近ごろ、中国北部では大気汚染と極端な気象が同時に発生し、北京・天津・河北省を含む「京津冀」地域が深刻な大気汚染に見舞われました。北京では一時「重度汚染」の状態に陥りましたが、中国の公式メディアは「スモッグ」という表現の使用を避け、あくまで「大気汚染」とのみ報じています。北京市民の一人はSNS上で「空気が本当に悪くて、目で見ても土ぼこりが漂っているのが分かる」と訴えました。

 『新京報』の報道によりますと、ここ数日、京津冀およびその周辺地域ではPM2.5濃度が急上昇しました。一部地域では中度から重度の汚染レベルに達しました。清華大学の専門家は、気象条件の不利さに加え、地域の汚染物質排出量が依然として高いこと、さらに安徽北部からの汚染物質が空気の流れに乗ってが北上し、京津冀地域のPM2.5濃度上昇に拍車をかけたと分析しています。11月4日午後以降、汚染は次第に蓄積し、5日夜には北京のPM2.5濃度が1立方メートルあたり163マイクログラムに達し、短時間で「重度汚染」レベルに達しました。

 11月5日時点で、京津冀およびその周辺の24都市が深刻な大気汚染に関する警報を発令し、地域の状況に応じて、対策措置が講じられています。天津市や河北省の石家荘、唐山などの9都市、河南省の鄭州や開封など13都市が、中国で2番目に高い警戒レベルとされる「オレンジ警報」を発令しました。それにもかかわらず、北京の空は依然として灰色の空気に覆われ、市街地はかすみ、遠くの山々はほとんど見えない状況が続いています。

 SNS上には多くの市民から不満の声が投稿されています。「昌平の山も見えない。完全にスモッグだ」「空気が悪すぎて目が痛い」「北京では大きな化学工場もないのに、これって山東から流れてきたのでは?」といった声が上がり、河北省のネットユーザーも「張家口まで霞んでいる。毎年冬になるとこうだ」と書き込みました。一方で、専門家が「大気汚染防止のために農民によるわら焼きを禁止すべき」と主張したことに対しては、「北京の住民がわらを焼いているのか?それでもこんなにひどいスモッグになるわけがない」「もう誰も焼いていないのに、次はどこを悪者にするつもりだ」と皮肉る投稿も見られました。

 その一方で、中国西北部の新疆では、一転した極端な天候が発生しています。中国天気網の報道によりますと、11月5日から6日朝にかけて新疆各地で強い降雪が続きました。ウルムチでは特大の暴風雪となり、11月としては観測史上最大の降雪量を記録しました。気象当局によれば、6日も新疆の雨や雪は続き、強風と厳しい寒さに見舞われ、ウルムチなどの気温は終日氷点下になる見通しです。

 報道によると、ウルムチでは5日未明から約30時間にわたって雪が降り続き、6日午前9時時点での降雪量は31ミリ、積雪は21センチに達しました。この影響で、市内の一部小中学校は5日午後に授業を繰り上げて終了し、6日は臨時休校となりました。大雪により道路は雪に覆われ、航空便の遅延も相次ぎ、交通は大きく混乱しています。

 気象当局は、今回の寒波が今後さらに東へ拡大し、中国全土に広がるおそれがあると警告しています。今後3日間で20を超える省・自治区・直轄市に雨や雪が及ぶとみられ、西北地方、内モンゴル、東北地方が主な降雪地域となる見通しです。青海省、甘粛省、内モンゴル自治区、黒竜江省の一部では、うっすらとした積雪〜大雪、場所によっては暴風雪となる可能性もあるとのことです。深刻な大気汚染と極端な気象が重なり、中国北部はまさに二重の試練に直面しています。

(翻訳・吉原木子)