近年、中国経済の低迷が続くなか、上海の繁栄の輝きは徐々に失われつつあつつあります。街の活気の喪失から企業のリストラ拡大に至るまで、かつて中国の活力を象徴したこの都市は今、かつてない試練に直面しています。
上海の街並みは荒涼とした様子を見せ、多くの市民が経済的な重圧を感じています。街角には閉店した店舗が立ち並び、中心部の繁華街ですら、かつての賑わいは影を潜めています。ブロガーの「老王」が9月23日に公開した動画では複数の市民が、それぞれの見解を語りました。
空っぽの商業施設では、複数の人が、床に横たわって休む様子が撮影されました。南京西路の映像には路上で寝泊まりする人々の姿も映し出されました。上海を代表する観光地である豫園と隣接する城隍廟でさえ人影はまばらです。現地を訪れた宋さんは「人出は2019年同期と比べて3分の2ほど減少した。かつては人であふれていたが、今は、昼食時のピークでも通りに客はほとんどいない」と述べ、さらに「訪れる人の多くは記念撮影が目的で、実際に消費する人はほとんどいない」と付け加えました。
別の市民は「賑わいは9割以上減った。」と指摘しました。「2年前には長楽路の街角で多くの人が飲食しながら賑わっていた。しかし、今ではすべてなくなった。」との声もあります。また「多くの業種が苦境にある。皆が稼げなくなれば消費も落ち込む。経営者が利益を上げられず、店が次々と閉店に追い込まれる。中心部の繁華街ですら消費の崩壊が目に見える」との証言もありました。さらに「普段なら人であふれる大通りが無人状態だ。人通りがあっても8~9割はただ歩いているだけで買い物はしない。鉄道駅の混雑時間帯ですら空いている」との声も聞かれました。
飲食業の冷え込みも深刻です。5年間営業を続けた老舗の上海料理店が閉店に追い込まれ、かつて長蛇の列ができた人気店のガラス窓には「店舗譲渡」と書かれた紙が貼られています。アパレル店を営む女性店主は「昨日も今日も売上はゼロ。来年の家賃を前払いしたのを後悔している。周りの店も『来年は続けるべきか』と悩んでいる」と語り、「今年の9月にここまで悪化するとは思わなかった」と嘆きました。
生活苦を訴える声も広がっています。ある市民は「毎晩眠れず、昼間も魂が抜けたように歩いている。月給は数千元しかないのに住宅ローンは天文学的な金額だ。このままでは人生は終わったように感じる」と語りました。別の市民も「必死に働いてもほとんど稼げず、住宅ローンや自動車ローンに悩まされ、リストラの恐怖に直面している。給料が支払われず、食事すらままならない現実を味わっている」と話しました。
経済学者の王德培氏の発言も注目を集めました。王氏は「中国の“街中の商店街の時代”は終わった」と指摘し、上海の南京路を例に挙げました。「個性的でブランド力のある多くの店舗が閉店している。これは経済低迷を示すだけでなく、消費行動の変化やビジネスモデル移行の結果、必然的に起きることでもある。消費はオフラインからオンラインに移り、大型ショッピングモールが乱立するなかでの、伝統的な中心市街地経営の衰退は避けられない。南京路が衰えない方が不自然だ」と述べました。
小売や飲食業にとどまらず、国有企業からも圧力の兆しが伝わっています。複数のメディアやネット掲示板では「上海申通地鉄集団が構造計画の一環として、初回で約2000人を人員削減しました。対象は主に50歳以上の従業員」との情報が拡散しました。古株の社員の月給は、約17万円〜約31万円(8000〜15000元)とされ、新卒の初任給は約8万円(4000元)前後とされています。「2000人リストラ」の真偽は公式発表がない為、不明ですが、議論を呼びました。
公開された2024年の各地の地下鉄年報によれば、多くの都市の地下鉄は政府補助金に依存しており、人件費が最大の負担となっています。同時に上海建工についても「持ちこたえられない」との声が広がっています。解雇通知を受け取った社員の投稿も確認されており、2024年第1四半期の上海建工の売上高は前年同期比で、46.06%減、株主帰属の純利益も減少し 約36億円(1.79億元)に転落しました。会社側は「建設工事の入札減少や受注の遅れ、不動産や投資事業の不振が収益に影響した」と説明しています。一部のブロガーは「年末までに従業員を現在の1万4000人から8000人以下に削減する計画がある」と伝え、現場終了後に即解雇される社員や、自宅待機で最低賃金 約56000円(2690元)のみ支給される事例も報告されています。
さらに浦東空港の状況も深刻です。新型コロナ禍以降、旅客数は激減し、閑散とした様子が度々報じられてきました。最近では「巨額赤字のため浦東空港が8000人規模のリストラを計画」との噂がSNSで広がっています。正式な発表はないものの注目は高く、「空港ですら大規模リストラを実施するのであれば、他業種はもっと厳しい」との声も出ています。多くの市民は「これからはこうした状況が常態化するのではないか」と不安を募らせています。
(翻訳・吉原木子)
