中国共産党の「9.3軍事パレード」を前に、思わぬ場面がありました。習近平とウラジーミル・プーチン、そして金正恩が並んで歩いていた際、習近平とプーチンは寿命の話題を語り合いました。通訳が伝えたプーチンの言葉は特に鮮明に聞こえました。プーチンは臓器移植について話し、「人間の臓器は次々に移植されていく。そうすればますます若返り、永遠に生きることさえできる」と述べたのです。その場には大きな笑い声が響きました。習近平はプーチンに対し「今世紀には人類の寿命は150歳に達すると予測している」と応じました。そばにいた金正恩も笑みを浮かべ、顔を横に向けて習近平に近寄り、この話題に強い関心を示しているようでした。
実は2019年9月15日、微信(ウィーチャット)上で中国人民解放軍総医院=北京301医院の広告が拡散されました。そこには「981健康プロジェクト」という中国共産党の計画があると記され、その目標は指導者の寿命を150歳まで延ばすことだと宣伝していました。
150歳という数字が注目を集めたのは、その年齢が一般的な寿命をはるかに超えているからです。臓器の衰弱は高齢者が亡くなる主な原因のひとつであり、臓器の老化や機能低下を解決することは延命の重要な手段となります。つまり、問題は臓器に行き着くのです。
百度(バイドゥ)の公開資料によれば、「981健康プロジェクト」の研究チームは2005年に設立され、同年5月に正式に始動しました。これは「重大プロジェクト」とされ、国内から最も権威ある専門家や特色ある医療技術を集め、中国共産党軍の医療機関や医学専門家も参加し、総勢200名以上の各分野の医学専門家を擁しているといいます。
しかし、この広告はあまりにも敏感な内容だったため、翌日には削除されました。人々がこの計画に生体臓器摘出といった極めてデリケートな問題が関わっているのではないかと推測していたとき、メディアが見落としていたいくつかの重要な手掛かりが、人々の推測を間接的に裏付けていました。それは「白衣の屠夫」と呼ばれる臓器移植医師の黄潔夫(ホアン・ジエフ)が、多くの役職を退いた後も唯一保持し続けた役職が「中央保健委員会副主任」であったという事実です。
黄潔夫=中国の臓器移植の首席専門家
中央保健委員会は中国共産党中央弁公庁に属し、主に共産党指導者の健康管理を担っています。通常の社会であれば、国家首脳に良質な医療サービスが提供されることは当然です。しかし共産主義国家において、党首の「保健」とは単なる健康管理にとどまらず、その背後には常人の想像を超える罪悪が隠されているのです。
黄潔夫(ホアン・ジエフ)は肝胆外科の専門家で、2001年から中国衛生部副部長を務め、中国の臓器移植に関する対外的なスポークスマンとしても活動してきました。黄潔夫は2001年から中央保健委員会副主任を務め、高官や権力者のために医療サービスを提供してきました。
実際のところ「保健」という言葉は、耳当たりをよくするための隠れ蓑にすぎません。寿命延長に関して中央保健委員会が特別な秘法を持っているわけではありません。宣伝では「981首長健康プロジェクトは現在市場で唯一無二の、極めて効果的な健康医療体系だ」と謳われていますが、その「唯一無二」とは、人類の道徳的底線を踏み越え、他国の医療体系では不可能なこと――つまり生体臓器の摘出を行えるという意味なのです。
2005年、生体臓器摘出の節目の年
2005年、黄潔夫が執刀した手術は中国全土のポータルサイトのトップ記事となりました。その見出しは「25時間で2例の肝移植手術、記録を樹立」でした。この手術には一人の高官と二人の生体供体が関わっていました。
黄潔夫が執刀したこの手術は2005年9月23日に新疆ウイグル自治区で行われました。匿名とされた高官が肝がんを患っていたとされます。報道によれば、黄潔夫が新疆に滞在中に直接執刀したこの肝移植手術では、ドナー肝臓の探索開始から手術室に届くまでにわずか一日ほどしかかからなかったといいます。二つの「肝臓提供者」はそれぞれ広州市と重慶市から運ばれてきたものでした。
「法輪功迫害を追及する国際組織(WOIPFG)」の調査報告によると、当時中国衛生部副部長であった黄潔夫は2005年末以降、中国の臓器移植の権威および公式スポークスマンとして、中国の臓器移植に関する発言や論文を繰り返し発表し、中国共産党の臓器移植の代弁者となったといいます。
黄潔夫は2000年に発表した論文の中で、中国における肝移植の状況をこう記しています。「1970年代末の最初の試みから、80年代の迷走と停滞を経て、90年代に再び歩みを始めた」。また、1977年から1999年7月までの23年間で、全国で行われた肝移植はわずか228例で、年平均にすると10例にも満たなかったと述べています。
さらに2007年5月、黄潔夫は二つの異なる媒体で2005年の肝移植件数について言及しました。ひとつは衛生部(現・国家衛生健康委員会)の公式サイトに最初に掲載された記事で、黄潔夫はメディアに「2005年の肝移植件数は2500例以上だ」と語っています。もうひとつは『中華外科雑誌』2007年第5号に掲載された論文で、そこでは黄潔夫の提供したデータとして「中国では2005年に臨床肝移植が3500例行われた」と引用されています。
301医院、臓器余剰の広告
中国共産党解放軍総医院(通称301医院)は、中国共産党にとって重要な医療拠点であり、人民解放軍で最大規模の総合病院です。その病院の看板は江沢民によって揮毫されたものです。
301医院には海外留学経験を持つ医師や看護師が多数在籍し、先進的な臓器移植技術を備えています。心臓外科主任をはじめとする医師らは日本でロボット手術の技術を学んでおり、301医院は中国で初めてロボット手術を行った病院でもあります。
301医院はまた、中国共産党指導者が診療や療養を受ける場所でもあります。鄧小平をはじめ歴代の指導者もここで治療を受けました。今回、ウィーチャットで「981健康プロジェクト」の広告を出したのも301医院でした。当然ながら、この病院は全国最大の医療資源を握っています。もしも指導者に提供される臓器が余ればどうなるのでしょうか。供給が需要を上回る状況では、301医院は社会に向けても広告を打つようになったのです。
高齢化社会と二人っ子政策
この広告はさらに、中国の人口高齢化と人口減少問題にも触れています。国家衛生健康委員会の党委員であり、全国老齢工作委員会常務副主任の王建軍(ワン・ジエンジュン)は2018年にこう述べました。「2050年前後、中国の高齢人口は4億8700万人に達し、総人口の34.9%を占めると予測される」
では、老人がますます増えていく中で、生体臓器を摘出する方法で高齢者の延命を続ければ、いずれ生体臓器バンクは不足するのではないでしょうか。なぜ二人っ子政策が解禁されたのでしょうか。人々が常識的な思考で問題を捉えているとき、実は「悪魔」はすでに次の世代に狙いを定めていたのです。
(翻訳・藍彧)
