北京在住のこの女性の住宅価格は、約6000万円(300万元)以上から約2000万円(100万元)台まで値下がりしました。住宅ローンの負担を軽減するため、夫は家を売却する決断をしました。彼女は苦しげにこう語りました。「10年も住んで、まるで子どもを育てるようなものだったから、当然愛着がある。売るとなると、どうしても惜しい気持ちになる」
このブロガーは、住宅ローンの返済を止めた結果、逆に銀行に約2000万円の借金を負うことになったと語りました。彼女は「私の家は約6900万円(348万元)から約2400万円(121万元)にまで下落した。もう返済をやめて、銀行に家を引き取ってもらうことにした。すると銀行から弁護士の通知が届き、未返済分に利息や諸費用が加算され、結果として私は銀行に約2000万円の借金を負うことになった」と述べました。
先日、中国国家統計局が発表した8月の全国70の大中都市における最新の住宅価格データによると、北京、上海、広州、深センを含む一線都市で商品住宅の販売価格が引き続き下落し、その中で北京の下落率が全国首位となりました。
分析によれば、これらのデータは中国当局の不動産市場救済策が完全に失敗したことを示しており、市場で大きな注目と議論を呼んでいます。
北京の住宅価格下落率が全国一位に
財経ブロガー「Tom財経視角」は、公式データによれば8月の中国四大一線都市の住宅価格がさらに加速して下落しており、その速度は二線・三線都市を明らかに上回っていると指摘しました。その中でも北京の下落幅が最も大きく、主要都市の中で北京の住宅価格が全国をリードして下落するのは史上初めての可能性があると述べました。
いくつかの具体的な事例は、下落幅をより直感的に示しています。中国の不動産取引プラットフォーム「貝殻找房(ベイカー・ジャオファン)」の公開情報によると、北京市朝陽区安貞里(あんていり)団地の現在の掲示平均価格は1坪あたり約450万円(22.5万元)です。しかし、ある売り主の情報によれば、約22.7坪(75平方メートル)の3LDK相当の住宅がわずか約5600万円(281万元)で売り出されており、坪単価にすると約250万円(12.3万元)にとどまっています。
北京市昌平区にある約31.5坪(104平方メートル)の3LDK相当の住宅は、6月には約9600万円(480万元)から約9800万円(490万元)で売れていたのが、8月にはわずか約7700万円(385万元)で取引され、わずか2か月間で約2000万円(100万元)以上も暴落し、下落率は実に21%に達しました。
一般住宅価格が急落する中で、高級住宅ならば価値を維持しているのではないかーーそう思う人もいるかもしれません。しかし、次の映像は驚くべき答えを示しています。
ある大学教授が北京の地下鉄沿線にある別荘を約8900万円(446万元)で購入しましたが、現在はわずか約1600万円(83万元)で売りに出されています。別荘周辺の生活環境は便利で、最寄りの大型商業施設まで500メートル足らず、200メートル先には広大な公園があり、ケンタッキー、マクドナルド、映画館もそろっています。別荘自体は3階建てで、大きな庭も付いています。
北京の救済策が効果なし
「Tom財経視角」の分析によると、北京の中古住宅価格は2023年3月から19か月連続で下落し、昨年9月30日に政府が新政策を打ち出した後にわずかに回復しました。しかし、今年4月には再び下落に転じました。中国当局は最先端のデータを把握していたことから、住宅価格の安定を図るため、8月5日に北京が率先して五環路の外側における購入制限を撤廃しました。
複数の権威あるメディアや機関のデータによれば、8月の北京の中古住宅ネット契約件数は約1万3000戸で、7月に比べて約7.8%減少しました。ブロガーは、これらの数字は8月5日に打ち出された救済策がすでに完全に無効化したことを示していると指摘しました。
ブロガーはまた、融資データからも現在の中国国民全体が不動産市場に悲観的な見方をしていることが読み取れると述べました。データによると、8月の新規住宅ローンは過去10年間で最低水準を記録しました。昨年8月の新規住宅ローンがすでに前年比で50%減少していたにもかかわらず、今年はさらにその基準から80%以上減少し、過去10年間で最低の水準に落ち込んだのです。
同ブロガーは次のように語りました。「この現象は理解にくくないだろう。人々が不動産市場に楽観的であれば、レバレッジや債務を使って住宅を保有し、価格上昇による利益を期待する。その場合、データ上では住民の新規ローンが大幅に増える。逆に市場を悲観すると、人々は余分な不動産を売却して債務を減らすか、負担を軽減するためにダウンサイジングを行う。マクロデータに反映されるのは、新規ローンが絶えず過去最低を更新している」
中国の不動産バブルは膨らみすぎた
上海交通大学の金融学教授・朱寧(しゅ・ねい)は8月に、「2020年から2021年にかけての中国全体の住宅価格水準の高さは、過去50年間の主要経済体の中でも前例がない」と発言しました。
朱寧は2016年からすでに、中国で深刻な不動産バブルが起こり得ると警告していました。彼は「2017年から2019年には多くの地方都市で住宅価格がすでにピークに達していた。バブルは本当に膨らみすぎたのだ。誰もが崩壊を恐れていたが、崩壊前にバブルそのものを心配する人はいなかった。バブルが大きくなれば必ず崩壊する。そしてバブルが大きければ大きいほど、崩壊時の下落も惨烈になる。私たちはまさにその過程を経験している」と述べました。
彼はかつて、中国の一線都市では住宅価格が平均収入の40倍から50倍に達し、国際的な平均値である10倍から20倍をはるかに超えていると指摘しました。また、住宅価格と年間家賃の比率は、バブルがピークに達した時には70倍から80倍にまで達していました。これら二つの指標から見て、2021年当時の北京、上海、深セン、香港などの都市における不動産バブルは、かつての東京や大阪のバブルをはるかに上回っていたと強調しました。
モルガン・スタンレーの予測が現実に
中国の不動産市場の低迷は全国規模で続いています。
8月の中国全国における新築住宅価格の下落幅は7月と同じで、2023年5月以来続く低迷傾向が継続しました。中古住宅市場も同様に圧力を受け、70の大中都市のうち、57都市で住宅価格が前月比で下落し、65都市で前年比下落となりました。
財経ブロガー「蛋小黄(たん・しょうこう)」は「全国70都市の中で中古住宅価格の下落が最も激しいのは北京だ。一線都市の住宅価格はもともと総額が高く、下落余地も大きい。そのため、これらの都市は今や遅れて下落する局面に入っている」と分析しました。
彼はまとめとして、公式データもモルガン・スタンレーの以前の予測を裏付けていると指摘しました。モルガン・スタンレーは以前、より強力な救済策が打ち出されない限り、中国の中古住宅価格は加速的に下落を続けると予測していました。
ブルームバーグの報道によれば、中国の不動産市場の低迷はすでに4年以上続いており、今年第2四半期以降は住宅販売がさらに減少しました。住宅価格の下落加速は、中国当局が1年前に導入した刺激策の効果が薄れていることを示しており、デフレへの懸念を一層強めています。
(翻訳・藍彧)
