鄭州市の遭難車両(ツイッター動画のスクリーンショット)

 中国の河南省鄭州市で2021年に起きた地下鉄の浸水事故では多数の死者を出し、今なお悲痛な記憶として中国人の心に刻まれている。近日、中国のメディア関係者が公開した当時の動画には、人命救助をよそに角膜の摘出を行う医療チームの姿が映し出されていた。ネットユーザーらは「中共が統治する中国はまさに地獄だ」などと書き込んだ。

救助隊の狙いは遺体の角膜

 9月8日、中国の著名ジャーナリストである趙蘭健氏は過去の動画を公開した。彼によると、動画は2021年7月20日に河南省鄭州市で撮影されたものであり、悲惨な事故の現場を記録したものだ。

 当時、通勤ラッシュの地下鉄が洪水に飲み込まれ、車両全体が水没した。乗客のほとんどが溺死したという。動画では、犠牲者の遺体がプラットフォームに運ばれた後、医療関係者が次々と角膜を摘出する様子が映し出されていた。

 趙氏はコメント欄で、「当時、もう一つ動画を見た。そこには、医師のような人物が白い箱を持っている様子が映っていた」と述べた。9月10日、彼はさらに「当時、これらの情報を外部に伝えるため、昼夜眠らずに活動していた。ほぼ丸二日間、寝ずに情報を拡散し続けた」と振り返った。当時フォロワーが少なかったため、ニュースサイトやYouTubeの大物アカウント、Twitterの著名アカウントに一つ一つ投稿するしかなかったという。

ガーゼで覆われた目、散乱する医療器具

 映像では、地下鉄のプラットフォームと思われる場所に5体の遺体が横たわっている様子が映っている。少なくとも4人は若者で、頭部周辺の地面には血痕が残っていた。遺体はうつ伏せのものもあれば仰向けのものもあり、目元が白いガーゼで覆われた遺体もある。地面にはハサミや白い手提げ鞄が置かれ、白衣姿の男性が立っているのが確認できる。彼は医師とみられている。

 動画では、ある女性が泣き声混じりに「皆さん、見てください」と訴え、「連絡が取れない」と話す場面もあった。

中共の救援隊は人命救助しない

 2021年7月22日、経済学者で詩人の蘇小和氏は自身のメディアチャンネルで「鄭州の人々はこの数日間何をしているのか。それは死者の角膜を摘出している」と述べた。彼は「この光景を見た時、本当に怒りで震えた」と振り返る。地下鉄内では多数が死亡し、「多くの遺体が地面に横たわり、目には白布がかけられ、血まみれだった」と語った。

 「溺死した人には血痕がないはずなのに、どういうことだろう?」と蘇小和氏は語った。「当時は深く考えなかったが、すぐに誰かが言った。『これがどういうことか分かるか?共産党が派遣した医療救助隊は現場に到着したが、人命救助をしないで、亡くなったばかりの人々の角膜を摘出しているのだ!』」

 蘇氏は「中国には恥ずべき産業がある。それは臓器移植産業だ。角膜移植もその一つだ」と指摘した。「中共がこのような大災害の時にこのようなことをするなんて想像できるか。一般の人々は全く知らないだろう。アメリカ人やイギリス人は信じられないと思うだろうが、これは目の前の現実だ。これが地獄でなくて何だ」と憤った。

 2021年7月22日、ネットユーザー「小婷」はツイートの中で、「複数のツイッターユーザーの投稿と現場動画によると、鄭州地下鉄5号線沙口路駅のホームに5、6人の死体が横たわっており、全員が目の周りに血痕があり、目の部分がガーゼで覆われていた。近くにはハサミ、救急箱、医師がおり、医療関係者が現場で死者の角膜を盗んだ疑いがある。死体で金を稼ぐとは、ぞっとする話だ」と書き込んだ。

水害と政府の隠蔽工作

 2021年7月17日から23日にかけて、河南省では極端な豪雨と人為的な要因により深刻な洪水や浸水が発生し、150の県で1000万人以上が被災した。公式発表による死者・行方不明者は398人で、うち鄭州市は380人だった。しかし、市民らが政府による死者数の隠蔽を指摘すると、河南省政府は139名の死亡・行方不明者を隠蔽していたことが暴かれた。

 2021年7月20日夜、鄭州市の京広トンネルは数分間で洪水に飲み込まれた。民間ではダムの放流が原因と考えられており、トンネル内の水位は一時13メートルに達した。これにより地下鉄5号線に乗車していた乗客らが溺死した。当局は死者14人、負傷者5人と発表したものの、国内外や中国国内から広く疑問の声が上がっている。

(翻訳編集・王自勤)