓器が故意に摘出された疑いまで浮上しました。

 林博士は、こうした非人道的な行為に対し、国際社会が中国の移植医療との関係を完全に断ち、犯罪に加担しないよう強く呼びかけています。

子どもや男性からの血液サンプル採取

 近年、中国では多くの若者の失踪が相次ぎ、社会不安が急速に広がっています。また、各地で大量の身分証が捨てられている事例も発見されています。

 さらに、中国各地の幼稚園や小学校では、子どもから血液サンプルを採取する事例が複数報告されています。

 2025年9月5日には、内モンゴルの複数地域で警察が男性住民から血液を採取し、「地域DNAデータベースの構築」が目的だと説明しました。

 10月には、四川省平武県の公安局が「国家DNAデータベースの充実」を理由に、同県の男性住民の血液をまとめて採取しています。

 同時期、俳優・于朦胧(ウー・モンロン)の失踪騒動、虞美人の若返り輸血、芸能人の急激な若返り、若者の大量失踪、男性や子どもへの相次ぐ採血の相次ぐ、こうした出来事が重なったことで、中国共産党が長年行ってきた法輪功学習者に対する臓器収奪が、ついに一般市民にも及び始めたのではないかという警戒が一気に高まっています。

(翻訳・藍彧)