トランプ氏「気候変動は世界最大の詐欺」 国連の非効率さも批判.
23日の国連総会で一般討論演説を行っている米国のトランプ大統領(ホワイトハウスより)

 米国のトランプ大統領は23日の国連総会で一般討論演説を行い、「グローバル組織が世界秩序を深刻に蝕んでいる」と述べ、欧州の左傾化や国連の非効率性を皮肉交じりに批判した。気候変動は「世界最大の詐欺」であるとし、無制限な移民受け入れは「地獄」への道だと指摘した。

 冒頭では、国連本部で自身が乗ったエスカレーターが停止し、演説中にプロンプターが故障したことを取り上げ、国連の非効率さを揶揄した。さらに、米国が複数の戦争を終結させてきたが、国連から実質的な支援を受けたことは一度もないと述べた。そして「国連は大きな可能性を秘めているが、空虚な言葉だけでは戦争は終わらない。行動こそが必要だ」と強調した。

 イスラエルとパレスチナの対立に関して、トランプ氏はガザ地区での停戦と人質解放が不可欠だと訴えた。パレスチナ国家の一方的承認は「テロ組織ハマスを利する行為だ」と強調した。

 ウクライナ情勢については、ロシア産の原油や天然ガスを輸入し続ける欧州諸国を厳しく批判した。「欧州は即刻ロシアからの輸入をやめるべきだ」と訴え、中国やインドが主要な買い手になっている現状を問題視した。さらに「ロシアが交渉を拒んだ場合、米国は強力な関税措置を準備している」と述べた。

 北大西洋条約機構(NATO)加盟国の安全保障についても触れ、ロシア機による領空侵犯があった場合は「撃墜すべきだ」と発言した。

 トランプ氏は、国連が米国内の不法移民を支援していることは「主権への侵害」であると批判し、国連が昨年だけで数億ドル規模の予算を移民支援に投じていると指摘した。移民が増加する欧州諸国に対し、このままだと「地獄に落ちる」と警告した。

23日の国連総会(ホワイトハウスより)

 気候変動については「世界最大の詐欺だ」と主張し、再生可能エネルギー政策は先進国を不利にすると批判した。そして、温室効果ガスの排出量を測る「カーボンフットプリント」という概念そのものを否定した。

 トランプ氏は、気候変動に関する国際的な取り組みを「誤った前提に立つもの」と批判し、経済成長を阻害していると指摘した。国連や多国間の枠組みは理念先行であり、現実的な成果を上げていないと指摘した。

 経済政策について、トランプ氏は「関税は国家の防衛手段」と述べ、公平で相互的な貿易の枠組みを維持するために不可欠だと強調した。

 トランプ氏は生物兵器の規制にも言及し、人工知能を活用した規制枠組みを提案した。

(翻訳編集・唐木 衛)