近ごろ、河南省鄭州の航空港区で、比亜迪(BYD)の拡張プロジェクトにおいて構造物の崩落事故が発生し、3人が死亡しました。ネット上では「手抜き工事だ」と厳しい批判が相次いでいます。また、同じ時期に西安市で開業わずか3日の商業施設の天井が落下し、8人が負傷する事故も起き、世論の関心が高まっています。

 澎湃新聞によりますと、河南省住房和城郷建設庁のサイトは11月15日、鄭州航空港区の「新エネルギー関連部品の産業団地」拡張プロジェクト(DK5第5期)の一区画で構造物が崩落し、3人が死亡したと発表しました。建設主体は鄭州比亜迪汽車有限公司、施工は東台金智慧建設(集団)有限公司、専門下請けは多維聯合集団股份有限公司、品質管理を担当する建設監督会社は河南昊之偉工程管理有限公司とされています。

 河南省政府の公式サイトは、比亜迪が2021年9月に航空港区と契約し、わずか37日で着工にこぎつけたと紹介しています。2023年4月には、比亜迪で最大規模とされる自動車組立工場が正式稼働し、同年の産出額は3347億元、生産台数は20万台を超え、EV向けバッテリー・蓄電システムも7GWhを生産したとされています。

 しかし今回の事故について、多くの河南省のネットユーザーは「たった3人のはずがない」「地元メディアは報じたくても報じられない」「これだけ大きな事故なのに検索しても出てこない」「比亜迪の工場は各地で品質の問題が多い」と不信感を示しています。さらに、「過度に多段階化した下請け構造で、末端の施工業者には利益が残らず、結果として手抜きにつながる」という声も上がりました。

 X(旧Twitter)でも、「建設監督会社による品質管理制度が形骸化しており、監督会社はお金を受け取るだけ」「全方位で手抜き工事が蔓延している」「建設の現場を知っている者なら、内部の腐敗の深さは誰でもわかる」といった批判が多数投稿されています。

 一方、西安市では11月17日午前、龍湖長楽天街の商業施設で約30平方メートルの天井材(石膏ボード)が崩落し、8人が負傷しました。3人が骨折、4人が軽傷、1人が足の軽い怪我だったと報じられています。

 この商業施設は11月14日に開業したばかりで、西北地域初のTOD型商業プロジェクトとして注目されていました。事故現場は3階のエスカレーター上部で、崩れ落ちた天井破片は複数のフロアに散乱しました。現場写真には、血の付いた紙や負傷者の周囲に残る血痕が映っており、開業直後の重大事故として衝撃が広がっています。

 ネット上では「また手抜き工事か」という嘆きの声が相次ぎ、中国国内で頻発する「手抜き工事」問題が再び注目されています。

 近年、中国では公共インフラから民間プロジェクトに至るまで、相次いで大規模な事故が起きています。11月11日には四川省阿壩州馬爾康市の紅旗特大橋が、主径間の接合完了からわずか10か月で崩落しました。「雲中の橋」と呼ばれ地域の交通改善を担うはずの橋梁は、大規模な山体崩落により一瞬で瓦礫と化しました。

 8月22日未明には、川青鉄路の尖扎黄河特大橋の施工現場で鋼ストランドが突然破断し、少なくとも12人が死亡、4人が行方不明となりました。世界最大級の連続鋼桁アーチ橋として注目されていたものの、重要部材の故障で作業員16人全員が橋下に転落する惨事となりました。

 こうした事故の背景には、中国の建設業界全体にわたる構造的な問題が指摘されています。官僚の腐敗体質、過度に多段階化した下請け構造、施工の質管理の不備、建設監督会社による品質管理制度の空洞化、安全審査の形式化など、多くの要因が複雑に絡み合っています。

 さらに近年、中国政府が推進する海外インフラ投資プロジェクトにおいても、中国企業が手掛けたインフラが完成直後から使用不能になったり、構造的欠陥が露呈したりするケースが複数の国で報告され、国際的な批判を浴びています。

 鄭州から西安、四川、青海に至るまで立て続けに起きたこれらの事故は、単なる施工ミスではなく、長年の制度的欠陥と腐敗構造の積み重ねが生み出した結果であるとの見方が広がっています。人々が「手抜き工事」への怒りを募らせるのも、決して不自然なことではありません。

(翻訳・吉原木子)