台風18号は9月25日の日中に中国本土を抜け、ベトナム方向へ移動しながら勢力を弱めました。風雨は遠ざかりましたが、広東省や広西チワン族自治区、マカオなど南部各地には深刻な被害が残っています。一方で、24日朝には新たに台風20号がフィリピン東方の海上で発生し、今後数日のうちに南シナ海に進む見通しで、華南沿岸への影響が懸念されています。
台風18号は24日午後に広東省陽江市で上陸し、極めて強い風と雨をもたらしました。江門市台山市では17級を超える突風が観測され、深圳市や江門市では24時間降水量が250ミリを超えました。街頭では樹木が次々と倒れて道路を塞ぎ、鉄製の屋根が吹き飛ばされて住宅地に落下しました。沿岸の養殖区では20本以上の電柱が倒壊し、電線が地面に散乱しました。24日夜の時点で広東省では約5万6千戸が停電し、3,900基以上の通信基地局が未復旧のまま、500か所を超える水利施設も被害を受けました。
広東省では事前に延べ222万人以上が避難しました。学校や体育館、政府庁舎が臨時の避難所となり、多くの住民が風雨の中で子どもを抱えて移動しました。避難所内は人で溢れ、屋根を叩く風雨の音が鳴り響く中で不安が続きました。25日18時、防汛防旱防風総指揮部は緊急対応レベルをⅣ級に引き下げ、電力や通信、道路の復旧作業が本格的に始まりました。
マカオでも高潮による被害が深刻化しました。24日朝に10号シグナルが発令され、同時に赤色の高潮警告も出されました。内港や沙梨頭などの低地では水位が急激に上昇し、実測で1.3メートルを超えました。街区の一部では腰の高さまで浸水し、商店の棚が水に浸かり、住民は荷物を持って水の中を避難しました。救援車両も浸水した道路を苦労して走行しました。
25日未明には台風18号が広西チワン族自治区北海市沿岸に再上陸しました。暴風雨の中、広告看板が大きく揺れ、樹木が道路を塞ぎました。鉄道当局は午前0時から沿海の複数路線で列車を運休とし、駅の電光掲示板には運休の表示が並びました。北海市や防城港市、欽州市では休校や休業を含む「五停」が実施され、都市機能はほぼ停止しました。
中央財政部は直ちに15億元の救済資金を拠出し、被災者の生活支援やインフラ復旧に充てています。地方では電力会社が大規模な復旧人員を派遣し、通信会社も緊急基地局を投入しました。農業や漁業、工業にも大きな被害が出ており、一部の稲田や果樹園は収穫直前に冠水しました。沿岸の養殖施設は破壊され、工場の屋根が吹き飛ばされました。経済的損失は現在も集計中ですが、相当な規模に上るとみられます。
こうした中で、台風20号が新たに発生しました。中央気象台などによりますと、20号は9月27日前後に南シナ海南部に進む見込みで、台風へと発達する可能性があります。進路を西北西に取った場合、広東省や広西沿岸に再び影響を及ぼす恐れがあります。南シナ海の海水温は高く、発達条件が揃っているため、北東モンスーンとの相互作用によって豪雨をもたらし、山間部で土砂災害を引き起こすリスクも指摘されています。進路や勢力にはまだ不確実性があり、今後2〜3日が重要な観測期間となります。
台風18号が去った直後に20号が迫りつつあり、中国南部の沿岸地域は連続したリスクに直面しています。気象当局は住民に対して最新の予報に注意を払うよう呼びかけ、地方政府にも早めの防災準備を求めています。
(翻訳・吉原木子)
