2025年最強クラスとされる台風18号は、9月22日(月)にフィリピン北部へ上陸しました。最大で時速267キロに達する猛烈な暴風と豪雨を伴い、瞬間最大風速は315キロを超える「スーパー台風」となりました。北部地域は全面的に危機的状況に陥り、すでに1万人以上が避難を余儀なくされています。停電や通信障害が各地で発生し、多くの住民が暴風雨の中で避難所に向かいました。フィリピン当局は「家や財産は再建できても、失われた命は戻らない」と繰り返し強調し、最大限の警戒を呼びかけています。
フィリピン気象庁によりますと、台風18号はカガヤン州のパヌイタン島に上陸しました。北部のバブヤン諸島では最高レベルのシグナル5が発令され、海域では3メートルを超える高潮の恐れがあると警告されています。低地ではモンスーンの雨と重なり、山崩れや深刻な洪水が起きる可能性が極めて高いとされています。アパヤオ州では全域で停電が発生し、カミギン島では住宅が高波に飲み込まれる被害が確認されました。バタアン州でも木々が暴風で大きく揺れ動き、住民が避難を急ぐ様子が伝えられています。マルコス大統領は首都圏マニラと29の州で全面的な休校・休業を命じ、全国の病院に最高レベルの警戒態勢を取るよう指示しました。
気象専門家は、この台風の急速な発達には「アイウォール置換サイクル」が関係しており、風の範囲が広がり、破壊力が一層強まったと説明しています。台風の外縁部はフィリピン全土を直撃していないものの、北ルソンではすでに400ミリを超える豪雨となり、被害が拡大しました。
一方、台風18号は中国南部や東アジア沿岸に接近しており、香港、台湾、中国本土の沿岸省は相次いで厳戒態勢に入りました。香港天文台は、台風が24日(水)の早朝に香港南方海域に最接近し、最大風速は時速200キロ以上を維持する可能性があると予測しています。香港政府は22日から23日にかけて全面休校を発表し、臨時避難所を開設しました。キャセイパシフィック航空は500便以上を欠航、香港航空も数十便を運休、港珠澳大橋は23日から閉鎖されます。台風の接近により香港のスーパーでは買い占めが起こり、牛乳や野菜などの生活必需品が売り切れ、野菜価格は平常時の3倍に急騰しました。香港天文台は「極端な豪雨は今後さらに頻発する可能性が高い」とし、今年8月には1日の降水量が観測史上最多を記録したことを警告しました。
台湾でも陸上・海上台風警報が発令され、花蓮など東部地域では数百人が避難の準備をしています。東部の山岳地帯や沿岸遊歩道は全面的に閉鎖され、一部のフェリーは運航を停止しました。
中国本土でも南部を中心に広範囲で防災体制が強化されています。広東省は深圳など沿岸地域で40万人を対象に避難計画を発表し、23日から順次列車の運行を停止するとしました。省内では「五停」(停課・停工・停産・停運・停業)が段階的に実施される予定です。
中国中央気象台は9月22日午前6時に台風黄色警報を発表しました。台風18号はバシー海峡を通過後、23日未明に南シナ海の北東部に進入し、その後広東中西部から海南島北東部の沿岸に接近すると予測されています。広東省気象局は「台風の規模は広東省全体を覆うほど巨大で、極めて強力」と述べ、前例のない大規模災害に備えるよう警告しました。
気象台によれば、強い雨域は急速に拡大し、広東東部、福建南部・浙江東部から江蘇、山東半島まで広範囲で大雨から豪雨となり、一部では非常に激しい雨が予想されています。24日以降は安徽、江蘇、広西、広東全域で大雨が広がり、特に広東沿岸では特大暴雨の恐れがあります。
珠海市は24日に全面的な「五停」措置を実施すると発表し、江門市や潮州市も同様の措置を順次導入する予定です。鉄道当局は23日正午から省内の高速鉄道と一般鉄道の運行を段階的に停止し、24日には全面運休に踏み切ると発表しました。
台風18号の影響は2018年の台風22号や2023年の台風9号に匹敵する恐れがあるとされ、特に珠江デルタ地域では「危険半円」と呼ばれる台風の右側に入る可能性が高く、最も強烈な暴風雨に直面するとみられています。専門家は「今回の台風は破壊力が極めて大きく、影響範囲も広いため、華南地域全体に甚大な被害を及ぼす恐れがある」と警告し、広東、広西、海南、福建および香港・マカオの住民に対して、早急な防災準備を進めるよう強調しました。
(翻訳・吉原木子)
