中国の新疆ウイグル自治区に旅行し、現地の様子を発信した人気YouTuberのBappa Shota(バッパーショウタ)氏の安否を心配する声が上がっている。9月20日に公開された動画については不自然な点があると指摘されており、看中国の取材に応じた元中共幹部は「何かしらの圧力を受けて言わされているかのではないか」と懸念を述べた。

動画が「分断を生む」?

 約2カ月ぶりの投稿で、Bappa Shota氏は「僕の動画が人々を分断し、憎しみや対立を生んでしまった」「僕は恐ろしい兵器になってしまったのではないか」と述べた。そして、「自分は一体何がしたいのか、自分は何者なのかを見失ってしまった」と語った。

 これに対し視聴者らは「何かに怯えているのだろうか」「撮影場所は本当に日本なのか」と心配するコメントを書き込んだ。中にはBappa Shota氏が中国共産党に拘束されたのではないかと懸念する書き込みも見られた。

中国語コメント「多すぎて怖い」

 新疆ウイグル自治区での旅行を記録した動画が公開されると、中国語でのコメント書き込みが殺到した。看中国記者が中国語コメントを確認したところ、多くには慢罵や侮辱的な表現が含まれており、中国共産党の宣伝文句を引用するものや、明らかに中国共産党の立場を擁護するものが複数確認された。

 「中国語コメントを多すぎ」
 「中国語の返信が多くて怖い」

 普段とは違うコメント欄の様子に、日本人視聴者は驚き、困惑した。中には、「工作員が大量に出現していることで色々と察する。逆効果だ」と中共の組織的な介入を仄めかすコメントや、「中国人はYouTubeにアクセスするのにVPNを使わなければならない。どうやって動画に辿り着いたのだろうか」と素朴な疑問を呈するコメントもあった。

 また、Bappa Shota氏が最新動画で言及していた「分断」に関しても、「分断するような話はこれまでなかったように感じましたが、何の話だろうか」と疑問を呈するコメントがあった。

元中共幹部「圧力受けたか」

 中国共産党の人権侵害を暴露し、国内の情勢を発信する元中共幹部の李真実氏はこのほど、看中国の取材に応じた。Bappa Shota氏の発信について、気になるポイントを挙げた。

 「まず、外国の報道に対して『分裂』『嘘つき』というレッテルを貼るのは中共の常套手段だ。中国共産党は日頃から、欧米諸国や日本について歪曲した報道を行なっている。そのため、中共官僚は、外国メディアの中国に対する報道もねじ曲げられていると自然に考えるようになっている」

 その上で、Bappa Shota氏の旅行と動画配信は「一般人から見れば、分裂を目的としたものではなく、分断を生む作用はないと考えるのが妥当だ」と述べた。最新動画の内容については、「中分断を生むというのは中国共産党の典型的なナラティブだ。通常の日本人の思考回路とは異なる。中国共産党に言わされているか、はたまた中国共産党から圧力を受けている可能性も否定できない」と分析した。

 李真実氏はさらに、中国共産党が外国人に自国内のありのままの姿を知られたくない思惑について語った。

 「中国では改革開放以降、外国に対して門戸を開放した。しかし、外国人はどこにでも行けるわけではない。北京や上海といった大都市や、ラサ、ウルムチのような管理下に置かれている都市は問題ないが、都市の近郊には行けない。郊外に行けばすぐそこに貧しい農村部が広がっている。村落にも保安隊や共産党の末端組織があり、外国人が立ち寄るとすぐ通報され、追い出される」

 しかし、警告だけでは終わらないのが中国共産党の恐ろしさだと李真実氏は語る。

 「中共は外国人にも容赦しない。もし捕まったら2、3カ月かけて洗脳される。プロパガンダビデオ見せられ、時には拷問も受ける。身体と精神が追い込まれ、中国共産党の考え方を刷り込まれる。」

 「洗脳が終わっても、タダで釈放してくれない。中共のためにスパイ活動をすると約束しない限り、釈放されない。これが共産党のやり方だ」

 なお、Bappa Shota氏は動画のなかで、すでに日本に戻り旅を続けていると説明している。

(看中国取材班)