アップル社はこのほど新型「iPhone 17」を発表し、世界的に注目を集めました。驚くべきことに、その直後に中国メーカーの小米(シャオミ)が、名称も外観もほとんど同じ「小米17」シリーズを投入しました。ラインナップは「小米17」「17 Pro」「17 Pro Max」の3モデル。本来であれば「小米16」を出すはずのタイミングでしたが、今回はあえて数字を飛ばして「17」とし、露骨にiPhone 17シリーズに対抗する姿勢を見せました。シャオミの雷軍(レイ・ジュン)董事長は発表会で繰り返し「小米のスマホを改めて認識してほしい」と強調し、新製品は「多くの面でアップルを超えた」と公言、さらには「世界一に挑戦する」とまで言い放ちました。しかし、この大胆な挑発的戦略は称賛を得るどころか、物議を醸す結果となりました。
小米17シリーズのデザインについても、アップルの模倣が色濃いと指摘されています。報道によれば、「小米17 Pro」シリーズは従来機種で採用していた右上のマトリクス型カメラモジュールを廃止し、「iPhone 17 Pro」に似た横並びの大型デュアルカメラ+サブディスプレイ方式を採用しました(小米17 Proは背面に小型のディスプレイを搭載し、自撮りプレビューなどに使えます)。さらに「Pro Max」という名称までiPhoneと同一で、両者の関係を連想せずにはいられません。海外のテックメディアも「小米17シリーズはハードウェアとしては優秀だが、アップルのデザインをあまりに露骨に真似たのは残念」と評しています。SNSでは「もし誰かに『何の機種を使っているの?』と聞かれて『17 Pro Max』と答えたら、『偶然だね、自分もだ』と返されそうだ」といった冗談も飛び交いました。注目を集めることには成功したものの、シャオミの“アップル直撃”戦略は「模倣」のイメージを強める結果となりました。
9月25日夜に開かれた小米17シリーズの発表会(雷軍の年次講演)は、本来であれば同社の革新性を示す場になるはずでした。ところが、終了後に注目されたのは端末そのものではなく、宣伝ポスターの「小さな注釈」でした。例えばカメラ性能を強調するポスターには「逆光の王」と大きく書かれていましたが、右下の小さな文字には「逆光の王は製品設計上の目標」と記されていました。同様に「小型端末で最強のバッテリー」と打ち出した別のポスターも、隅に「目標」と小さく補足されていました。多くの消費者は直感的に「実際に業界トップレベルの性能がある」と受け取りますが、実際にはメーカーが掲げる“理想”にとどまっていたのです。この“注釈商法”にSNSでは批判が殺到し、「広告を見るときに注意書きまで拡大して確認しなければならないなんて、油断すると誤解させられる」との不満が噴出しました。
この手法は瞬く間に炎上し、法律家からも問題視されました。重要な制限事項を極小の文字で隅に記載するやり方は、消費者が気づかず誤解する恐れがあります。中国の広告法では、広告は事実に基づき明確であることが求められ、誤解を招く表現は禁止されています。目立つ部分で大げさな言葉を掲げ、隅に小さく「目標」と書くだけでは虚偽宣伝とみなされる可能性があり、不正競争防止法にも抵触しかねません。ある評論家は「事実ではなく“目標”で消費者を釣った」と皮肉り、ブランドの信用を損なうだけでなく法的リスクを冒す危うさを指摘しました。
実は、こうした「言葉遊び」による誤解は今回が初めてではありません。よく知られているのが2016年の「硬貨より薄い」事件です。当時、雷軍氏は小米初のノートPCを「1フェン硬貨より薄い」と誇らしげに発表しました。ところが会場の比較画像を見ると、その硬貨は縦に立てられていたのです。つまり「硬貨の直径よりも薄い」というだけで、実際に厚みで勝っていたわけではありません。このこじつけは瞬く間にネットの笑いものとなり、「その理屈なら小米ノートPCは待ち針よりも薄いし、雷軍は寝ている姚明より背が高い」といった皮肉が飛び交いました。結果的に「厚さの再定義」と揶揄され、ブランドイメージに傷がつきました。今回の“小字広告”を見たユーザーからも「小米の昔の悪癖がまた出た」との声が上がり、結局は「言葉のすり替え」ばかりだと呆れられています。
こうした批判はすぐに市場にも影響を与えました。新製品発表の翌日、小米の株価は香港市場で急落し、一時は8%超の下落、時価総額は1200億香港ドル以上も吹き飛びました。発表会前日には期待感から株価が5%以上上昇していたものの、イベント直後に投資家心理は一気に冷え込み、市場は新製品に失望したことを如実に示しました。SNS上の意見をまとめると、一部では「標準版は7000mAhの大容量バッテリー搭載で4499元ならお得」という評価もあった一方、「Proモデルは500元高いだけで実質的な差はない」「iPhoneに挑む割には革新的要素がない」といった厳しい批判が圧倒的多数を占めました。特に外観が「iPhoneそっくり」と揶揄され、ナンバリングを「16」から飛ばして「17」にしたのも話題づくり以上の意味はないと受け止められています。こうした不信感が、投資家の失望売りにつながったのは明らかです。
業界関係者は、小米17シリーズは同社が本格的に高級路線を狙う野心作だとしながらも、「アップル人気に便乗するだけでは限界がある」と口を揃えます。模倣と誇張だけでは一時的な話題作りにはなっても、長期的にはブランド価値を傷つけ、コアなファン層の離反を招くと懸念されています。小米はこれまでも「世界トップに学ぶ」と強調してきましたが、学ぶことと真似ることは違います。本当に消費者を惹きつけるのは、圧倒的な製品体験と誠実な姿勢です。SNS上では「世界を変えると言いながら、人を驚かせるような中身はない」との声も目立ちました。高みに立とうと急ぐあまり、消費者の目が肥えていることを忘れたのではないか、という批判です。
今回の小米17シリーズをめぐる“炎上”は、中国メーカーにとっての教訓を改めて浮き彫りにしました。消費者を見くびるのではなく、地道に良い製品を作ることこそが、長期的な信頼とブランド価値を築く唯一の道です。一時的な“話題づくり”はやがて消え去りますが、本当の革新と確かな品質だけが、中国製品の国際的な評価を支えるのです。
(翻訳・吉原木子)
