9月27日午前5時49分ごろ、甘粛省定西市隴西県でマグニチュード5.6の地震が発生しました。震源の深さは約10キロメートルで、震央は文峰鎮仙人文村付近とされています。揺れは定西市や天水市で特に強く感じられ、また寧夏や西安、咸陽などの地域でもはっきりと体感されました。監視カメラの映像には、建物が20秒以上激しく揺れ、吊るされた照明が大きく揺れ動き、土や石が落下して地面に瓦礫が散乱する様子が記録されています。
中国地震台網によると、27日午前7時49分までに42回の余震が観測され、そのうちマグニチュード4.0~4.9が2回、3.0~3.9が1回確認されました。午後2時時点では余震は67回に増え、そのうち4回がマグニチュード3以上でした。さらに翌28日午前4時25分には再び隴西県でマグニチュード3.6の地震が発生し、震源の深さは9キロメートルとされました。専門家は今回の地震を「本震—余震型」と分析しており、震源は西秦嶺北縁断層帯漳県区間付近に位置していると説明しました。2023年12月に臨夏州積石山で発生したマグニチュード6.2の地震とは直接の関連はないとしています。
被害の報告は時間とともに更新されました。27日午前11時30分の時点で、隴西県内17郷鎮で3505棟の住宅が被害を受け、そのうち17棟が倒壊、3488棟が損壊しました。7812人が緊急避難を強いられ、道路や交通施設27カ所も損傷しました。午後4時には、定西市全体で11人が負傷(隴西県10人、漳県1人)していることが確認され、このうち5人は退院、残る負傷者も命に別状はないと発表されました。鉄道も一時的に運行を停止し、徐蘭高速鉄道、蘭渝線、隴海線で3本の列車が停車しましたが、その後速度を制限しつつ徐々に運行を再開しました。
震央に近い桦林村では被害が特に深刻でした。村民の多くは土壁の家に住んでおり、多数が倒壊したり、壁に深い亀裂が入ったりしました。住民の多くは仮設テントでの避難生活を余儀なくされています。あるスーパー経営者は「人は無事だが、屋根瓦が落ち、壁に大きな亀裂が入り、ひどいところは壁ごと崩れてしまった。もう住めない」と語りました。別の村民は「今は料理をするのも怖く、饅頭をかじるしかない」と苦しい現状を明かしました。
高層住宅に住む董さんは「ベッドで寝ていたら突然激しく揺れて、まるで誰かが力いっぱいベッドを揺さぶっているようだった」と語りました。最初の揺れでは避難しませんでしたが、その後マグニチュード3.8の余震が起きた際には慌てて外に出たといいます。「下に降りると、すでに多くの住民が外に出ていました」と振り返りました。また、蘭州在住の段さんは、震中付近の棉柳灘村に住む家族とビデオ通話をしました。「村の土壁の家の多くが倒壊し、壁も裂けていた。余震も頻繁で、多くの住民は空き地に避難していたが、水や電気、ネットはまだ使えていた」と話しています。
一方、SNS上では多くのネットユーザーが率直な声を寄せています。
「全て黄土の家だ!」
「農村の貧しい家庭はほとんど家財道具もなく、まるで百年前の祖先と同じ暮らしぶりだ」
「2025年にもなって、国民がまだこんな土の家に住んでいるとは。これが全面的小康社会なのか?」
「繁栄の時代にあっても、庶民は生きるすべを失っている!」
当時の恐怖を語る声もありました。
「午前5時50分に地震警報が鳴り、慌てて逃げようとしたが、どこに逃げればいいか分からず、床にしゃがんでスマホを見ていた。その後また揺れを感じて、やっぱり地震だった」
「午前5時36分、ベッドが揺れ、ベランダのガラスが鳴った。スマホを確認すると、確かにその時間に地震が起きていた」
「私たちは震中から5キロの村に住んでいる。土の家はすべて倒れてしまった。支援を求む!」
総合的に見ると、今回のマグニチュード5.6の地震は規模としては大きなものではありませんでしたが、農村に今も数多く残る土壁の家屋は耐震性が極めて低いため、被害は想像以上に深刻となりました。幸い死者は確認されていませんが、家を失った住民は頻発する余震に怯え、夜は仮設テントや屋外で過ごすしかありません。政府は被害状況の確認と住民の移転安置を急いでいますが、住民の生活の困窮とSNS上の声は、脆弱な農村基盤と現実との大きなギャップを浮き彫りにしています。
(翻訳・吉原木子)
