最近、「トイレを改造した学生寮」に関する映像がネット上で大きな波紋を呼んでいます。動画には、湖南省のある中等専門学校が公衆トイレを学生宿舎に転用し、室内には半開放の和式便器が4基も残されており、環境は劣悪そのものです。多くのネットユーザーが衝撃を受け、「学生達の将来を切り捨てさせる様なやり方だ」と痛烈に批判しました。

 『縦覧新聞』によると、複数の学生が映像を投稿し、湖南省永州市工業貿易中等専門学校の宿舎環境を告発しました。投稿者は自らも同校の学生だと名乗り、「自分が住んでいるのは食堂の地下にある改造トイレです。夏場は悪臭がひどく耐えられません。」と訴えました。

 映像には、塗装のはげた緑色の木製ドアを開けると、内部には20台以上の二段ベッドが並び、男子学生が荷物を整理する様子が映っています。部屋は暗く、コンクリート床は湿っていて、汚れています。奥には半開放式の便器が4基並び、仕切りのタイルは剥がれ落ち、不衛生さが際立っていました。

 9月18日、同校の職員は映像が城北校区の宿舎であることを認めました。また、今年は新入生が急増し、2000人以上となった。宿舎不足が深刻化したため、老朽化した寮も使用せざるを得なかったと説明しました。この宿舎のある部屋には10人以上、多い場合は24人が同居しているといいます。しかし、「トイレを宿舎に改造した」という指摘は否定し、「老朽化によって半開放式のトイレが残っている宿舎があるのは事実である」と釈明しました。さらに「地下室ではないが、建物が古く天井が低いため暗く見える」と強調しました。

 しかし、この説明は世間の納得を得られませんでした。永州市工業貿易中等専門学校は1983年に湖南省政府が設立を認可した国家級重点中等職業学校であり、国家の教育改革発展モデル校、湖南省の卓越職業学校にも指定されています。華々しい「肩書き」と実際の宿舎環境の落差は、世論の強い疑念を呼びました。

 ネット上では「この宿舎に、始めに校長から住ませるべきだ」「幹部の執務室は何度も改装されているのに、学生寮は二十年前のまま」「これは中国なのか、まるでアフリカの部族のようだ」といった揶揄も相次ぎました。

 実はこうした事例は湖南永州だけにとどまりません。ここ数年、中国各地で「劣悪な学寮」の問題が繰り返し報じられています。

 広東省佛山市順徳区の学校では、記者が現地を取材した結果、龍江中学の寮には一部で24人部屋が存在し、通路はノートパソコン1台がやっと置けるほどの狭さでした。さらに大墩初級中学では、わずか37平米の寮に14人が詰め込まれ、1人当たりの居住面積は2.64平米(およそ1.5畳分)にすぎず、国家基準を大きく下回っていました。男子生徒からは「部屋に14人もいるが、シャワーが少なくて3日間浴びれなかった」という声もあり、保護者たちは教育局の監督不行き届きを激しく批判しました。

 また、広州の暨南大学でも昨年、寮の環境問題が大きな話題となりました。学生が投稿した写真には、壁に黒カビが広がり、塗装がはがれ、家具は湿気で腐食していました。中には皮膚のかゆみや呼吸器の不調を訴える学生もおり、大学側に対し、「名門大学の寮はまるで古い倉庫の様だ。」との声が相次ぎました。大学側は「順次改善中である。」とコメントしましたが、学生からは「毎年同じ説明ばかりだ。」と不満が噴出しました。
さらに、江蘇省徐州の江蘇師範大学泉山校区では、新入生が入学初日から宿舎の写真を投稿し、「ベッドの骨組みは錆びつき、トイレの設備は古く、水道も漏れている」と告発しました。SNSには「4年間ここで過ごせということか」といった皮肉なコメントも並びました。

 これらの事例が示しているのは、拡大する入学者数に対して学生寮の整備が追いつかず、結果として過密・老朽化・衛生不良が常態化している現状です。しかも、一部の大学は外国人留学生には手厚い待遇を与える一方、自国の学生には劣悪な環境を強いるという二重基準に対しても批判を招いています。

 実際、湖南永州の「トイレ宿舎」問題が注目を集める中、重慶理工大学では男性留学生を女子寮に同居させたことが波紋を広げました。大学側は「留学生宿舎の設備が整っていなかったことに対する一時的措置である」と説明しました。しかし、ネット上では「開学前に不足を把握できなかったのか」「もし暴露されなければずっと男女を同居させ続けたのではないか」と強い不信感が噴出しました。

 「トイレ宿舎」「過密寮」「留学生男女混住宿舎」――これら一連の出来事は、教育現場が学生の最も基本的な生活条件を軽視している現実を浮き彫りにしています。世論の怒りの背後には、教育環境の格差や学校運営の歪みに対する深い懸念が横たわっているのです。

(翻訳・吉原木子)