2025年の中国芸能界では、一種の「若返り現象」とも言える不思議な風潮が静かに話題を集めています。李連杰(ジェット・リー)、洪金宝(サモ・ハン・キンポー)、倪萍(ニイ・ピン)といった中国を代表するベテラン芸能人たちが、ほぼ同時期にSNSで相次いで近況を発信し、以前とはまるで別人のように若々しい姿を披露しているのです。その変貌ぶりは単なる復帰や健康回復といったレベルを超え、「まるで時間が巻き戻ったようだ」と、ネット上では驚きと憶測の声が広がっています。

 

 中でも李連杰さんは、かつて甲状腺疾患や心臓の不調に悩まされ、「もう長くないのでは」と心配されていた人物です。2023年には「60歳なのに70歳のように感じる」と語り、その姿もやつれて見えました。しかし2025年に入ると、自身のSNSに動画を投稿し、軽やかな足取りと引き締まった体を披露しました。肌にはつやがあり、目には力が宿り、まるで1990年代のアクション映画全盛期に戻ったかのようでした。ファンたちは過去の写真と比較し、「まるで別人」「20歳は若返った」と驚きを隠せませんでした。もちろん、過去に腫瘍の手術を受けており、その医学的な治療効果も考えられるものの、あまりに劇的な変化に戸惑う人も多いようです。

 73歳となった洪金宝さんもまた、注目を集めています。かつて膝の手術や糖尿病の影響で車椅子生活を送っていた彼は、長年にわたりファンの心配の的でした。しかし最近ではファッションイベントや公の場に元気な姿で登場し、以前の弱々しさを感じさせません。SNSには堂々とした立ち姿や笑顔が投稿され、その変化に「奇跡の復活だ」との声も上がっています。慢性的な疾患に長く苦しんできた人物であるだけに、その回復の早さには「常識では説明できない」と首をかしげる人も少なくありません。

 66歳の倪萍さんは、中国で最も親しまれてきたテレビ司会者の一人です。過去には健康問題のため番組中も椅子に座ったまま進行する姿が知られていました。歩行も困難で、車椅子を使用していた時期もあったと報じられています。しかし最近では、山登りを楽しむ姿や笑顔で元気に歩く様子がSNSに投稿され、「歩くのもつらそうだった人が、今では登山を楽しんでいるなんて」と驚きのコメントが相次いでいます。

 これらの「若返り現象」が同時期に起こっていることが、さらなる疑念を呼んでいます。複数の芸能人がほぼ同時期に動画を投稿し、ダンスや運動などアクティブな姿を見せている点について、「偶然とは思えない」「まるで打ち合わせ済みのキャンペーンのようだ」との声も出ています。芸能人であれば高価な美容や医療サービスを利用できるのは当然ですが、これほど一致した急激な変化には、「アンチエイジングの域を超えている」「もはや若返りではなく、時間を逆行している」といった反応が目立ちます。

 そうした中で、特に注目を集めているのが「臓器移植による若返り説」です。ネット上では、李連杰さんが2024年に事故で亡くなった若き少林武僧・秋風(俗名:延珩)さんの心臓を移植されたというセンセーショナルな憶測が拡散しました。秋風さんはその整った容姿と高い武術の腕前で人気を集め、「最も美しい少林僧」と呼ばれていた人物です。彼の死後、その心臓が李連杰さんに移植されたという噂が、彼の「復活劇」と結びつけられたのです。

 世論の波紋が広がる中、李連杰さんは最近、自ら泳いでいる動画を公開せざるを得なくなりました。動画の意図は、自身の体に傷跡がないことを視聴者に示すためだったとみられます。

 しかし、その動画を見た多くのネットユーザーからは、逆に新たな疑問が浮上しました。かつて李連杰さんの首元に見られた傷跡が、いつの間にか完全に消えているというのです。さらに、一部のユーザーは「男性であるにもかかわらず、体に腋毛がまったくない」「特定の角度から見ると、肌色のボディスーツを着ているようにも見える」と指摘しました。

 また、洪金宝さんについても「肝臓や腎臓を移植したのでは」といった憶測があり、倪萍さんに関しては「複数の臓器を更新したのではないか」とする信じがたい説まで出ています。さらに、2025年の中国で増えている失踪者の報告と結び付けて、「失踪した人々が移植用のドナーとして利用されているのでは」と疑う声すらあります。

 さらに、ネット上では「背筋が凍るような動画」も拡散されています。動画の中である女性が、自身のビジネス内容として「人を若返らせる方法」を説明しているのです。彼女によると、その手法は17歳から21歳の若い男性の体からマイクロベシクル(微小胞)や機能性タンパク質を抽出するというもので、21歳を過ぎるとそれらの成分は体内から消失してしまうのだといいます。

 さらに、この女性は「一人に効果を与えるためには、非常に多くの人の血液から成分を精製する必要がある」とも語っています。こうした発言に対し、多くのネットユーザーが「本当に恐ろしい」「このままでは世界は富裕層の楽園、貧しい人々の地獄になってしまう」「大人は老いず、子どもたちは大人になれなくなる」といった強い懸念の声を上げています。

 一方で、こうした現象を“マーケティング活動”と見る見方もあります。広告業界の内部関係者によると、これらの芸能人は超富裕層向けのアンチエイジングサービス、あるいは移植医療産業の広告塔として利用されている可能性があるといいます。SNSに投稿された動画や写真は一般大衆向けではなく、「不老長寿を求める富裕層」への高級医療サービスのPRとして機能している可能性が指摘されています。実際、中国の移植医療ではマッチングの速度が異常に早く、国際平均をはるかに上回るとの報道もあり、その背景と関連づけて考える人も少なくありません。

(翻訳・吉原木子)