9月17日から18日にかけて、中国各地で激しい雹や豪雨が相次ぎ、多くの都市で深刻な内水氾濫が発生しました。道路は瞬く間に川のようになり、市民生活や都市機能は大きな混乱に陥りました。

 中国中央気象台によりますと、17日午前8時から18日午前8時までの間、四川盆地の中東部や南部、重慶西部と北部、陝西南部、湖北西北部、河南西南部などで大雨から豪雨が広がり、一部地域では累積雨量が100〜240ミリに達しました。1時間あたり20〜50ミリ、多いところでは70ミリを超える猛烈な雨も観測されました。中国気象局は重大気象災害への対応レベルを引き上げ、各地で防災態勢を強化しました。自然資源省と気象当局は、地質災害のリスクが高まっているとして、山間部での土砂災害に警戒を呼びかけました。

 今回の極端な天候の中で、特に注目を集めたのが上海です。17日午後1時9分、上海市気象台は雹に関する黄色警報(強い警戒レベルに相当)を発令しました。閔行区、浦東新区、宝山区、市中心部などではウズラの卵ほどの大きさの雹が確認され、屋外を歩いていた市民は突然の落下音に驚き屋内へ避難しました。同日午後には宝山区で局地的な豪雨が発生し、短時間で道路が冠水しました。わずか20分後には大雨警報が青色から黄色に引き上げられ、高温、雷電、強風を含む複数の警報が同時に発令される異例の事態となりました。この「五重警報」は市民に大きな不安を与え、SNSには「空が一瞬にして暗くなり、街全体がざわついた」との書き込みが相次ぎました。市の洪水対策部門は地下鉄やバスの運行を調整するなどの対応を取りましたが、雨脚の弱まりとともに警戒レベルは徐々に解除されました。

 江蘇省の都市でも被害が相次ぎました。蘇州市の呉江区では午後に突然雹が降り注ぎ、住民は「車の屋根に当たる音が爆竹のようだった」と証言しました。最大で硬貨ほどの大きさがあり、路上に停められた車のフロントガラスにひびが入る被害も確認されました。その後、蘇州各地で強い対流や暴雨に関する橙色警報が連続的に発令されました。無錫市でも同夜に雷雨が発生し、SNSには「夕食後に帰宅しようとしたが、道が完全に水に浸かって前に進めなかった」との動画が投稿されました。道路が冠水し、車が水中を低速で走る光景は、まるで都市全体が湖に沈んだかのようでした。

 さらに広州市では、より劇的な場面が見られました。17日午後、豪雨が始まる前に市内で突風が吹き荒れ、天河城ショッピングセンターの屋外テントが吹き飛ばされ、周囲の人々が慌てて逃げ惑いました。幸い大きな人的被害は報告されませんでしたが、映像には混乱の様子が生々しく映し出されました。市民の一人は「数分間、まるで台風が直撃したかのようだった」と語り、別の人は「百年を超える大木が根こそぎ倒れた」と驚きを隠しませんでした。さらに雷撃で浄水場の電力設備が損傷し、西洲と新塘の二つの水道施設が一時停止。複数の地区で断水が発生し、帰宅した住民が蛇口をひねっても水が出ない状況となりました。生活インフラにまで影響が及んだことで、都市の脆弱性が浮き彫りとなりました。

 陝西省南部でも豪雨が続き、安康市などで大雨警報が相次いで発令されました。気象当局は山洪や地滑り、都市型水害の危険性を警告し、一部住民は事前に避難を余儀なくされました。防災部門は夜通しでパトロールを強化し、河川水位の監視を続けました。しかし農村部では道路や橋が冠水して孤立する集落もあり、救援活動が難航しました。

 今回の極端な天気は首都北京にも深刻な影響を及ぼしました。9月13日の夜、北京市では稀に見る雹害が発生し、通州区や豊台区、大興区などで多数の被害が報告されました。保険会社の集計によると、17日午前8時までに北京市での自動車保険の被害申告はすでに4万8900件を超え、推定損失額は約4億900万元に達しました。車の屋根や窓ガラス、塗装面が雹で大きく損傷し、修理工場には査定や修理を待つ車が列をなし、市民生活に直接的な負担をもたらしています。こうした数字はネット上でも広く拡散され、「雹はまるでナイフのように恐ろしい」といった声も見られました。

 豪雨と雹は都市の機能に多方面で影響を与えました。道路は広範囲で冠水し、バスや地下鉄が遅延や運休に追い込まれ、市民は駅や商業施設で足止めを余儀なくされました。学校や幼稚園の一部は臨時休校となり、保護者は急きょ子どもの送迎を調整しました。電力や通信設備も打撃を受け、一部地域では停電や通信障害が発生し、夜間の生活に支障をきたしました。市民の証言は極端な天候の脅威を鮮明に伝えています。「退勤時に雷、強風、豪雨、稲妻が一度に襲い、突然の閃光でビルのロビー全体が真っ白に照らされ、心臓が止まりそうになった」との声や、「成都では昼間が突然夜に変わった」との体験談もありました。

 わずか二日間で、北京から広州、上海から四川まで、中国各地の省や都市が相次いで極端な天候に覆われました。雹が車を損傷させ、豪雨が街を水没させ、突風が施設を吹き飛ばし、雷撃が水道を止めるなど、人々の生活リズムは大きく乱れ、経済的な損失も莫大なものとなりました。今回の一連の事態は、中国における気候変動の影響を改めて実感させるものであり、防災体制の整備や都市インフラの強靭化が急務であることを浮き彫りにしています。

 街を水没させ、突風が施設を吹き飛ばし、雷撃が水道を止めるなど、人々の生活リズムは大きく狂い、経済的な損失も莫大なものとなりました。今回の一連の事態は、中国における気候変動の影響を改めて実感させるものであり、防災体制の整備や都市インフラの強靭化が急務であることを浮き彫りにしています。

(翻訳・吉原木子)