最近、中国共産党の「防火長城(グレート・ファイアウォール)」の核心的技術に関する機密文書が大規模に流出しました。内部文書によれば、この技術は国内の国民を監視するためだけではなく、海外の複数の国にも輸出され、世界的な監視網の拡大に利用されていました。
カナダ紙グローブ・アンド・メールが9月9日に報じたところによると、流出した文書は「積至(せきち)信息技術有限公司」からのものでした。資料は同社の内部ファイル10万件以上、約600GBに及び、そのうちソースコード部分だけで500GBに達していました。
流出した機密文書によれば、「積至公司」は少なくとも5か国にサービスを提供しており、その中にはミャンマー、パキスタン、エチオピア、カザフスタン、および「A24」というコード名で記された未公開の国が含まれていました。これらの国々はすべてコードで示されており、多くの場合、国名の頭文字と2桁の年番号を組み合わせて構成されています。
積至公司は2018年、中国科学院の院士で「中国ネット・ファイアウォールの父」と呼ばれる方濱興(ほう・ひんこう)らによって設立されました。流出文書は、この会社がインターネット封鎖に関わる複数の技術を提供し、ネット上の痕跡を通じて匿名ユーザーを特定したり、仮想プライベートネットワーク(VPN)などの回避サービスを遮断したりできる能力を持っていたことを示しています。
積至公司はまた、新疆ウイグル自治区、江蘇省、福建省などの地方政府とも連携し、地域版のファイアウォールを構築していたことも明らかになりました。
アメリカ在住の政治評論家・陳破空(ちん・はくう)氏は「A24というコード名が表す国はアフガニスタンである可能性が高い。Aはアフガニスタン(Afghanistan)の頭文字、24は2024年を指しており、タリバンが再台頭したのは2年前の出来事だからだ」と推測しました。
タリバンが再台頭した後、アフガニスタンでは最も暗黒な政教一致体制が敷かれました。女性への迫害、女性の就学や就労禁止、女性の顔出し禁止などが強制的に行われ、20年以上にわたり繁栄と自由を享受してきたアフガニスタンを再び中世の闇に引き戻しました。一方、中国共産党は、そうしたアフガニスタンにグレート・ファイアウォールを輸出したのです。
陳破空氏は、中国共産党がアフガニスタンをA24と表記したのは、国名を正面から言えないからだと分析します。タリバンは悪名高く、その暗黒性はイランの強硬派勢力よりもさらに深刻であり、特に女性にとってはまさに地獄だからです。
陳破空氏は、今回の流出事件がいくつかの重要な事実を明らかにしたと指摘します。
第一に、中国共産党は「他国の内政に干渉しない」と主張してきましたが、実際には常に他国の内政に干渉してきたという事実です。
第二に、民主国家が民主主義と人権という普遍的価値観を輸出してきた一方で、中国共産党は独裁と腐敗を輸出してきたという事実です。腐敗は「一帯一路」を通じて現地の官僚に賄賂を贈り、債務の罠を仕掛けて他国を支配することで進められました。独裁はインターネットを通じて、また指導者への賄賂を通じて輸出されたのです。
第三に、中国共産党が新疆モデルを全国、さらには香港にまで拡大しようとしていることが裏付けられました。
陳破空氏によれば、新疆モデルとはウイグル人やカザフ人を強制収容所に入れ、強制労働を課し、文化や宗教、言語を奪い、強制的な改造を施すものです。アメリカのポンペオ前国務長官は「これは21世紀人類最大の汚点であり、ヒトラーの強制収容所の再現である」と述べたことがあります。新疆モデルの特徴の一つは全面的なネット監視です。今回の文書からは、中国共産党が江蘇省や福建省を試験地域として新疆モデルを導入し、その後に香港へ広げようとしていることが確認できます。
彼はまた次のように述べました。「多くの『老粉紅(親中派ネットユーザー)』は私の見解に同意しないかもしれない。新疆の収容所モデルはまだ全国に広まっていないからだ」としつつも、「だが習近平の3年間に及ぶゼロコロナ政策を思い出してほしい。他国はそんなことをしていなかった。ウイルスは空気のようなもので、封じ込めることは不可能だ。だから失敗した。結果として大量の死者を出し、最後にようやく封鎖解除した国となった。この迫害は文化大革命に劣らない。中国共産党は白衛兵を紅衛兵に代えて使い、防疫という名目を新疆の反テロの理由に置き換え、中国全土の人々を振り回したのだ」
陳破空氏は、中国共産党がネット監視を全世界に売り込もうとしていることを重大な陰謀であると指摘しました。
彼は「もし我々が中国共産党の政権や価値観を変えようと試みない一方で、中国共産党は世界の価値観を変えようとしている。民主主義や自由を輸出しない代わりに、彼らは専制と独裁、そして腐敗を輸出している。この文書はその氷山の一角に過ぎない」と述べました。
陳破空氏はまた、今回の流出は間違いなく内部からのリークであり、偶然漏れたものではないと強調しました。「これは中国共産党内の分裂、軍内部の分裂を示している。体制内部が意図的に情報を流し、習近平政権を内部から崩壊させようとしているのだ」と語りました。
注目すべきは、最近北京で行われた軍事パレードに出席したネパールのオリ首相が帰国した直後、中国共産党を模倣してソーシャルメディアを封鎖しましたたことです。その結果、Z世代の若者による大規模なデモと抗議が起こり、最終的にネパール共産党政権は崩壊し、オリ首相も辞任に追い込まれ行方をくらましました。現在、ネパールは元最高裁長官のスシラ・カルキが臨時首相を務め、2026年3月の議会選挙に向けて準備を進めています。
2024年の段階で、アメリカの学者や専門家はすでに議会両党議員に対し、中国共産党が情報統制のグレート・ファイアウォール技術を輸出し、「デジタル権威主義国家の青写真」を作り上げようとしていると警告していました。
ボイス・オブ・アメリカの報道によれば、2024年7月23日、米下院の中国問題特別委員会が「中国共産党のファイアウォールと監視技術の輸出」をテーマに公聴会を開催しました。
同委員会の委員長でミシガン州選出の共和党下院議員ジョン・ムレナール氏は、中国のグレート・ファイアウォールが中国国民と外部世界とのすべての接触を遮断していると指摘しました。「中国には、人工知能やその他の先端技術で武装した検閲員の大軍が存在し、国内のあらゆる情報や言論を監視し、党の路線から外れる内容を即座に削除している」と述べました。
ジョン・ムレナール氏はまた「中国共産党はインターネットを自由のための道具から究極の支配ツールへと変えてしまった。中国共産党が独裁を一段と強めるなか、その野心もますます膨張し、物質・経済・政治・文化・思想のあらゆる分野を全面的に支配しようとしている」と警告しました。
(翻訳・藍彧)
